子育て世代のお悩み相談

こどもとの関わり

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こどもとの向き合い方、どんなポイントがあるの?

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    「気合だー!」の掛け声でお馴染みの、元プロレスラー・アニマル浜口さん。女子レスリング選手で五輪メダリストの長女・浜口京子さんを支える指導者でもあります。二人三脚で歩んできた、これまでの浜口親子の子育てを振り返り、こどもの将来や進路を考えるお話を伺いました。

    アニマル浜口トレーニングジム会長・元プロレスラー アニマル浜口 さんの考え方

    アニマル浜口

    こどもの「得意なこと」を見抜けるか

    ―こどもの将来や進むべき道について、どうやって話し合い、向き合っていけばいいのでしょう。

    京子はずっと水泳をやっていて、水泳でオリンピック選手を目指していたんです。14歳の頃、ちょうど思春期でくすぶっていた時期だったんでしょう。

    うかない顔をしているので、じっくり膝を突き合わせて、「お前、将来何になりたいんだ」と聞くと、「お父さん、私、プロレスラーになりたい」と言ったんです。

    もしかしたら、水泳がうまくいかなくて、そこから逃げたいという気持ちがあったのかもしれません。でも、それを問い詰めることはしませんでした。ただ、「これから何をするにしても、まずはカラダを作っておけば、将来必ず役にたつ!」と、自分のジムに通わせることにしたんです。

    ―京子さんのレスリングの才能に気がついたきっかけはありましたか。

    京子がレスリングを始めた当時は、まさか世界チャンピオンになるなんて、これっぽっちも思いませんでしたよ。

    1996年、 二度目の世界選手権に出場して、7位で帰ってきた京子に「負けた理由は何だと思う」と聞いたんです。そうしたら京子は、「力負けはしなかった。投げで負けただけだよ」と答えたんですよ!

    それを聞いて、これはもしかしたら夢を掴めるのではないか。「京子なら世界を獲れるぞ!」と、親の勘が働いたんです。

    ―こどもの言葉を信じ、力を見抜いた、ということですね。

    小さな頃からキッズレスリングをしてきたこどもたちは、やはり技術が飛び抜けている。スタートが遅かった京子は、その子たちのスキルには敵いません。でも、京子の場合は、こどもの頃から誰より力が強かった。だから、この子ならパワーでいけると確信したんです。

    自分のこどもは何が一番得意なのか。親としてそれに気が付く、才能を見抜く、そしてそれを上手に引っ張り出してあげられるといいですね。それには、やっぱり家族で会話をすることが大事。真剣に向きあって、ちゃんと話を聞いてあげて下さい。

    アニマル浜口

    親の「気合」をこどもに見せる

     ―父親であり指導者として、時に、京子さんに寄り添うことが難しいと感じたことはありますか。

    そりゃね、親の「気合」や態度(背中)を見せればいいんですよ。素のままぶつかっていって、一心不乱にやるだけです。朝5時に起きて、毎日一緒に走る。練習も、死に物狂いでやります。アニマル浜口のテーマはね、「気合入れて集中、笑って解放」ですから! ワッハッハ!

    ―京子さんに反抗期はありましたか?

    口喧嘩はたくさんしましたけれど、大きな反抗期はなかったですね。親の一生懸命な姿を見て、思いが伝わったのかもしれません。それと、我が家の場合は、母親はもちろん、子育ての環境にたくさん人がいて、周りと調和が取れていたのが良かったのもしれません。

    ジムにはこどもからお年寄りまでいろいろな世代がいますし、レスリングでプロを目指す若者もたくさん来ていた。家族だけでなく、みんなが力を合わせ、京子を育ててくれたのだと思います。

    ―挫折しそうになったこどもを支え、前を向かせるコツのようなものはあるのでしょうか。

    顔を見れば不安なことがわかります。ちゃんと会話をすることが大事です。その時、僕は常に、勇気づけの言葉を投げかけることを意識していました。

    「大丈夫! うまくいく! 京子には出来る! やれば出来る! 必ず出来る!」

    とっても単純なことなのですが、心がめげている時には、元気をつける言葉をかけてあげるだけでいい。

    「気合だ、気合だ、気合だー! アイアイアイアイ!」ってね。

    アニマル浜口

    最後、マットの上に立つのは京子一人

    ―京子さんの子育てを振り返り、印象的だったことは?

    振り返るとたくさんの場面と、その時々の京子の顔が思い出されますね。勝って喜ぶ顔、プレッシャーで青ざめる顔。いろんな顔を、いつも隣で見てきました。

    何度倒れても立ち上がり、這いつくばって上を向く京子は、我が子ながらカッコいいなぁと思いますよ。

    自分は小さい頃、親父に肩車をしてもらうことが夢でした。京子が世界大会で優勝した時、気付くとマットに上がり肩車していました。京子に自分の夢をかなえてもらったような気がして、感謝しています。

    ―成長していくなかで、親離れの寂しさは感じましたか。

    どんなに一緒に練習をしても、マットに上がる時に京子は一人。親は、つくづく何もできない存在なんだなと感じます。

    カゴの中の小鳥が大空へ羽ばたいていくのを、ただ見つめているだけ、というような。最後の最後は、こどもを信頼して送り出してあげるしかないんです。

    親子でスポーツをしていると、苦しいことは多いけれど、美しく、素晴らしい瞬間がたくさん待っています。「人生は素晴らしいものだ」というのを、京子の子育てから教わりました。

    「親の気合はこどもに伝わるものなんだにゃ〜」

    ブランキャット
    アニマル浜口

    答えてくれた人

    アニマル浜口トレーニングジム会長・元プロレスラー
    アニマル浜口さん

    「気合だ!」の掛け声でお茶の間を元気にするアニマル浜口さん。女子レスリング選手の娘・京子さんを五輪メダリストへと導いた功労者でもある。

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