育業応援ハンドブック
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左:クレドには、社員が働きやすい会社を目指すことが記載されている上:評価や業務に関する面談なども定期的に実施していくことで、一体感のある環境をつくり、社員の高いモチベーションを維持している代表取締役会長近藤宣之さん 26 功を奏したのが、私が社長に就任した当時から進めている「マルチタスク」制度です。社員に複数の業務をこなしてもらえるよう、日頃からトレーニングを行ってきました。自分のやりたいことに挑戦し、成長を感じながら、当社で楽しく働いてもらえるよう改良を重ねてきたシステムです。社員が希望すれば、普段は営業職だけれどいざとなれば経理業務もこなせるといったように、複数のスキルを有せるよう、会社がバックアップしています。社員の成長が会社の成長にもつながるからこそ、これまで続けてきました。この当社独自の仕組みのおかげで、育業に入る社員の業務を、複数の社員で分担することができました。分担した仕事量に応じて手当をつけ、仕事を割り当てられた社員も納得の上で、困ったときはお互い様という気持ちで、6ヵ月現場を離れる社員を育業へ送り出すことができたのです。 6ヵ月の育業を実現させたことは、相当なインパクトがありましたね。社内外で「日本レーザーはここまでするのか」という驚きや喜びの声を聞くことができました。 そして何より、育業当事者にとっても大きなインパクトがあったように思います。人生に1回の、初めての出産と子育て。2度と経験することのできない、人生の質を大きく引き上げる、感動的なイベントの連続だったはずです。「たくさんの貴重な体験ができた、この会社じゃなければできなかった」と言ってもらえたことは非常に嬉しかったです。企業データ企業データ (2023年12月1日時点)卸売業(輸入商社)業種 従業員数(男女比) 60名(38名/22名)育業取得率 取得平均日数 男性6ヵ月/女性1年男性100%/女性100%育業推進企業の事例⑦レーザー専門商社の株式会社日本レーザー。人を大切にする経営をモットーとし、男性社員による6ヵ月の育業を推進。「育業は企業が変わるチャンス」と語る会長に、経営者から見た育業を聞きました。経営者としてリスクを負ってでも人を大切にするマルチタスクの実践で、男性社員も6ヵ月育業 半年間、育業に専念したい。男性社員からそのような要望が出た2021年秋、私は経営者としてどのような判断を下すべきか悩みました。「人を大切にする経営」を掲げる当社としては、社員の要望を叶えたいという思いが優っていました。しかし、決断を下すのは簡単なれど、実際に社員の不在の穴を埋めるのは容易な話ではありません。少数精鋭の中小企業ですから、1人が長期離脱するだけでも、会社への影響は絶大。とりわけ彼は事業責任者として重要なポジションにいたので、経営上のリスクは拭えませんでした。株式会社日本レーザー

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