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こどもとの関わり

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悩む我が子にどう接すればいいですか?

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    こどもが学校の人間関係で何かトラブルを抱え、悩んでいるような気がする。そんな時、親としてどう力になってあげればいいのか。「尾木ママ」の愛称で親しまれる教育評論家の尾木直樹さんに、こどもたちの悩みにうまく寄り添う方法、こどもを取り巻く社会状況の変化についてお話をお伺いしました。

    教育評論家 尾木直樹 さんの考え方

    尾木直樹さん

    親の失敗談でこどもの心をひらく

    ―学校での悩みやトラブルを、こどもは素直に打ち明けてくるものでしょうか。

     思春期のこども、特に男子はプライドが邪魔して素直に打ち明けてくれないかもしれませんが、悩みやトラブルに気づいてほしいと思っています。常日頃からこどもの話に耳を傾け、さりげない会話やスキンシップを通じて親子の信頼関係が築けていれば、いざという時は話してくれると思います。それでも、こどもにとっては親と面と向かって話すというのは難しいので、一緒に料理をしたり、スポーツをしたり、ドライブをしたりと、何かをしながらだと、こどもは案外悩みやトラブルを話しやすいですよね。 

    あと、親の失敗談が、こどもの心をひらくきっかけになることがあります。「こんな失敗したことあるよ」とか「理科のテストで25点取ったんだよ」とか、親も完璧な人間じゃないんだと思えれば、こどもの気持ちがふっと軽くなると思います。 

    こどもの前では、必ずしも完璧で立派な親でいる必要はないですよ。 

    疲れたらゴロゴロ横になって寝ちゃってもいい。家事だって完璧じゃなくていい。ありのままの姿をこどもに見せることで、何でも話せる親子関係が築けるんじゃないかと思います。 

    ―悩みを打ち明けてきたら、どう受け止めてあげればよいのでしょう。

    まずは、何かをしていても、手を止めて、こどもの話をしっかり聴いてあげてください。「ママ(パパ)は、100パーセントあなたの味方よ」という姿勢を見せることが大切です。人間関係のトラブルで悩んでいる子に対して「あなたにも非があるんじゃない?」とか、「考えすぎじゃない?」といったこどもの悩みを軽んじるようなことは、絶対に言っちゃダメですよ。二度と話をしてくれなくなります。もし、いじめであれば命に関わりますから「どんな時でも味方だし、絶対にあなたを守るからね」と、しっかり表明しておくのが大事です。 

    こども自身が辛いと感じているか

    ―こどもが学校で友達から無視をされている時は、どのように接したらいいのでしょう。

    こどもが真剣に悩んでいるのに「無視なんて、大したことじゃない。よくあることだから気にするな」などと言う親も少なくありません。しかし、こども自身が無視されて辛い、嫌だ、やめてほしいと感じていれば、それはいじめです。本人がいじめだと感じれば、それはいじめなのです。いじめに、程度が軽い・重いはありません。 

    2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」の中には、いじめの定義がしっかりと記されています。無視はいじめの典型で、人間の尊厳やプライドを傷つけるだけでなく、暴力と同じくらい、時にはそれ以上の心理的ダメージを与える酷い虐待行為なのだという認識を持ちましょう。もしこどもが無視されていると話してきたら、まずはこどもに「話してくれてありがとう。それは大変だったね」と共感してあげてください。それだけで、こどもは受け止めてくれた、分かってくれた、と安心してエンパワメントされるはずです。 

    ―こども自身が「大丈夫、これくらいなら我慢できるよ」などと言うと、「怪我をしていなければ、まずは静観しよう」と考えてしまう親も多そうです。

    確かに、なかには無視をされても辛いと感じない子もいるんです。私が昔、中学生の担任をしていた時にも「僕、無視されても平気だよ」なんて言う子がいました。しかし、それは自己肯定感の低さの表れであり、ひどいことをされているのに何も感じない人になってはいけないと、その子に伝えました。 

    日頃の親子関係でも、うっかり無視には気をつけて欲しいですね。一生懸命こどもが話しかけているのに、スマホに気を取られていたり、忙しいからといってついうっかり無視をしてしまうこともあるかもしれません。小さい頃から話を聞いてもらえず、無視されるのが当たり前になってしまうと、自分がされても平気になるし、他人にもしてしまうようになります。 

    尾木直樹さん

    早期対応 まずは担任や「学校いじめ対策委員会」へ

    ―いじめが判明した時、親としてどう対応すべきでしょうか。

    「いじめ防止対策推進法」によって、すべての学校に「いじめ防止対策のための組織」の設置が義務付けられました。いじめが起きた時には、まずは担任の先生に相談してみてください。本来はいじめに対して組織的に対応をするために、「学校いじめ対策委員会」が開かれ、対応方針等が決まります。この委員会は、いじめについての研修を受けている管理職・教務主任・養護教諭・スクールカウンセラーなど、さまざまな役職の教員がチームとなった組織で、東京都のすべての公立学校には、「学校いじめ対策委員会」が設置されています。 

    それでもいじめが収まらなかったり、納得出来る対応が得られなかった時は、他にも様々な相談窓口があります。どうかひとりで抱え込まず、SOSを出してくださいね。 

    尾木直樹さん

    2023年4月「こども新世紀」がやってくる

    ―今後、こどもを取り巻く社会状況はどう変わっていくと思われますか?

    2023年4月からは、「こども基本法」に基づく「こども家庭庁」が設置されます。私は、これからは「こども新時代」がやってくる、と言っています。

    日本が真にこどもを大事にする国、社会に生まれ変われる大転換点に今、私たちは立っていることは紛れもない事実です。こども新時代に向けて持てる力を結集し、一つひとつ丁寧に取り組んでいきたいものです。 

    こどもたちは希望であり、未来そのものなのです。 

    既に東京都は、こどもの専管組織をつくって、頑張ってるわよね。 

    こどもを真ん中においたこども中心の社会へ、少しずつ近づいていくことを期待しています。 

    「やっぱり日頃の親子関係が大切だにゃ  何でも話せる間柄が一番!」

    ブランキャット
    尾木直樹

    答えてくれた人

    教育評論家
    尾木直樹さん

    教育評論家・法政大学名誉教授。中学教師・高校教師・大学教員として計44年間、教壇に立つ。現在は数々の情報・教養・バラエティ番組に出演し、「尾木ママ」の愛称で親しまれている。「子育てと教育は愛とロマン」が信条

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