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こどもの好き嫌いや食べムラに悩んでいます

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    幼児期のこどもの食事には悩みが尽きません。元「体操のお兄さん」小林よしひささんは、一児の父親で、幼児食インストラクター、食育アドバイザーの資格を持っています。そんな小林さんに、こどもの食の悩みをポジティブに転換できるヒントを教わりました。

    タレント 小林よしひさ さんの考え方

    小林よしひさ

    嫌いなものを食べても 栄養にならない?

    ―こどもが野菜嫌いで、ご飯と肉しか食べない場合は、どうしたらいいのでしょうか。

    うちの娘にも野菜を食べない時期があり、同じように悩みました。でもある時、栄養士の資格を持っている義母から、「嫌いなものを食べても心の栄養にならないのよ」と言われて、なるほど、と腑に落ちたんです。

    野菜も肉も満遍なく食べた方がいいとは思いますけれど、「心の栄養」という考え方でいうと、無理して嫌いなものを食べる必要はないんだと。

    義母のこの一言から、1回の食事で悩むより、1カ月単位とか長いスパンで考えてみるなど、「こどもの食事をもっとおおらかに見ていこう」と、気持ちを切り替えることができました。

    小林よしひさ

    良い経験を積み重ねて“好き”が増えてくる

    ―こどもは好き嫌いがコロコロ変わるもの。大好物を急に食べなくなったりして、親としては戸惑うこともあります。

    嫌いなものが好きになればいいのですが、「これ、昔は食べていたのにいきなり食べなくなったなぁ」というもの、ありますよね。

    僕は、「食」の嗜好は「経験」によって形作られることが多い、と考えています。

    幼稚園などで友達と食事をするようになると「みんなが食べていたから食べられるようになった」とか、「あの子が嫌いだから、私も嫌いになった」なんてことも。そんな経験によって好き嫌いは、どんどん変わっていくものです。

    ―では、どのように食の「経験」をさせていけばよいのでしょう。

    僕の母は、僕がスーパーで「これ、食べてみたい!」と食べたことのない食材を指した時、「また今度ね」と断ることがありました。初めて口にするものは最高に美味しい旬の時期に食べさせたい、と考えてくれていたようです。

    そして「これは今が最高に美味しいから食べてごらん」なんて言って食卓に並べてくれて、ワクワクしたことを覚えています。

    季節の食材を選ぶだけでなく、お魚の骨をとってほぐしてあげるなど細かな工夫も必要です。最初のひとくちを食べやすくしてあげることで、良い経験ができて、それが食の好きにつながると思います。

    小さな工夫や前向きな声掛けで、これまで苦手だった食材への印象も、変えることができるかもしれません。

    小林よしひさ

    食べなさいは親のエゴ? 食事を楽しい時間に

    ―食にあまり興味がなかったり、食べるのが遅い子にはどう声かけをしたらいいでしょう?

    食事の「前後の時間」に、食べない理由が隠れていることがあります。

    たとえば、おやつタイムがずれてしまったり、一日を通してカラダを動かしてなかったりすると、お腹が減っていない状態でしょう。食事以外の他の場面が、食事に影響を与えていることは少なくないと思います。

    あと「全部食べなさい」とか「早く食べなさい」とかって、親のエゴではないでしょうか。逆の立場で、自分が言われたら嫌ですよね。早く準備すれば言わずにすんだり、お腹がいっぱいならもうご馳走様でいいし、お腹が減っていないのなら「パパとママは先に食べているね」でいいのでは。親として一歩、気持ちを引いてみる、食事に集中させる工夫をすることで折り合いがつくのではと思います。

    ―こどもの食事に対して、おおらかに考えることが大切なのですね。

    私は、食事をする環境も大事だと思っていて、いつも「ちゃんと食べなさい!」と怒っているパパやママよりも、楽しく食べられるパパママが横にいた方が絶対に楽しい。

    食べることだけを目的にして、何をどれだけ食べたか気にするよりも、まずは親が美味しそうに楽しく食べていれば、それがこどもに伝わっていくものです。

    うちの娘も、僕が美味しい美味しいと食べていると、「パパのそれ、ちょうだい」と興味を示します。以前は嫌いと言っていたものが、それで食べられることも。こどもの食事に悩みがあれば、自分を見つめ直すことも大事かもしれません。

    “食べることって楽しい”を積み重ねて

    ―なかには、料理が苦手な保護者もいると思います。料理を楽しく作る方法はあるんでしょうか?

    一生懸命作っているのに、こどもが食べてくれないと、料理が嫌になりますよね。そんな時は、料理をしないといけないと思わず、惣菜やレトルトを食卓にひとつ増やしたりしてみると、気持ちや時間に余裕ができて、歯車が回ってくるのではと思います。

    作る側も、作ってもらう側も楽しい、という環境が一番。大切なのは、「こどもたちと一緒に座って楽しくご飯を食べること」です。

    ―「良い経験が好きなものを作る」というのは、食以外にも通じることなのかもしれません。

    楽しい、美味しい、面白いなど、ポジティブな経験をしていくことが大切です。食事以外の、何事もそうですね。運動やスポーツに苦手意識がある子でも、良い経験を積み重ねることで気持ちが前向きになります。

    家族との食事が楽しいという気持ち、苦手なものが食べられたという成功体験、初めて食べた食材が美味しかったという思い出。良い経験の積み重ねで、食事に対してポジティブな気持ちを持てることができればいいですね。

    「食べることって楽しい!親子で笑顔の食卓が、心の栄養になるんだにゃ」

    ブランキャット
    小林よしひさ

    答えてくれた人

    タレント
    小林よしひささん

    2005年~2019年NHK・Eテレ「おかあさんといっしょ」 第11代目体操のお兄さんを歴代最長の14年間務める。 卒業後も得意な料理や運動能力を活かし、イベント、バラエティ番組に出演。 現在、NHK・Eテレ 毎週 月~水「オハ!よ~いどん」体操のお兄さんとしてレギュラー出演中

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