TokyoBay共育・共生プロジェクト

●共同親権法改正と社会変化
2024年5月に可決された共同親権民法が2年以内に施行される中、従来の「男は仕事、女は家庭」という性別役割分業から、父母がともに子育てに携わる共同養育への転換が求められています。東京湾岸エリアは既にこの共同養育の先進地域となっていますが、母親の収入が父親を上回るケースが増加する一方で、依然として女性に子育ての主責任を求める社会風潮が残存し、夫婦間で役割期待をめぐる葛藤が生じています。

●東京湾岸エリア特有の課題
タワーマンションという閉鎖的環境で地域とのつながりが希薄な中、共働きで多忙な家庭では、中学受験やワクチン接種などの小さな意見相違が深刻な対立に発展するリスクがあります。実際、東京都の離婚率上位は毎年中央区か港区が占めており、この地域特有の問題が顕在化しています。

●公的支援の限界
父母関係に問題が生じた際の日本の公的支援には重大な欠陥があります。最も深刻なのは、対立する父母間の調整支援が実質的に存在しないことです。こども家庭支援センター、家庭相談窓口、学校いずれも父母の意見相違に対する支援を提供できません。有償でも専門的調整支援機関は極めて限定的です。
家庭裁判所は最後の手段として期待されますが、調整機能を果たさず、一方の親に子育ての全権限を集中させる現代の男女平等社会と乖離した判断を続けてきました。裁判官、調査官、調停委員は在籍しているものの、対立の根底にある「感情」問題に対処できる対人支援の専門家が不在です。

●深刻な社会問題の発生
対人支援の専門性を持たない機関に親子の将来が委ねられる現状により、シングルマザーの貧困、子どもの連れ去り、親子断絶といった深刻な社会問題が発生しています。

●新たなアプローチの提案
このような背景から、対人支援の専門家の協力を得て、市民一人一人が主体的に家族のあり方や共同養育の形を創造できるよう支援する法人として設立されました。「婚姻状態に寄らず子どもが父母双方から愛情を受け続け、子ども自身に合った成長発達ができる状態」をビジョンとして掲げ、オーストラリアの家族関係支援センターのような組織構築を目指しています。ただし、このビジョン実現には同じ志を持つ方々との協働が不可欠です。