取締役 総合企画本部長市川忠秀さん基本姿勢として掲げた5項目を社員全員が意識するようになったことで、社内の雰囲気は大きく変わり、まとまりが生まれたという32 とはいえ育業の推進については、正直なところ当初から積極的に取り組めていたわけではありません。そんな状況に一石を投じて意識改革を後押ししたのが、ひとりの男性社員からの「育業をしたい」という申し出でした。彼は自身と配偶者の両親が遠方に住んでいて協力を得られないといった事情もあり、半年間の育業(育児休業取得)を希望していました。申し出を受けた2020年当時は男性の育児休業取得の前例がなく、彼がその第1号にあたります。そのため本人としても申請をためらう気持ちがあり、意を決して上司に相談したようです。そんな彼の思いを聞いて応援しないわけにはいかないと、上層部を含めて育業を歓迎し支援する意識が生まれました。 実際に育業しやすい体制づくりを進めるなかで実感したのは、育業の申請に後ろめたさを感じさせない社内風土の重要性です。育業に限らず有給休暇の取得にしても「周りに申し訳ない」と思ってしまう人は一般的に少なくありません。育業推進に必要なのは、日常的に社員同士のコミュニケーションを促進し、気兼ねなくサポートし合える組織づくりをしておくことではないでしょうか。 逆にいえば、当社では育業当事者を目立たせるような特別な育業推進施策はあえて行っていません。大々的な施策や過剰な関与はかえって育業当事者を恐縮させてしまうケースもあると考え、代わりに社会保険労務士による相談窓口を設けるなどしています。企業データ(2024年1月時点)企業データ建設業・不動産業業種 従業員数(男女比) 122名(2:1)育業取得率 取得平均日数 男性6ヵ月/女性1年男性50%/女性100%育業推進企業の事例⑩戸建住宅分譲業と建設業を展開するレーベンホームビルド。2020年に男性社員からの相談を受け、半年間の育休(育業)を実現しました。あえて大々的な施策は行わずに育業支援に取り組む同社の思いと背景に迫ります。当事者の声と組織づくりが育業推進を加速させた育業当事者の視点で“干渉しすぎない”支援体制を構築 レーベンホームビルドでは、誰もが働きやすい職場環境づくりを積極的に進める企業として「よこはまグッドバランス賞(現:よこはまグッドバランス企業認定)」の認定を受けるなど、働きやすい環境の整備に積極的に取り組んでいます。具体的には、これまで時差出勤や在宅ワークを導入し、子育て世代の社員も働きやすい社内制度を整えてきました。職場環境の改善に力を入れるようになったのは、社員の定着率と採用活動に課題を感じたことがきっかけです。新入社員の方々に安心して入社し働き続けてもらうためには、こうした取組が必要不可欠だと考えています。株式会社レーベンホームビルド
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