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マスキングインクを使った「夏の花」の水彩アートにチャレンジ!身近な自然に目を向けるきっかけにも【体験取材vo.7】

2023年9月12日 モノづくり

お出かけするか、おうち時間を楽しむか。今年の夏を誰とどう過ごそうか、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
こどもスマイル大冒険では、子供や親子が夏に楽しめる様々な取組を紹介しています。

今回取材班は、「こどもスマイル大冒険」に掲載されているイベントの中から、オンラインで参加できるワークショップ「マスキングインクと水彩・向日葵と蓮の花のアート」に密着。夏の花を自由に彩色するアートにチャレンジしました。

「夏の花」を題材にしたアートワークショップ

机の上に画材と花が描かれている用紙が置かれている様子
ワークショップで使用する用紙や画材

「マスキングインクと水彩・向日葵と蓮の花のアート」を主催するのは、アートを通して人生100年のライフステージに寄り添う「美エイジング®協会」。今回の小中学生を対象としたオンラインワークショップは、夏の花である「向日葵」と「蓮」のどちらか1枚を選んで、水彩絵の具とマスキングインクで自由な彩色を楽しむというものです。

オンラインワークショップ 8月6日日曜日、8月19日土曜日の13時から15時まで開催
本ワークショップの告知

アート体験を通して豊かな感性を育むことはもちろん、身近な自然に目を向けたり、季節の植物や花を観察したりすることも本ワークショップの狙い。ワークシートに沿って、事前に身近な植物の様子を観察したり、自然を身近に感じる瞬間について考えたりした上でワークショップに臨み、感じたことや気づいたことを発表する時間も。

子供達からは「この猛暑の中でも野の花は元気に咲いている。野草化した向日葵にパワーを感じた」「意識してみると、身の回りにも思いのほか自然があった」「家の近くでコンクリートから苺が生えているのを見つけた」などの声が上がりました。

絵のテーマとなる上野恩賜公園 不忍の池に一面浮かんでいる蓮の画像、国営昭和記念公園 一面に広がるひまわり畑の画像
ワークショップで取り上げる「夏の花」の解説

その後、講師から国営昭和記念公園の向日葵や上野恩賜公園・不忍池の蓮、植物学者・牧野富太郎博士の生前の活動などについての説明があり、植物や花に対する興味が高まった状態でいよいよ、ワークショップの始まりです。

マスキングインクを使った彩色にチャレンジ

花の下絵が描かれている用紙が2枚並んでいる様子
ワークショップで使用した下絵が描かれた用紙

ワークショップで使用するのは、ポストカードよりひとまわり大きなA5サイズ用紙。あらかじめ下絵が描かれているので「塗り絵」感覚で彩色にチャレンジできます。

本ワークショップの特徴は「マスキングインク」を使用すること。「マスキングインク」とは、「マスキング=覆い隠す」の意味通り、色をつけたくない部分を覆うための液体です。マスキングインクを塗ることによって、花の輪郭と背景の色が混ざったり、にじんだりすることを防げるのです。乾いたマスキングインクは、はがすことができます。

下絵にインクで塗り重ねている紙が机の上に置かれている様子
マスキングインクでお花の輪郭をなぞる

彩色に入る前に、まずはマスキングインクでお花の輪郭をなぞっていきます。マスキングインクを使うのが初めてで、戸惑っている子供たちもいましたが、「後からはがしてしまうので、それほど神経質にならなくてもオッケー。」との講師からのアドバイスに、安心して皆さん進めていました。マスキングインクでお花の輪郭をなぞったら、次は背景の彩色に入っていきます。

「にじみ」の技法で色のグラデーションを楽しむ

花の周りにインクで色を重ねている様子
「にじみ」の技法で背景を描く

今回チャレンジしたのは「にじみ」の技法。用紙を水で濡らした後に水で溶いた絵の具をそっとのせることで、色が広がっていき自然なグラデーションが表現できます。

慣れていないと水の加減や絵の具の濃さの調整がちょっと難しいと感じますが、絵の具をのせるたびに色の出方や広がり方が変わるのが面白いところ。水彩画ならではの一瞬一瞬の美しさが楽しめます。

マスキングインク部分の水色は乾くと通常の絵の具よりも光沢が出るので、あえてはがさない前提でアクセントとして使うことも可能。太陽の光や水のきらめきなど、工夫しだいでさまざまな要素が表現できます。

塗り重ねたインクを爪楊枝で剥がしている様子
乾いたマスキングインクをはがす

背景が完成したら、お花の輪郭に塗ったマスキングインクをはがして、お花に色を塗っていきます。

思い思いに彩色した作品をシェア

色々な色のインクで蓮に色が塗られた用紙の画像
完成した筆者の作品

お花の彩色が終わったらアートの完成! それぞれが自分の作品を見せながら、表現したかったことや、ワークショップに参加した感想などを思い思いに発表していきます。

子供が描いたひまわりに色が塗られた用紙
小学1年生の作品

「暑い夏でも咲く蓮の花の力強さと、太陽があるからこそ生まれる陰を意識した」「向日葵のタネを表現したかった」など、ほかの子供達の作品を見たり話を聞いたりすることで、「こんな表現もできるんだ」「そんな捉え方もできるんだ」という発見につながっていました。

オンラインでありながら「一緒に作品を作っている」感覚

子供達が描いた絵が複数枚並んでいる様子
子供が描いた蓮の花の絵
子供が描いた蓮の花とひまわりの絵
高校生が描いた蓮の花とひまわりの絵
ワークショップ・サポーターとして参加の高校生の作品

家にいながらにして気軽に参加できるオンラインワークショップでありながら、それぞれの考えや気づきをシェアする時間や双方向のやり取りがあるため、講師や参加者の親子と「一緒に作品を作っている」感覚がありました。子供にとっては、初対面の人の前で自分の意見を披露すること自体が良い経験になりますよね。

講師が花に色を塗っている様子
講師のアートセラピスト桜井まどか による臨場感あるレクチャー

また、いきなり彩色に入っていくのではなく、ワークショップに先立って身の回りの植物を観察したりすることで、「日常の中にある自然」に目を向けるきっかけにもなります。ワークショップに参加することで植物への関心がさらに高まるので、「こんなところにこんな花が咲いていたんだな」と身近な植物へのアンテナを張るようになりました。

2回分のマスキングインクが届くので、後日自分でワークショップ当日に塗らなかったほうのお花の絵を完成させることも可能。1度やってみると「ここがあまりうまくできなかったな」「もっとこうしたら良かった」と思う部分が出てくるので、その反省を踏まえて、じっくりと2枚目に取り組んでみるのもいいのではないでしょうか。

取材報告

  1. マスキングインクや「にじみ」など、新しい道具や技法にチャレンジ
  2. アートを通して色彩への感受性や身の回りの自然への関心が高まる
  3. 学んだ技法は今後の図工や美術の授業にも生かせそう

ワークショップ「マスキングインクと水彩・向日葵と蓮の花のアート」は、アート体験そのものはもちろん、アートを通じて「学び」や「気づき」を得ることを大切にしているとこのイベントを通じ感じました。ワークショップの時間中だけでなく、その前後にも感性を育む時間が生まれるのではないでしょうか。

イベント概要

イベントの詳細情報

ワークショップ『マスキングインクと水彩 ・向日葵と蓮の花のアート』
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