本文へ移動

東京都

  • 子供の成長応援

掲載日:2024年3月21日

NPO法人キッズフリマ

楽しみながら、スキルが身につく! 学びがいっぱいの「商売」体験を

売るのも買うのも子供だけで行うフリーマーケット、『キッズフリマ』を主催するNPO法人キッズフリマ。2006年に小さなイベントとしてスタートしてから年々規模を拡大し、開催実績は1,000回を超えています。 この取組に対する想いや今後の展望などについて、代表理事の赤池慶彦さんにお話を伺いました。

NPO法人キッズフリマ 代表理事 赤池慶彦さん

子供たちの未来のためにもっと頑張りたい

―こどもスマイルムーブメントに参画したきっかけを教えてください。

NPO法人キッズフリマ 代表理事 赤池慶彦さん(以下、赤池):同業の知人から、こどもスマイルムーブメントについて教えてもらったことがきっかけです。調べてみると、指針やビジョンにとても共感できましたし、私たちの取組をもっと多くの人に知ってもらう機会も作れると思い、参画を決めました。

―参画してから変化はありましたか?

赤池:『子どもたちの未来のために、もっと頑張らなければ!』という気持ちになり、チームの士気が上がりました。また、東京都の取組に参画しているということが、イベントの信頼感も上げてくれているのではないかと考えています。

主体的に動くから、学びになる! 子供たちの成長と親の気づきの場に

―現在実施している取組内容について詳しく教えてください。

赤池:日本全国で『キッズフリマ』という体験型教育イベントを開催しています。大人は立ち入り禁止のフリーマーケットで、売るのも買うのも子供たちだけで行ってもらいます。出店できるのは小学3年生から6年生で、買物は小学生以下なら何歳でもできます。

※未就学児には、支払いやお釣りの金額チェックなどスタッフがサポートすることがあります。

―「体験型教育イベント」とのことですが、どのような教育的効果があるのでしょうか?

赤池:大きく分けて3つのことを身に付けられると考えています。

1つ目は、お金のリテラシーです。本物のお金を使うことで商売の面白さを体験するとともに、金銭感覚やお金に関する知識を身に付けられます。また、イベントでは講師によるレクチャーもあり、経済活動や収支計算のことも学べる内容になっています。

2つ目は、リユース意識です。自分にとっては不用品であっても、他の誰かにとっては価値があるということを学び、物を大切に扱ったり積極的にリユースしたりする姿勢が身に付けられます。

3つ目は、コミュニケーション能力です。接客や金額交渉を通して「見る、聞く、話す」能力を高められます。

―非常に学びの多い機会になりそうですね! この活動を始められたきっかけや背景について教えていただけますか?

赤池:私自身、家庭の事情もあり小中学生の頃から商売に関わる機会が多くありました。大人になってから振り返ると、その時の経験から、生きる上で大切な考え方やスキルをたくさん身に付けられたと感じています。そこで、今の子供たちにも、安全に商売を体験できる機会を作ってあげたいと思い、この活動を始めました。

金融教育は、高校で必修化されるなど重要性が見直されている一方、未だに「難しい」「面倒」といったネガティブなイメージを持たれることも多いです。しかし、お金の知識は、生きていく上で必要不可欠ですので、子供の頃から楽しく学ぶことができると、その後の人生でも役立ててもらえると考えています。

―イベント中、実際に参加している子供たちはどんな様子ですか?

赤池:とても生き生きして、楽しそうに活動しています。

売る側の子供たちは、一生懸命に値付けを考えたり接客をしたりして、お客様に買ってもらえるという喜びを、身をもって感じてくれているようです。また、周りのお店に影響されて、声の掛け方や商品のディスプレイを改善していく様子もよく見られます。子供の吸収力や実践力はすごいなと毎回感じていますよ。

買う側の子供たちも、お小遣いをどんな配分で使うか、考えて買物をするようになります。保護者から聞く話によると、大人が買ってあげた高価な物より、キッズフリマの時に自分で選んだ数十円の物を何倍も大事にするのだそうです。

―目に見えて成長を感じられる場なのですね! イベント中の親御さんの反応について教えていただけますか?

赤池:はい。親御さんはフェンスの外から見守るのですが、一生懸命な子供たちの姿に感動される方が多いです。

一人で買物をしたことのないお子さんが、お店の人と話してお金を出し、お釣りもしっかり計算する姿や、声を出して熱心に売る姿に、思わず涙される親御さんもいらっしゃいますよ。

―子供だけで行われるからこそ、そういった姿が見られるのですね。

赤池:そうですね。ただ、どうしても介入したくなる親御さんもいらっしゃいます。私自身も親なので気持ちがよくわかります。『なんでそんなものを買ったの?』とか、『あれがお得だから買ってきなよ』など、ついつい口を出したくなってしまうんですよね。

でもこのイベントは大人が介入しないルールですので、そういう親御さんにはスタッフから説明をしてご理解いただいています。

―「子供だけ」というルールはなぜ作られたのでしょうか?

赤池:子供たちに主体的に活動してもらうためです。体験から学びを得るには、自分自身で考えて行動し、失敗することが大切だと考えています。例えば「似た物を持っているのに買ってしまった」「壊れそうなものを買って、すぐ使えなくなってしまった」「商品が売れなかった」といった失敗です。

こうした失敗をすると、どうすれば良かったのか、自分で考えて次に繋げることができますよね。大人が先回りして声掛けし失敗を防いでしまうと、学ぶ機会を奪ってしまうことになります。このお話をすると、どの親御さんも理解して見守ってくださいますよ。

キッズフリマの商品価格はほとんどが数十円ですので、致命的な失敗はありません。安全に売り買いができる場所ですので、子供たちにはやりたいように行動してどんどん失敗してほしいです。

―子供のためのイベントではありますが、親御さんも学びや気づきがたくさんありそうですね。

赤池:親御さんからの喜びの声もたくさんいただいています。

特に、「こんな難しいことはまだできないだろうと、決めつけていたことに気づいた」「金融教育の大切さを改めて感じた」というご意見が多いですね。イベントに参加した子供が、その日から急にお金にシビアになったり、お小遣い帳をつけ始めたりすることもよくあり、金融教育の影響力を感じられるようです。

また、子供と保護者で価値観が違うことも多々ありますので、そのことに気づくきっかけにもなります。保護者がいらないと思う物でも子供にとってはすごく魅力的だったり、保護者が安すぎると感じる売値でも子供は納得していたりするんです。親御さんには、子供たちの価値観を尊重し、一生懸命に取り組んだことを褒めてあげてほしいと思っています。

楽しみながら学べる機会をもっと増やしたい

―キッズフリマ様としての今後の展望を教えてください。

赤池:子供たちにより多くの学びの機会を作るため、開催回数や地域を拡大していきたいです。

私たちは、昨年は年間で110回、全国各地でキッズフリマを開催しましたが、まだまだ足りないと思っています。毎回、出店可能な数に対して10倍以上のご応募をいただきますし、開催依頼もたくさんいただいています。そのご期待に応えて、より多くの子供たちに参加してもらえるように頑張りたいです。理想は、学校単位で1つの学校につき年1回はキッズフリマを開催できるくらいにしたいですね!

ただ、拡大によって質が下がってしまっては本末転倒です。私たちは子供たちへのインプット部分に非常にこだわっており、お金と物の価値を教える講師の研修や年2回の台本の改善にも力を入れています。また、子供たちに「お勉強感」を与えずワクワクした気持ちで参加できる空間作り・雰囲気作りも徹底しています。このような「楽しく学べる」という質の部分は必ず保っていきたいです。

―他企業・団体とのコラボレーションのご意向がありましたら教えてください。

赤池:同じ志をもつ企業・団体の方と力を合わせて、子供たちが楽しく学べる場をもっとたくさん作っていきたいと思っています。何か一緒にできそうなことがありましたらぜひお声を掛けてください。

―最後に、子供たちへのメッセージをお願いいたします。

赤池:今は、グローバル化やデジタル化が進み、将来の選択肢が昔より遥かにたくさんあります。このような時代だからこそ、子供の頃から様々な経験をして、自分が楽しい・幸せだと思う生き方を見つけていってほしいと思います。特に、少しでも興味のあることにはぜひ挑戦してほしいですね。その中の一つとして、キッズフリマも活用してもらえたら嬉しいです。

―ありがとうございました!

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

紹介した企業・団体