eラーニング研修で活用した『ワーク・ライフバランスeまなび』(セントワークス株式会社)。経営陣にも共有したことで、男性による育業への理解が深められた管理部総務課 課長松井伸城さん社内アンケートの結果。男性の育業を阻害する要因の上位は、内閣府などの調査データと重なるものだったが、根本的な問題であることを再認識18 男性社員の育業を推進するため、まず最初に行ったのは社内アンケートの実施です。その結果、男性社員の育業が進まない理由は、1位が「職場に迷惑をかけたくないため」、2位が「収入が減少してしまうため」であると判明しました。3位以降には「育児休業制度の詳細を知らなかった」「取得したいと思わなかった」といった声が続きました。社員のリアルな声から実感したのが、育業当事者だけでなく“業務を引き継ぐ人”を支援する制度や、育業当事者の経済的負担をカバーする制度、そして、育業に取り組む社内風土の醸成の必要性でした。これら3つの課題に対応する形で施策を練っていきました。そして2022年10月より「子育て休業応援手当」の創設、「出産前後特別休暇」の拡大、「育業に関するeラーニング研修」の導入という3つの施策をスタートしました。「子育て休業応援手当」は、育業のために業務を引き継いだ社員に手当を支給する制度です。金額は引き継ぎメンバーの人数に応じて、1ヵ月あたり最大10万円が均等に割り振られます。例えば2人のメンバーが業務を引き継いだ場合は、1人あたり5万円が支給されます。実際に育業を経験した社員からは「引き継ぐときに(申し訳ないと感じる)気持ちが楽になる」、引き継ぎを受けた社員からも「頑張ろうと前向きに仕事を引き受けられるし、育業を応援する気持ちも強くなる」といった反響がありました。 以前は2日間のみだった「出産前後特別休暇」は、1ヵ月に拡大しました。いうならば、育業当事者の経済的負担を減らすことを目的にした有給の特別休暇の拡充です。本来は、企業データ (2024年1月時点)企業データ建設業(建築設計)業種 従業員数(男女比) 248名(4:6)育業取得率 取得平均日数 男性6ヵ月/女性1年4.4ヵ月男性100%/女性100%育業推進企業の事例③オフィス空間を構築するファシリティ事業と、リノベーションをはじめとする建築事業などを手がけているGOOD PLACE(旧コスモスモア)。その独自の育業促進施策と波及効果について聞きました。社員の声を反映し自社の課題に応じた育業施策を導入男性社員の育業推進を目指して社内アンケートを実施 GOOD PLACEでは、これまでテレワークや席を固定しないフリーアドレス制を導入するなど、社員が働きやすい環境の整備に努めてきました。育業推進に取り組み始めた背景には、まずライフ・ワーク・バランスを重視した働き方が求められる時代になってきたことが挙げられます。加えて大きな要因となったのが、男性育業取得率の停滞です。昨年度から過去5年の育業取得率は、女性社員が100%なのに対し、男性社員は30%程度でした。これを女性と同じ100%に近づけていくことを目標に、社内を横断したチームで育業推進プロジェクトを立ち上げました。株式会社GOOD PLACE
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