「化学」を通じて新たな価値を生み出し、幅広い分野において社会に貢献する日本曹達株式会社。育児・介護休業法改正に伴い、育業に関する相談窓口を新設したという同社の取組を紹介します。人事部人事課香取 梓さん育業検討中の項目を設けるなど、回答しやすいように工夫された「育児休業意向確認書」が圧倒的に多い環境です。そうした中で、女性社員は育業制度を100%利用していたのですが、男性社員の間では利用率が伸び悩んでおり、その点が課題となっていました。そこで、これまでは特別に相談があったときだけ対応していた体制を変え、各事業所の総務人事部で相談窓口担当を決めることや、場合によっては育業希望者と上司の両者の相談に対応することで、性別や職種に関わらずスムーズな育業支援を実施したいと考えました。また、社員から「子どもが生まれた」という届け出があった際や、「生まれる予定がある」という話を聞いた際に、独自に作成した「育児休業意向確認書」を提出してもらうようにしました。この意向書を通じて育業に関心を持ってくれた社員も数多くいます。書面に「取得する」「取得しない」だけでなく、「検討中」というチェック欄を設けたことで、制度のことはよく知らないけれど話を聞いてみたいという社員を相談窓口に繋げることもできました。このように、窓口の担当者と人事部が連携しながら、必要とする人が必要なとき制度を利用しやすくなるような仕組みづくりを行いました。実際、相談件数は以前と比較して大幅に増加しています。それに伴って制度の対象となる男性社員の育業取得率が1年間で23%から57%にまで上昇するなど、窓口設置の効果を目に見えるかたちで実感しています。 窓口に寄せられる相談は人によってさまざまで、担当者はケースバイケースで対応を行っています。例えば、第2子の誕生を控えた男性社員から、配偶者の入院に伴って第1子の世話をするために育業制度を利用したいという相談がありました。当然ながら子ど社内における活発なコミュニケーションから、男性社員による育業といったトピックも自然に広まる22企業データ企業データ (2024年1月時点)製造業(化学)業種 従業員数(男女比) 1335名(9:1)男性57%/女性100%育業取得率 取得平均日数 男性22日/女性333日育業推進企業の事例⑤地道な啓発活動と相談窓口の新設で取得率が大幅上昇人事部と相談窓口が連携し円滑な育業支援を実施 日本曹達株式会社は、従来から社員の安全面、健康面の管理に力を入れてきました。こうした取組を時代の流れに合わせてアップデートした考え方が「健康経営」です。同時に、誰もがやりがいを持って働くことのできる職場環境をつくりたいという「ダイバーシティ」実現に向けた思いもありました。「健康経営」および「ダイバーシティ」の推進、この2点が当社の育業における重要な軸となっています。 育児・介護休業法改正に伴う具体的な施策として、当社では2022年4月より各事業所に育業に関する相談窓口を設置しました。当社は男女比率が9:1と、男性社員の数日本曹達株式会社
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