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  • 子供の成長応援

掲載日:2024年3月28日

公益財団法人日本舞台芸術振興会 東京バレエ団

子供に本物のバレエを届けたい!東京バレエ団が子供向け事業に取り組む理由とは

子供が本物の芸術に触れるための活動を広げている東京バレエ団。「子供のためのバレエ」や「上野の森バレエホリデイ」など、幼いうちからバレエを身近に感じられる取組を実施しています。 なぜ子供向けの公演やイベントを始めたのか、東京バレエ団販売部付部長兼チケットセンター長の田里光平さんにお話を伺いました。

公益財団法人 日本舞台芸術振興会 東京バレエ団 販売部付部長兼チケットセンター長 田里光平さん

誰もが「本物の芸術」に触れる機会を増やしたい

―こどもスマイルムーブメントに参画した理由を教えてください。

販売部付部長兼チケットセンター長 田里光平さん(以下、田里):私たちは東京都や国の助成金をいただいて活動していますので、少しでも都民の皆さんに還元できるよう、こどもスマイルムーブメントに参画しました。東京バレエ団はもともと子供向けの取組も行っていて、こどもスマイルムーブメントとも親和性が高いと感じています。

―こどもスマイルムーブメントに参画してから、変化したことはありますか。

田里:私たちが開催している「上野の森バレエホリデイ」や「めぐろバレエ祭り」などのイベントに参画してくださる企業・団体が、年々増えてきています。こどもスマイルムーブメントの理念に共感した方々が、私たちの活動もサポートしてくださっているということだと思います。東京バレエ団だけ、という閉じられた世界から、より広い世界に足を踏み出せるようになりました。

―子供向けの主な取組を教えてください。

田里:取組のひとつが「子供のためのバレエ」で、4歳以上の方が鑑賞できる約90分間の公演です。2012年から始めた取組で、『ねむれる森の美女』、『ドン・キホーテの夢』などを上演しています。また、60分間で名場面を堪能できる「親子で楽しむファミリー公演」も実施しました。こちらも4歳以上の方がお楽しみいただけます。

踊りの見せ場が詰まった公演『親子で楽しむファミリー公演 はじめての「白鳥の湖」~楽しいお話と第3幕~』 photo by Kiyonori Hasegawa


このような子供向けの取組をきっかけに「上野の森バレエホリデイ」や「めぐろバレエ祭り」にも活動が広がっていきました。こうしたイベントでは、公演以外にも、ワークショップなどダンサーと交流できる機会を積極的に増やしています。

バレエを鑑賞する機会のない若い方に向けて、無料または安値でチケットを提供する取組も実施中です。

―若いうちから本物の芸術に触れる、という機会を大切にされているのですね。

田里:はい。そのために、東京バレエ団付属の東京バレエ学校でも、3歳からレッスンを受けられます。生のピアノ演奏でのレッスンや、バレエ団が使っている設備、バレエ関連の絵画や衣裳などを身近に感じられるよう環境にもこだわりました。小さい頃から本物の芸術に触れた体験は、のちのち自分の中で大きなものになっていくと思います。より多くの子供たちが本物に触れられるよう、門戸を開いているのです。

―子供向けの取組を始めた理由を教えてください。

田里:次世代の観客を育成するためです。通常のバレエ公演に未就学の方は入れませんので、もう少し下の年齢から鑑賞できる公演を設けた方がいいのでは、と考えました。子育て中の保護者の方が舞台鑑賞をする機会が無いのも、もったいないと思います。海外では未就学の子供たちが入れるオープンな公演が盛んに行われています。私たちも海外の劇場の取組を聞く中で、「東京バレエ団も次世代の観客育成に向けた取組をするべきではないか」と考え、子供のためのバレエがスタートしました。おかげさまで初演時はチケットがすぐに完売して、追加で席を用意するほど大盛況でした。社会からも子供向けの公演が求められているのだと思いました。

photo by Shoko Matsuhashi

初めてでも大丈夫! 子供に本物を届けるための工夫

―初めてバレエを見る子供でも楽しめるよう、工夫している点はありますか。

田里:子供のためのバレエではダンサーの1人が語り部となり、物語やバレエのマイムの意味を言葉で伝えています。物語の状況やバレエの動きに込められた意味をあらかじめ説明することで、作品を理解しやすくなるからです。

チラシやパンフレットも、子供たちが楽しめるように工夫して作っています。チラシにあらすじや登場人物の相関図をイラスト付きで載せているので、それを読んで劇場に来ていただければ何も心配ありません。さらに深く知りたい方向けに、会場ではパンフレットも販売しています。保護者が読んでもためになるようなコラムや、バレエの知識をわかりやすく解説したコーナーもあるので、帰宅後に親子で読んで、会話のきっかけにしていただけると嬉しいです。

―「上野の森バレエホリデイ」や「めぐろバレエ祭り」等のイベントの特徴を教えてください。

田里:イベントでは、国内の主だったバレエ団から1人ずつ代表者が出てトークを行ったこともあります。こうしたバレエ団の垣根をこえたトークイベントは国内初の取組です。 ワークショップも多彩です。モノを作るだけでなく実際に踊ってみるプログラムも 用意しました。プロのダンサーと間近で交流でき、しかも本物の劇場で踊れる。バレエ団体が主体となってこのような企画を行った事例は、これまであまりなかったと思います。

ワークショップの様子 photo by NBS

さまざまな切り口からバレエに触れられるのもイベントの特徴です。例えば「上野の森バレエホリデイ」では、会場内でバレエにちなんだお菓子なども販売しています。スワンシュークリームやオリジナルのラテアート、バレエの作品をモチーフにしたジャムなども好評です。

バレエ作品をモチーフにした商品が並ぶ photo by Shoko Matsuhashi

―子供向けの取組を始めて、どのような効果を実感しましたか。

田里:非常にありがたかったのは、子供たちが大きくなってまた違う作品を見に来てくれたり、レッスンを体験した方が公演やワークショップにも興味を持ってくれるなど、リピーターになってくれたことです。 さらに、子供たちと一緒に参加した保護者の方がバレエにハマってくださることありました。これは私たちにとっても想定外の効果でした。

子供向けであっても、ダンサーは絶対に手を抜きません。私たちにとって、子供は大人とまったく同じで、ひとりの人間です。そのためリハーサルや舞台稽古も通常公演と変わらない熱量と時間をかけて準備しています。

他業種とのコラボレーションでバレエの輪を広げたい

―イベントなどに参加してくださったお客様の反応はいかがですか。

田里:おかげさまで来場者は右肩上がりで増えてきています。コロナ禍前の「上野の森バレエホリデイ」では8万9000人の方々にお楽しみいただけました。お客様アンケートでは、95%以上が満足だと回答してくださっています。内容がよかった、というお声が非常に多いです。「上野の森バレエホリデイ」や「めぐろバレエ祭り」は、子供たちが遊びながらアートに触れられる場所としても好評いただいています。

photo by Ayano Tomozawa

「めぐろバレエ祭り」をきっかけにお声がけいただき、目黒区内の小学校において校内ワークショップが実現しました。ダンサーたちと体育館でもできるバレエのワークショップを考え、年に2校ほど訪問して実施しています。ワークショップに参加した小学生からはお手紙やイラストをいただき、ダンサーたちの励みにもなりました。 ただ、私たちは現状に甘んじるつもりはありません。もっといいものをお届けできるよう、これからもアップデートしていきます。

―今後の展望を教えてください。

田里:私たちは、他企業・団体の皆様とのコラボレーションをきっかけにどんどん事業が発展してきました。今後はこどもスマイルムーブメントの参画企業・団体の方とも、積極的にコラボレーションをしていきたいと考えています。皆さまにサポートしていただけるような充実した企画を私たちも創っていきます。

これは個人的な希望になってしまうのですが、食品関係の企業・団体の皆様とご一緒できたら面白いことができるのではないかと考えています。バレエと食には大きなつながりがあります。ワークショップでも「ダンサーって何を食べているんですか?」という質問がよく出ます。健康で美しい身体を保つための食など、食品関係のみなさまと協力して伝えていけたらと思っています。

また、フィギュアスケート選手など親和性が高いジャンルの方をお招きした企画はこれからも増やしていきたいです。スポーツ選手の方ともご一緒できたら、さらにバレエの輪を広げられると思います。

―最後に、子供たちへのメッセージをお願いします。

田里:バレエは敷居が高い、かしこまって観なければいけない、と思われているかもしれません。しかし「おしゃれをして舞台を観る」というのも、ひとつの楽しみとして考えてみてはいかがでしょうか。バレエは総合芸術なので、ダンサーの美しさだけでなく、音楽や美術、衣裳も楽しめます。舞台を観たあとにおいしいものを食べるのも、いい思い出になるはずです。ひとつのトピックスから多方面に楽しさを広げられるのが、バレエの魅力だと思います。「上野の森バレエホリデイ」や「めぐろバレエ祭り」など、気軽にバレエに入っていける多くのイベントを用意していますので、まずは「本物」のバレエに触れてみてほしいです。

また、バレエにはさまざまな作品があります。トウシューズを履かずに裸足で踊る作品や、男性ダンサーが活躍する作品など幅が広いです。固定観念を外して一歩踏み出してみると、より大きく豊かなバレエの世界に出会えると思います。私たちはいつでも大歓迎なので、みなさんをお待ちしております。

―ありがとうございました!

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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