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ワンオペ育児や孤独からどのように抜け出せば良いのでしょう?

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    母親が一人で育児にかかりきりになる「ワンオペ育児」という言葉を耳にすることが増えています。事実上、孤立無援ともいわれるこの状態を解消する方法は?自身も働きながら育児をした経験を持ち、家族関係・親子関係の発達心理学を専門とする恵泉女学園大学学長の大日向雅美さんに、ワンオペ育児の負担を軽くする方法について聞きました。

    恵泉女学園大学 学長 大日向雅美 さんの考え方

    大日向雅美

    身近で利用可能なワンオペ育児の支援

    ―ワンオペ育児で周囲に協力を得られない場合は、どうしたらいいですか?

    ワンオペ育児の弊害は、既に子育て支援活動をしている自治体なども認識していて、「子育てひろば」や「こども家庭支援センター」などの設置やツールの整備が各地で進んでいます。

    しかし、残念ながら育児中の方にはあまり知られておらず、育児で多忙な中で冊子を読む時間が無かったり、情報にアクセスする余裕がない人もいるでしょう。

    最初はちょっと敷居が高く思えるかもしれませんが、一歩踏み出して、最寄りの「子育てひろば」などを探し、ベビーカーや抱っこでこどもを連れて行ってみましょう。

    そして、担当者に、悩みをつぶやいて下さい。解決に向かえるアドバイスが得られるかもしれません。

    まず、この一歩から道が開けていくでしょう。

    また、SNSを開けば、育児の悩みに関するつぶやきを見つけることができ、「悩んでいるのは私1人じゃない」とホッとすることもあるでしょう。

    ―それでも、なかなか助けを求められない人もいます

    確かに「母親の私がつらいと言っちゃいけない」と思い込んでいる人はいます。

    そうした方々は、理由を問わず預けられる一時保育の利用ですら、「自分が利用するのは贅沢で許されない」と口にすることもあります。

    これがまさに3歳児神話(こどもが3歳になるまでは、母親は子育てに専念すべきであり、そうしないと成長に悪影響を及ぼすという考え方)の囚われで、まずはこのバリアを外すことです。

    一時保育は「自分が赤ちゃんに笑顔で向き合うため、心を回復するための必要経費」と割り切りましょう。

    困ったあなたを救う「見えざる手」は必ずある

    ―こどもに対する周囲の目が気になって仕方がない場合は?

    子連れの女性に厳しい目を向ける「マザーハラスメント(通称:マザハラ)」も目にします。

    例えば外出中にこどもが泣き出してしまい、周囲からしつけもできない母親かのような批判の視線を向けられたなど。残念ながら、そうした人の存在は否定できません。

    その一方で、なんとか助けになりたいと思って見つめている育児経験者がいることも少なくありません。

    私がマザハラに悩む女性たちに強調したいのは「全員が敵ではない」ということです。

    私も電車内で泣き叫ぶこどもを連れた女性に遭遇したとき、「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけます。

    とはいえ、母親本人が周囲に直接助けを求めるのはかなり勇気がいるでしょう。

    ―周囲に助けを求めるアクションを出すには、どうしたらいいですか?

    困った様子をためらわず周囲に見せましょう。すると、手助けしようと思っている人は近づきやすくなります。

    とはいえ、自分からアクションを起こすのは相当のエネルギーが必要です。助けをもとめられなくても、そのことで落ち込まないことも大切。自然体でいいのだと自分にいい聞かせましょう。

    育児疲れのイライラの解消法とは?

    大日向雅美

    ―乳幼児期に24時間一緒にいると、時にはこどもから離れたいという気持ちが湧いてきます。

    それは当たり前の感情です。

    特に乳児ともなれば周囲の都合など考えずに泣くわけですから、24時間365日、笑顔で対応できる方が不自然です。

    そうした気持ちに罪悪感を抱くのは「母親になれば自然に母性本能が働き、常に笑顔でいられるはず」と刷り込まれているからです。

    いらだったときは、疲れているから休みたいという、人としての最低限の要求が言える状態になった、と前向きにとらえて、わずかでも自分の時間を確保することを心がけて欲しいですね。

    同じ状況に身を置いた経験がないと夫にとって妻の状況は想像しきれないでしょう。

    率直に「トイレに行くのもままならない」など具体的に状況を説明してみると、夫も気づいて、手を差し伸べることも可能になります。

    ―夫により多く育児に関わって欲しい場合は?

    もう一つの良いコミュニケーション方法は、育児について夫婦どちらか一方が完全な話し役、もう一方が完全な聞き役に徹し、これを中1日置いて相互に役割を変えて行うというものです。

    この方法のポイントは、3つあります。

    第一に、互いに言いたいことが言える平等性です。
    第二に、聞き役が最後まで一切口を差し挟まないことで、言葉の応酬が避けられます。
    第三に、中1日の間に互いにクールダウンができます。

    例えば話し役は言い過ぎたかもしれないと反省する、聞き役は相手の言ったことを反芻しながら理解を深めるという時間が互いに得られます。

    ―仕事と家事・育児で感情をコントロールできず自己嫌悪…解決方法は?

    まずは、常に優しい母親でいることがまず無理だとはっきり認識しましょう。

    ただ、その上で優しい母親でいたいと思う気持ちも貴重です。

    そうした時、まずは一週間の子育ての出来事を時間ごとに表にする「自分の大変さの見える化」をしてみて下さい。

    こどもにきつく接してしまう時間や、こどもや夫の状況を自分で認識できるようになって、対処法を工夫できるようになります。

    そうすれば、たそがれ泣きする時間が近付けば、事前にTVやDVDを見せたり、対策について夫と話し合える等、上手にやり過ごすことも可能になります。

    「一人で頑張りすぎないのも大事なんだにゃ~」

    ブランキャット
    大日向雅美

    答えてくれた人

    恵泉女学園大学 学長
    大日向雅美さん

    女子大の学長の傍ら、子育て家族支援のNPO活動にも携わるなど、現代の育児を積極的にサポート。育児書や子育て番組を通して、優しい語り口調で母親に寄り添う姿勢が人気を集める。

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