サステナビリティ推進室 室長鹿島 忍さん性のキャリア構築に疑念を抱いたのが、すべての始まりでした。 これからは非財務の課題解決に取り組み、世の中へ情報開示していかないと、企業の未来はないのではないか。そう考えた私たちは「誰もが活躍できる組織づくり」を経営層に提起しようと決めました。 まず人事部門の担当役員に協力要請の声をかけ、女性を中心にさまざまな部署からメンバーを集めました。それぞれの意見をまとめ、経営層の理解も得るための資料づくりに奔走し、満を持して経営会議でプレゼン。経営層からは「いいことなのでぜひやってください」と快く承認され、具体的な施策への取組を開始しました。 ダイバーシティ推進チーム発足後の2019年から1年間は女性の離職率低下と管理職率向上を目指し、女性向けの研修を実施しましたが、メンバーから「女性の意識を変えるだけで解決できる問題ではないのでは?」という意見が出ました。「これは全社員の問題だ、みんなの意識を変えて理解を得ていこう」と、2年目以降はその一環として男性の家庭進出にもより力を入れていきました。 何より絶大な効果を発揮したのは、2021年3月の社員総会にて「女性の活躍が組織力を向上させていく」というメッセージを社長が発信したことです。やはりトップの言葉は影響力が大きく、管理職をはじめ多くの社員に意識が芽生えていきました。 これを追い風に全社員向けのD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)およびアンコンシャスバイアスの研修を開始。2022年からはeラーニングとしてパッケージングし、直近では2年連続99%の受講率を達成できています。アンケート調査では満足度と理解育業と仕事の両立について、情報や制度をまとめた電子ハンドブック。ハンドブック内でも、社長から女性の活躍を後押しするメッセージが掲載されている14企業データ企業データ (2023年2月時点)業種 従業員数(男女比) 705名(3:1)男性約50%/女性100%育業取得率 取得平均日数 男性60日/女性349日ソフトウェア開発・販売育業推進企業の事例①企業向けソリューションサービスを提供するウイングアーク1st株式会社は、社内ママ友とのランチトークをきっかけに結成されたダイバーシティ推進チームが、社内育業システムを一新しました。「もっと良くしたい!」と声をあげることで女性活躍と育業を推進「誰もが活躍できる組織づくり」を経営層に提起 当社がダイバーシティ推進をスタートさせたのは、当時経営管理部門の私と営業部門の河村のランチトークがきっかけです。私たちには同い年の子どもがいて、同じタイミングで職場に復帰した縁から、ママ友として交流を深めるようになりました。ライフステージが変わっていく中で、仕事と家庭をどう両立させていこうか、という話題は多く出ました。そこから「組織における女性の活躍ってどんなものなんだろう」という疑問がわいて、実際に数字を調べてみたのです。すると、当時新入社員の5年以内離職率が、男性は数%なのに対し、女性は4人にひとりだと知り、「これはおかしいよね」と、女ウイングアーク1st株式会社
元のページ ../index.html#15