左:育業(育児休業)取得者による座談会は、施策に対するフィードバックにもなっているという右:「男性育休啓発ポスター」では、育業している男性社員の子どもの絵を掲載するというユニークなアプローチで、男性育業の認知向上に取り組んでいるまずは「男性による育業」そのものの認知向上のため、研修などを実施セミナーハンドブック意識・認識を変える引き継ぎ実感行動を促す男性育業への理解が進んだところで、育業体験談などの具体的な情報を発信体験談うよう通知しています。全国の各支店にいるダイバーシティ推進担当者の声かけもあって、2023年度は83%以上の社員が受講しました。 一方の両立支援ハンドブックには、結婚や妊娠、出産、育児、時短勤務などに関する就業規則や手続きをライフイベントごとに詳しく記載しています。こちらはいつでも確認できるように社内のポータルサイトにデータをアップしていますが、特に施工管理の社員などサイトを見る機会が極端に少ない人もいて、なかなか認知が広がらないことが課題でした。そうした際には、定期的に実施される安全研修などの後に、紙に印刷したハンドブックを持参して配布するといった周知活動にも取り組みました。育業について知る機会を1回ではなく時間を空けて複数回設けることで、徐々に多くの社員に認知してもらえるようになりました。育業体験者による座談会がロールモデルに また、2020年度からは、実際に育業を行った男性社員を集めて座談会を開催し、社内外のホームページに記事を掲載しています。これまで全3回実施しており、第2回には第2子誕生後に1週間の有給休暇を取得した経験のある櫻野泰則社長にも参加してもらいました。座談会には施工や設計、管理といったできるだけ多様な部門の社員に参加してもらい、それぞれの職場環境における育業への取り組み方や課題についても聞き取りを行いました。なかには6ヵ月間の育業に取り組んだ人や、複数回に分割して育業を17取得した人もいます。そうした方々が育業を希望した段階でどのように上司に相談し、業務の調整をしていったのかといった具体的な事例を載せています。一度育業に取り組むことで子育ての大変さを知り、その後時短勤務をしながら子育てに励んでいる社員の方もいました。こうした体験がロールモデルとなり、今後ますます男性社員が育業に取り組みやすくなる好循環を生み出したいと思っています。 両立支援制度の認知が広がるなかで、看護休暇や介護休暇の利用率が向上したり、時短勤務制度を活用したりする社員が増えるなど、柔軟な働き方が広がっていることも成果のひとつです。2021年には「妊活支援休暇」という制度を導入し、当初は利用しにくいのではないかと懸念していましたが、利用者から「無事出産した」という声をもらうことがありました。育業支援の結果、多様な働き方を受け入れられる環境が整ってきています。 育業支援を進めるにあたっては、社員の声を聞きながらできることから課題を解決していくことが重要だと感じています。まずは制度についての認知を広げ、社内の理解を促進し、実際に制度の利用者が増えてくれば育業当事者へのフォローアップを行いながらヒアリングやアンケートで改善点を見つけていく。一人ひとりに寄り添った育業支援を進めることで、会社全体で働きやすい環境が育っていくと思っています。課題解決のポイント男性育業の推進は、段階的に機会を創出していく12
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