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こどもとの関わり

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こどもを見守りたい気持ちと、関わりたい気持ちで揺れています

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こどもが自立し始めると、保護者としては自主性を尊重したい気持ちと何かしてあげたい気持ちで揺れ動いてしまいます。時にはこどもが離れていく寂しさに心の整理がつかない場合も。そんな時に、こどもの自立とどう向き合ったらいいか、教育評論家の尾木直樹先生に話を伺いました。

教育評論家 尾木直樹 さんの考え方

尾木直樹

自立とはこどもが社会で生き抜く力を育てること

―こどもを信用したいと思いつつも、門限など厳しく接してしまいます。

この気持ちは非常にわかりますよね。

今は社会情勢がものすごく不安定になってきているから、こどもを信用してはいるけれど、門限もきちんと守ってほしいと思う保護者の気持ちは、痛いほどわかります。

けれども、一つ大事なのは、社会が変わってきているということ。

日本では140年の間、成人や成人式の年齢が20歳だったのが、2022年4月1日から18歳に変わっています。

成人年齢の引き下げに伴い、社会の契約から、いろんな責任を問われる年齢が全部18歳に切り替わってきています。だから、こどもが騙されないように、自分の判断でしっかりと社会生活を営んでいける力も身につけさせなければいけません。

これは保護者もとても大変だと思います。そんなに簡単に頭は切り替わらないですからね。

でも、その力をつけてあげることが、保護者としての最大の愛情だとも思います。過干渉にならない程度に、こどもとやり取りをしながら、小さな失敗をしてもいいから、自分で自立していける力をつけてあげてほしいなと思います。

「子育てロス」は一生懸命子育てした成果

尾木直樹

―自分の道を歩み始めたこどもを見て、なぜか喪失感が溢れてきます。

これも、多くの保護者がそういう気持ちになるんですね。

こどもが高校生になったり、寮生活や留学したりすると、余計に寂しさが増してきて「私はどう生きたらいいのか?」といった質問が、私のところにも多く寄せられています。

それはある意味で、保護者のみなさんが、これまで手塩にかけてこどもを一生懸命育ててこられた成果なんですよ。

こどもが離れていくということは、自立していくということ。だから、今度は保護者が子離れをして、自立していく番だと考えてみたらいかがでしょうか。

尾木直樹

―では、どのように寂しい気持ちを乗り越えたらいいでしょうか?

自分の人生を楽しむために、俳句をやるのもいいし、旅行に行くのもいい。

今は市民向けの学会や講座等もたくさんありますから、そういった機会に参加してもいいでしょう。あるいは、バレエを習ってみる、水泳をやってみるとか、いろんなことを楽しんでいる人はたくさんいます。ぜひ、仲間をつくって、自分の視野を広げてみてください。

それから、いろんなところへ行ったら、「こんな風景があってすごかったよ」とか、「外国の方がいっぱい来ていたよ」などと、食事の時にみんなに話題を提供できます。

そういう保護者の姿を見て、こどもは喜ぶし、パートナーも「すごいな君!ぐんぐん力をつけているね」とか「生き生きしているよ」なんて言ってくれるかもしれません。

保護者が生き生きとたくましく生きていく姿は、家族みんなの誇りになると思います。

ぜひ、今度は自分で自分の人生を切り拓いていってほしいなと思いますね。

「「子育てロス」は保護者が頑張った成果と、受け止めてほしいにゃ~」

ブランキャット
尾木直樹

答えてくれた人

教育評論家
尾木直樹さん

教育評論家・法政大学名誉教授。中学教師・高校教師・大学教員として計44年間、教壇に立つ。現在は数々の情報・教養・バラエティ番組に出演し、「尾木ママ」の愛称で親しまれている。「子育てと教育は愛とロマン」が信条

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