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赤ちゃんと一緒の日々がしんどいです

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    意思表示が十分できない赤ちゃんとの日々は、なぜ?どうして?の連続で、保護者が辛く感じてしまうことも。親子に関する発達心理学が専門の大日向雅美さんに、このような状況で上手に対処する方法を聞きました。

    恵泉女学園大学 学長 大日向雅美 さんの考え方

    大日向雅美

    泣くのは赤ちゃんのコミュニケーション手段

    赤ちゃんが、何をやっても泣き止まない時はどうしたらよいでしょうか。

    赤ちゃんが泣くのは自然なことで、コミュニケーションの一つです。お腹が空いたとか、おむつが濡れて気持ち悪いとかを教えてくれているのです。ですから、赤ちゃんが泣いてくれないと親も困りますよね。泣くことは赤ちゃんのお仕事で、コミュニケーションの手段として大事なことを訴えてくれているんだととらえましょう。

    何をやっても泣き止まなかったとしても、一通り試してみるのはすごく大事なことです。 おむつを替えて、部屋の温度を調整して、授乳もして。
    そうやって関わることで、赤ちゃんは自分が訴えることに応えてくれていると感じ、お世話をしてくれる人への信頼感や自分の訴える力への有能感、そして、自分は大切にされているという自尊心が育ちます。親が応えてあげることは無駄ではないのです。

    赤ちゃんが泣きやまないことで、保護者が不安になることも…

    赤ちゃんは夕方になると、なんとなく気持ちが悪くなり、黄昏(たそがれ)泣きをすることがあります。そんな時は、「気が済むまで泣いていいのよ」と抱っこして泣かせてあげられたらと思います。

    ただ、今の時代はそれがなかなか難しいというのも分かります。近隣のお家に泣き声が響くのが気になることでしょう。 赤ちゃんが生まれる前後でご挨拶をするといいですね。お隣の方に会ったら、赤ちゃんを抱っこしながら、「こんにちは、夜泣きでご迷惑をおかけしていませんか?」と挨拶する。新幹線に乗った時でも「すみません、もしかして泣いたり騒いだりしてご迷惑かけちゃうかもしれませんが」と周りの方にご挨拶を。そうすると、周りの方達はかえって温かく見守ろうという気持ちになると、よく聞きます。

    「申し訳ありません」という言葉は大切に。でも申し訳ないと思いつめる必要はまったくありませんよ。迷惑をかけることも、支え合うことも、お互い様なのです。

    母乳もミルクもそれぞれの良さがある

    大日向雅美

    母乳育児を目指していますが、ミルクを使ってもいいでしょうか?

    母乳育児が絶対と思いこむのではなく、ご自身の体質・体調や生活リズムを考えて必要であればミルクをあげていただければと思います。母乳は成分的にも優れていて、夜間授乳の際もミルクを準備する手間がなくて簡単です。親にとって便利なものですね。一方、ミルクにはミルクの良さがあります。母親以外の人も授乳ができますし、こどもにとって、世話をしてくれる方、愛してくれる方が増えるというメリットもあります。母乳はママしかあげられないけれど、ミルクだったらパパも祖父母もあげられて、色んな方に関わってもらえますから。

    今は、粉ミルクだけでなく手軽にあげられる液体ミルクなどもあります。ミルクも選択肢が増えているんですね。

    ミルクは人間の悲願の歴史なのです。ミルクの歴史を調べたところ、様々な理由で母乳を与えることができない時に、赤ちゃんの命を守りたいと、ミルクが開発されてきたようです。

    江戸時代、もらい乳に重湯を足して、竹筒を使って赤ちゃんに飲ませていたそうです。どの時代、どの国でも赤ちゃんの命を守るためのミルクの歴史があります。私はこのことを大事にしていきたいと考えています。

    もちろん、母乳を否定しているわけではありません。母乳をあげることができる場合は、おおらかに、存分に楽しみながら母乳育児をしていただきたいと思います。また、発展途上国など衛生的な水が手に入りにくい地域は母乳のメリットは絶大でしょう。一方、現代の日本社会ではお仕事に行くママもいるし、母乳が出ない人だっている。
    母乳以外の選択肢があるのは、人間の子育ての良さだと思って欲しいですね。

    卒乳のタイミングは親自身も納得して、無理なく

    大日向雅美

    卒乳を親から促すのが良いか、親としては迷います。

    卒乳という言葉を使い始めて久しくなりますが、いい言葉だなと思います。

    昔は断乳と言って、親が乳房に怖い絵を描いてこどもを怖がらせたり、カラシを塗ったりしたようです。でも、それはあまり良いことではないと思います。「自然と卒業していくように乳離れを待ちましょう」という言葉が卒乳なんです。その語源から言えば、”こどもが自分から離れていくことを見守ることが何より大事ですし、その時期についてあまり息苦しく考えなくていい”と思います。

    一方で、授乳で母体が辛いとか、育休明けで仕事に戻るなど、保護者にも都合があるでしょう。無理なく、自分の生活にとって合理的だと思える選択も大切ですね。

    いつまでも、こどもがおっぱいを欲しがることも当然あると思います。その時は、親自身が自分で納得する卒乳、例えば、昼間は無理でも、夜は授乳しながら寝たいなら、それもいいでしょう。いつかは親も子も卒乳するとゆったり構えて、「気が付いたら終わっていたわ」という方が自然ではないでしょうか。

    親が今、どうしても卒乳させたいと思った時、こどもはまだ言葉が分からない月齢かもしれませんが、それでも意思疎通はできます。こどもに「ママはおっぱいを終わりにしたいの」としっかり、くりかえし伝えて、その代わりに、ぎゅっと抱きしめてあげてください。こどももママとの授乳以外のコミュニケーションを楽しめるといいですね。

    大日向雅美

    男性は母乳育児に疲れてしまっている配偶者に、どう寄り添ったらいいですか?

    私が産後に大変だと思ったことのひとつが授乳でした。吸われるととても痛くて辛かったですね。男性は母乳に対して、その大変さをあまり分かっていません。周りの方やパートナーは、母親は大変な思いをして母乳を与えているのだと理解してほしいですね。

    そして、母乳は個人差が大きいものです。出が悪かったらミルクを足せばいいので、近くにいる方が「充分頑張ったのだから、ミルクにしましょう」と声をかけてください。「(赤ちゃんが)かわいそう」や「全然、体重が増えないね」といった言葉は禁句です。

    卒乳の話題は男性が言いにくい部分もありますが、話をしても平気でしょうか?

    「夫は母乳を与えている私を評価している」「彼は私に母親らしさを期待している」「赤ちゃんにとって母乳がベストだと考えているかも」などと感じているママは多いようです。

    ですから、男性側から遠慮せずに、「もういいんじゃない?十分頑張ったよ」と言ってあげてください。

    「こどもにとって、母乳もミルクも、それぞれ良いところがあるんだにゃ~」

    ブランキャット
    大日向雅美

    答えてくれた人

    恵泉女学園大学 学長
    大日向雅美さん

    女子大の学長の傍ら、子育て家族支援のNPO活動にも携わるなど、現代の育児を積極的にサポート。育児書や子育て番組を通して、優しい語り口調で母親に寄り添う姿勢が人気を集める。

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