育業応援ハンドブック
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女性活躍の推進が、女性だけでなく男性の意識も変えていく上司や同僚の理解が、当事者の育業を後押しする当事者上司同僚15全社員向けにダイバーシティ研修を実施した結果、受講後のアンケートでは組織における多様性への理解が深まり、意識の変化があったという回答が多く寄せられた度はいずれも約9割に達していて、意識の浸透が着実にできているのを感じています。 もうひとつの大きな取組が、育児、介護や病気などと仕事の両立に関する内容を収めた電子ハンドブックの制作です。社内に散在する情報をわかりやすく網羅し、公的な支援制度はもちろん、当社独自の社内制度も確認できるようにしています。本気が伝われば、共感は広がっていく 育業で離れた人材の穴埋めは、どの企業にとっても悩みの種だと思います。当社では部署ごとにチーム単位で試行錯誤している段階です。例えば、ITエンジニアはプロジェクト単位でチームを組んでいるので、育業に入る社員の代わりに別の社員に加入してもらい、職場に復帰する際にはまた別のプロジェクトに入ってもらうといった方法もあります。管理部門など専門的かつ少人数で業務に携わっている部署の社員が育業で離れると、チームメンバーの負担は増えがちです。そこで、専門職を期間限定的にアサインしてくれる企業と連携し、負担を軽減する方法も検討しています。 各種支援金制度も充実しています。お子さんが誕生したら子どもの人数と連動して大きく増えるお祝い金が出ますし、男性育業中の手取りはほぼ100%保証されています。金銭的なリスクはないに等しいので、もはや「育業をしないという選択肢はない」といってもいいくらいです。人事部門のサポートも手厚くなり、子どもが産まれたのに育業の申請がない男性社員には、人事側から積極的に声をかけています。 IT企業ならではの特性かもしれませんが、新しいチャレンジを楽しむ気風が備わっているので、意識づくりに着手してからの浸透と適応はスピーディでした。誰もが育業を育業意識が浸透したことで、チームの集まりに育業中の社員が顔を出すという光景も見られるようになったして当然という前提で業務に携わっています。育業を経験した男性社員からは「会社へのロイヤリティが高まった」という声も届いています。若手社員にとっても、家庭と仕事を両立していくイメージがより明確に描けるようになったと思います。 人事部門からではなく経営部門と営業部門の社員からスタートしたというのは、あまり他社では見られない事例かもしれません。人事的な権限がないために、情報の共有や発信に苦労することもありました。しかし仕事の枠を飛び越えて、組織を変えたいという熱意から始めたからこそ、本気度が伝わり共感を集めやすかったのではないかとも感じています。 実際に声をあげてみて思ったのは、組織を良くすることに真っ向から反対する人なんていないということ。意外とみなさんすんなり賛成し、考えや行動をアップデートしてくれます。これまで声があがらなかったから、組織が変わらなかっただけ。最初は怖いとか難しいという思いが先行しがちですが、必ず共感し協力してくれる人は出てくるし、新しい意識は浸透していくはず。これは本当に経験則から実感しています。課題解決のポイント当事者だけではなく、社員全体の意識を変えていく 12!!

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