育業応援ハンドブック
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育業当事者への働きかけ相談しやすい仕組みや空気づくり相談しやすい窓口へ社員の希望に応じて柔軟に対応人事との連携、情報共有もが生まれてからではないと育業制度の利用はできないのですが、そのケースでは生まれる以前から育業を行う必要があったのです。この相談に対し、窓口では育業制度以外に利用可能な配偶者出産時の有給休暇や時短勤務なども組み合わせながら、社員の希望に沿った育業計画を提案。このように、制度の詳細を完璧に把握していなかったとしても、窓口担当者のサポートによってライフプランに合った選択ができるようになりました。社内報での事例紹介が育業への理解を促した 育業当事者の気持ちに寄り添うことは重要ですが、それと同様に当事者の不在を埋める周囲の社員や上司にも配慮する必要があります。相談窓口では育業意向確認書が提出された場合、速やかに当事者の上司と情報を共有しています。その後、当事者と窓口の担当者で面談を実施し、具体的な制度の内容を説明しながら育業の期間や時期を検討。業務に関する最終的な調整は、基本的に当事者と上司の間で話し合ってもらうことになります。人事部として当事者に伝えているのは、業務の調整を自ら積極的に行ってほしいということです。育業は社員にとって当然の権利ですが、だからといってサポートしてくれる周囲の社員へ理解を求める姿勢は忘れてほしくありません。一方で、上司には新任管理者向けのセミナーなどを通して、育業に関する制度の理解を促しています。 もちろん、相談窓口の設置は男性社員の育業推進に大きく貢献したと考えています。ただ、同時に会社として地道に続けてきた啓発活動が実を結んだ結果であるとも思っています。そのひとつが、社内報での育業事例の紹介です。育業制度の利用者とその上司社内報は、育業している社員の実感やノウハウを、共感しやすいかたちで伝えられるツールのひとつ23へのインタビューや部署内のサポート状況などを掲載し、全社員に育業について知ってもらうきっかけをつくりました。また、新たに女性の社外取締役を招くなど、会社全体でダイバーシティを意識した組織づくりを進めていることも影響しているのではないかと考えています。 当社は長い歴史の中で、社員同士の強いつながりを培ってきました。社員の活発なコミュニケーションを通じて、育業やダイバーシティ促進に関する意識が広まった側面もあるように感じています。 実際に育業を行った男性社員の声としては、「仕事に戻ってきてから、ダラダラと残業をしなくなった」というものがありました。育業中にしてきたことを今後も続けたいという思いから、メリハリをつけて効率的に業務ができるようになったそうです。こうした社員の成功事例が社内のコミュニケーションによって拡散し、さらに育業への理解が深まっていくことを期待しています。人事部としても新たな育業セミナーなどを企画し、引き続き育業支援に取り組みたいと考えています。課題解決のポイント名目上の窓口ではなく、機能する相談窓口へ相談窓口

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