8:00ペーパーレス&システムのデジタル化始業・終業時間の変更や、中抜けを可能に働き方について1対1のヒアリングを実施チャットツールで情報共有17:00在宅でできない仕事は何かをピックアップし、それを在宅でできるようにするにはどうすべきかを模索していきました。コロナ禍での完全在宅勤務期間に得た経験を活かすことができましたし、震災対策として社内コミュニケーションのためのデジタルツールを順次導入していたので、これらで課題を潰していきました。加えて、これまで紙で行っていた手続きをリモートで完結できるようにシステムを一新してペーパーレス化を加速させ、在宅で対応できる範囲を広げました。男性育業の懸念だった収入面の不安をカバー 育業に入る社員へのケアも欠かせません。育業当事者にとっての懸念は収入面です。そこで大きな施策として、4週間分の特別有給休暇を設けました。4週間としたのは、産後うつが起きやすい危険な期間が産後4週間であるというデータがあったからです。収入の不安を抱えることなく、産後の4週間は家族で育業に専念してもらえるように促すための制度でした。 業務の引き継ぎにあたっては、ほかの社員の負担が増えるという懸念はありますが、ここはお互いさまの気持ちですね。業務を引き継いだ社員にとっては新しい経験ができるので、成長のきっかけになったという前向きな声もありました。またこの経験を通して「自分も育業や介護などの理由で仕事を離れるとき、ためらうことなく相談できる」と、言えるような雰囲気づくりの一端にもなっています。 この制度については、出生時育児休業との両立ができるのかなど、法的な面でハードルがありました。厚生労働省にも確認しつつ、法的な課題をクリアし、本年度の実施に至りました。これまで片岡、田代の2名が利用しています。片岡 育業のために会社を休むことは考えていたのですが、給付金が出るとはいえ収入は減りますから、さほど長い期間は取れないだろうと諦めていました。1ヵ月の特別有給休暇制度が発表されたときは本当にうれしかったです。憂いなく育業に入ることがで育業を経験した業務部の片岡弘太さん(右)、財務部の田代裕太郎さん(左)からもお話をうかがった25きました。田代 私も収入面がまず心配でしたから、すごくありがたいと思いましたね。妻も喜んでくれましたし、1ヵ月間、家族一丸で育業に専念できて助かりました。片岡 セミナーなど育業推進の活動を通して、育業したいと言いやすい雰囲気ができていたのも大きいです。「え、育業するの?」みたいな感じではなく、育業するのは当たり前で、「どこからどこの期間で育業するの?」という段階から、上司のほうから進んで話しかけてくれました。田代 業務の引き継ぎも上司から働きかけてくれました。こちらからお願いするよりもはるかに進めやすかったと感じています。やはりこの雰囲気づくりというのは大きいですね。利根川 人手不足の昨今、認知度の差でどうしても中小企業は採用面で苦戦を強いられます。一人ひとりが本当に貴重な戦力です。満足に育業ができない、望んだ働き方ができないとなったら、人材はすぐに離れていってしまいます。であればこそ、中小企業は危機感を持って育業推進に積極的に取り組んでいくべきと感じます。ダイバーシティ推進により、採用面でも手応えを感じています。育業にも力を入れている当社の魅力や価値を知ってもらい、さらに効果を伸ばしていきたいですね。課題解決のポイント希望に応じた働き方ができる環境づくりも、育業の後押しに
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