No.1 絶対に育業するべき。私たちがいるから仕事を気にしないで大切な時間を過ごしてきて
私は会社の中でも特に得意先からの依頼やプレゼン対応が多く、有給取得も難しい業務。1人での対応は困難なため3人のチームで業務を遂行しています。チームの1人は1か月前に中途入社したばかりの新人、もう1人は小さな子供が2人いる育業明けの女性の先輩で絶賛子育て中です。彼女の子供は保育園に通っており、頻繁に急遽保育園から呼び出しがかかることもあります。その中、私は年に1度の大きなプロジェクトに追われ、自身の業務もピークを迎えていました。日々仕事を捌く中で、女性の先輩と話す機会があり「育業するつもりはない」と伝えると、彼女は「絶対に育業するべき。私たちがいるから仕事を気にしないで大切な時間を過ごしてきて。いつも私はあなたに助けてもらってるから。」と言ってくれました。その後押しもあり育業を決断しました。
育業後、育業のお礼を先輩に伝えると「育業してくれて本当に良かった。将来、人の上に立つ立場になったら、自分の経験を後輩にもさせて欲しい」と言ってくれました。人生に何回もない家族でお互い向き合う貴重な時間を過ごすことができ、自身の考えを根本から変えるとてもいい経験になりました。
No.2 部内で男性初の育業
当時、私の所属する部署では男性の育業がまだ普及しておらず、私が男性で初めての育業でした。業務も繁忙期に差し掛かり、チームのメンバーも皆、忙しい状況でした。そんな中で、本当に自分だけ育業して良いのだろうか?育業するにしても、やっぱり数日ぐらいじゃないと許されないよな、と不安な気持ちでいっぱいでした。ですが、私は思い切って、3か月育業したいことを上司と同僚に伝えました。その時、同僚から「え!?3か月で足りるの?もっと育業して大丈夫だよ!業務は私達に任せて!」と力強いメッセージをいただきました。あぁ、男性で初めてとか、業務が忙しいとか、そんなことあまり気にせず、育業して良いんだよなと、フッと心が軽くなりました。このメッセージをくれた同僚には今でも感謝しています。そして私の育業を皮切りに、続々と部内の男性が育業するようになりました。「男性の育業」に対して、受け入れられる社会になってほしいと切に願います。
No.3 「おめでとうございます!」と「短いですね」
男性育業100%を目指すと、対外発表したばかりだったので、社内への気まずさ・後ろめたさはそれほど感じなかかったが、営業として複数の取引先と相対していたため、年度の途中でお休みをいただくことに、「どういった反応をされるのか…」「どう伝えようか…」「いつ言おうか…」となかなか切り出せずにいた。そんな中、意を決して「実は、育業するんです」と取引先にお電話で伝えたところ、「おめでとうございます!!」と間髪入れずに放たれた一言!!お相手は男性で40代。思いもしなかった一言だった。「どのくらいですか?」「1か月半です」「短いですね」。電話を切った後に、「おめでとう」という言葉が、思いもしなかった言葉と捉えた自分が馬鹿らしく思えてきた。子どもが生まれることはめでたいことで、これ以上に無い幸せだ。妻と自分、そしてその家族は当然そう思っていた。ただ、仕事は別世界なんだと思っていたのだ。
その後も、沢山の人から「おめでとうございます」「短いですね」と言われた。社内も社外の関係者にも、男性も育業することが当たり前という空気が広がっている。何よりも、新しい命の誕生はめでたいこと。私も今後育業すると聞いたら、「おめでとうございます!」と高らかに言って、お相手を前向きにしてあげよう。そして、1か月半の育業は短く、そして仕事よりも大変な、文字通りの「育業」だった。
No.4 今度は私の番
私にはAさんという同僚がいます。Aさんは2度育業を経験し、Aさんの育業中は私が業務を全て引き継ぎました。通常業務に加えてのことだったので、正直とても大変で、1度目の育業時は私の子供の誕生と同時期だったため、増えた業務を残業でカバーし、在宅勤務を多用し、睡眠時間を削って育児と家事をこなしました。この経験から組織のサポート体制の重要性やサポートする人のモチベーションアップ策の必要性を強く感じました。
それからしばらくして、私も育業することになりました。業務で関係する人に対し、「お休みをいただきます。ご迷惑をおかけします」と各方面に謝罪を繰り返していたため、なにか悪いことをしているかのような感覚になっていました。そんな時、Aさんたちにも覚えてしまった台詞で育業を報告しました。「時代だねー」というような反応が返ってくるかと予想していたのですが、1人だけ挙手をして発言した人がいました。それがAさんです。「私の2回の育業中の業務は彼がサポートしてくれました。どんな業務でも私に振ってください。今度は私の番です」と上司に宣言してくれたのです。
私が育業のサポートで苦労した経験があるからこそ、Aさんの言葉はとても嬉しく、ありがたい言葉でした。性別に関係なく、育業し、みんなで助け合いながら子供を育てられるような社会に少しずつ近づいているような気がします。Aさんありがとう。
No.5 繁忙期と重なった育業
チームで初の育業者。さらに繁忙期に重なってしまい、ものすごく申し訳ない気持ちで同僚に育業予定を伝えました。すると、『逆に申し訳ない気持ちにさせてごめん。いつも頼りにしてるけど、業務は問題ないよ!人手が足りないときにこそ無駄がないか業務を見直して生産性をあげることができる。生産性が上がって育業から戻ってきたときにはさらにチーム力が上がって一緒にいい仕事できるはず!』と、すごく前向きな気持ちにさせてくれました。
No.6 焦りや不安を抱えていた私。同僚たちの温かい言葉に迷いは消えた。
妊娠が分かった時、私は会社で新規プロジェクトの立ち上げの真っ最中でした。
待ち望んだ赤ちゃんがやっときてくれたことに大きな喜びを抱いていたものの、仕事にも大きなやりがいを感じており、せっかく任せてもらえたプロジェクトを途中で離脱することに対しての焦りと、自分の居場所がなくなってしまうのではないかという不安、そして私が抜けた後、確実に仕事の皺寄せがいくであろう同僚たちに対しての申し訳なさから、なかなか同僚たちに妊娠の報告が出来ずにいました。
しかし、いよいよ誤魔化せなくなり、ついに妊娠したことを打ち明けると、同僚たちは嫌な顔一つせずに自分のことのように喜んでくれ、「あなたの帰ってくる場所はみんなで守るから、あなたにしかできない育業にまずは専念して!」と。
この言葉で、自分が何をすべきなのかが分かり、まずは育業にしっかり取り組もう!と迷いや不安が消えました。
No.7 今はたくさん甘えさせてもらいます!
新卒から約15年一つの会社で営業として、たくさん仕事をして残業もバリバリしていた私が育業することになり、休んだり、早く帰ったりすることにすごく申し訳なさを感じていましたが、子供が小学校高学年になってきたママ先輩が、「今まで育業の人たちの分もあなたが支えてくれていたから今はその分たくさん甘えていいんだよ!」と言ってくれました。自分で支えていたつもりはありませんでしたが思い起こせば、確かに早く帰る人の分の目標や対応を補っていたんだなと気づきました。今は申し訳ないという気持ちより、子供が大きくなったら恩返しをしてまた次の育業のみんなを支えていきたいなと思って、割り切って帰ったりお願いして帰ったりすることもできるようになりました。
No.8 いつの間にか頼もしくなった部下
2人目の出産時期が決まり、帝王切開での出産になることに。痛みも残る妻のサポートをしたいと思い、当初予定していなかった育業をしようと思っていることをメンバーに伝えた。リーダーの2人からは「課長の仕事経験して、成長しておくので安心して育業してください!」と頼もしい言葉を貰えました。
妻も頼もしいメンバーの話をして、私が働く会社のことをさらに好きになってくれたのでありがたかったです。
No.9 育児スイッチを入れてくれた同僚からの言葉
育業を3か月間するにあたり、女性の同僚に仕事の引継ぎをしていた時のことでした。同僚から「いよいよ育業ですね。業務は私がしっかり引継ぎますし、私に負荷が掛かりすぎないよう調整しますので、安心してください。きっとお子さんを育てるのは仕事よりも大変かと思います。でも、お子さんの成長を一番実感できる時期だと思いますので、ぜひ楽しんでください。私も自分の子供のようにお子さんの成長が楽しみです。」と応援のお言葉をいただきました。ご自身の業務に加えて、私の業務の調整も快く引き受けたことだけでも大変ありがたかったのですが、更に私の子供にまで気遣ってくださったことで、育業の後ろめたさがなくなりました。同時に、同僚に仕事をお願いする以上、本気で育児に取り組もうと気が引き締まりました。
No.10 育業への緊張がほぐれた言葉
数年前、こどもの出産を4か月後に控えた頃の話です。すでに同じ会社内で男性が数か月や1年間育業するケースも目立ち、育業しやすい環境は徐々に整っていました。ただ、実際に自分が育業するときの、上司へ報告するときの緊張感や、日々一緒に忙しく過ごしている同僚への申し訳なさは、やはりついてまわり、育業することは決めていて、早く伝えないといけない思いの一方で、いつどのように上司へ伝えるのかは、ためらっていました。そうはいっても始まらないので、まず同じ仕事の担当だったリーダーに、職場で時間をとってもらい、「育業しようと思います」と伝えると、リーダーは淡々とした表情だったので、内心ではかなり緊張が増したものの、その直後に向こうから出た言葉は、「うん、当然だよね」という反応。さらに、「あとで上司にも報告しやすいように、自分からも上司に言っておくよ」。ほかの同僚には育業期間中に負担をかけて申し訳ないことを伝えると、「そういう仕事の調整はこっち(リーダーや上司側)で考えることで、気にしなくていいよ」と言ってくれました。当初抱えていた緊張感がかなりほぐれた瞬間でした。