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東京都

  • 子供の成長応援

掲載日:2024年3月29日

公益社団法人 土木学会

土木をもっと知ってもらい、子供たちの明るい未来を作りたい

約4万人もの会員で構成される、公益社団法人 土木学会。日本有数の工学系団体として、土木の学術・技術の進歩への貢献、社会貢献など様々な活動を行っています。今回はその中でも、子供向けの取組内容や今後の展望について、土木広報センター長 小松淳さんと同センター 土木の魅力グループ長 川上佐知さんにお話を伺いました。

土木広報センター長 小松淳さん(左)同センター 土木の魅力グループ長 川上佐知さん(右)

土木をもっと知ってもらいたい!

―こどもスマイルムーブメントに参画されたきっかけを教えてください。

公益社団法人土木学会 土木広報センター長 小松淳さん(以下、小松):私たちは土木業界の活動を、子供たちを始め一般の方に広く知ってもらうためのイベントを多く行っております。しかし、自分たちだけではなかなか認知を広げられずにいました。そんな中、東京都のWebサイトからこどもスマイルムーブメントについて知り、土木業界の活動を多くの人に知ってもらえると思い、参画に至りました。

土木に触れる機会を増やし、子供たちの明るい未来に繋げたい

―現在実施している、子供向けの取組内容について教えてください。

小松:子供たちに向けた取組はたくさん行っていますが、中でも特徴的なものとしては、未来の街づくりのアイデアを募る『未来の土木コンテスト』、土木について学び・体験できるブースを集めた『オープンキャンパス土木学会』があります。

―それぞれについて詳しく教えてください。『未来の土木コンテスト』は、具体的にどのような取組ですか?

小松:子供たちが暮らしてみたい「未来のまち」の姿についてアイデアを公募し、一次選考を通過したアイデアに対して、プロの土木エンジニアと意見交換や技術的検討を行い、その過程・結果を発表するものです。

過去には、都市の中だけで完結するリサイクルシステムや、子供たちが公園で遊んだ時に生まれるエネルギーを利用して電気をつくり、災害時に使えるようにする仕組みなどのアイデアが集まりました。子供たちの様子を見ていると、自分が考えたことを、プロの大人たちが実現に向けて真剣に考えてくれることがとても嬉しいようです。未来について考えることで、環境やエネルギーなどの社会問題に向き合うきっかけにもなっていると思います。

―『オープンキャンパス土木学会』はどのような取組ですか?

公益社団法人土木学会 土木広報センター 土木の魅力グループ長 川上佐知さん(以下、川上):その名の通り、誰でも参加できるイベントです。四ツ谷駅前の外濠公園内にある土木会館を使い、土木学会の専門委員会や関係団体が、土木について学んだり、遊びながら体験したりできるブースを多数出展します。

ブースの内容は、例えば、コンクリートを練ってアクセサリーを作れたり、土砂崩れの原理を模型実験で学べたり、日本全国の土木構造物と合成写真を撮ることができたりなど、多岐に渡ります。土木と言うと、現場での力仕事だけを思い浮かべる方も多いようですが、実は、建設、エネルギー、景観デザイン、都市のプランニングなど様々な仕事があります。ですので、土木の幅広さや奥深さ、魅力をもっと知ってもらえるよう、毎年試行錯誤してブースの内容を練っています。

また、コロナ禍ではオープンキャンパスが開催できなかったのですが、それを機に、オンラインで土木に関する実験や体験ができる『おうちで土木』というイベントを始めました。事前に実験キットを配布し、当日はそれを使いながらオンラインの授業形式で実験をするといったものです。この取組は全国から参加でき、夏休みの自由研究にも役立つと好評だったため、2021年から開催しています。 リアルでもオンラインでも、私たちが一方的に情報を発信するのではなく、対話したり一緒に実験したりしながら直接コミュニケーションをとることを大事にしています。

―子供たちが楽しく学べそうな取組ですね。

川上:はい。子供たちは、様々なことに興味を持って熱心に活動してくれるので、嬉しく思っています。また、子供たちの反応を見ることで、「どういうことが面白いと感じるのか」が分かり、私たちが勉強になることも多いです。

―このような取組を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

小松:土木は、道路、鉄道、電気、橋、水など、私たちの生活全体を支えていますが、一般の方が土木について考える機会はとても少ないと感じています。私たち土木学会も約4万人の会員数がいながら、土木業界のことをあまり周知できていないため、一般の方にもっと土木について知ってもらいたいと考えてこのような取組を始めました。

―土木について一般の方に知ってもらうという目的の中で、子供たち向けに活動されているのはなぜですか?

川上:一番は、小さい頃から土木に興味を持ってもらい、将来の進路の選択肢の一つとして土木業界を考えてもらうためです。子供たちは、知っている職業の中から進路を決めます。そのため、実は興味のある分野でも、その職業に触れる機会がなく知らないがために選択できない、ということも多いはずです。土木は、身の回りの問題を解決したり、「こんな街に住みたい」という夢を叶えたりすることができる非常に魅力的な分野ですので、触れる機会さえあれば関心を持ってくれる子供たちは多いと思います。その中から、将来の素晴らしい土木エンジニアが生まれてくれるといいなと思っています。

また、進路として選択しなくても、土木分野について考えることで、「人が街をつくっている」「多くの人が力を合わせることで今の暮らしが守られている」ということを実感できる機会になると思います。この機会を通じて、子供たちが自分の住む街について当事者意識を持ち、より積極的に街に関わるようになってくれると考えています。そういう子供たちが増えれば、未来は明るくなりそうですよね。

小松:土木の分野では、災害対策やごみ問題など都市における様々な課題を解決し、生活を支えています。価値のある領域だということを知ってもらえると、子供たちにも土木に興味を持ってもらえるのではないかと考えています。

―大人でも土木についてあまり知らない場合が多いので、子供たちはより一層わからないかもしれませんね。

川上:はい。大人でも毎日の暮らしが土木と密接に関わっていることを意識している方は少ないように思います。子供たちへの活動を通して、大人の方も土木についての学びを深めてもらえたらいいなと思っています。土木の領域が広いことに加えて、ICTやAIなどの最新技術がたくさん使われていることや、女性もたくさん活躍している業界であることなども知ってもらえたら嬉しいです。

「土木」には、夢や空想を実現する力がある

―今後の展望をお聞かせください。

川上:私たちは、今回お話しした以外にも、子供たちに土木を知ってもらうためのイベント・取組をたくさん行っています。これらのイベントをもっと広く周知し、多くの人に参加してもらうことで、土木に興味を持ってもらえたら嬉しいです。それが、土木業界、ひいては日本全国の素晴らしい街づくりや発展にもつながっていくと思います。

―他企業・団体とのコラボレーションのご意向がありましたら教えてください。

小松:イベント運営を始めとして、他企業・団体様と協業できるチャンスはたくさんあると思います。土木学会には幅広い分野の専門家が会員として所属しています。何か一緒にできることがあれば協力して活動しましょう。ご興味のある方はぜひご連絡ください。

―最後に、子供たちへのメッセージをお願いいたします。

小松:テレビや映画で、ヒーローや怪獣が戦っている場面に出てきて壊されてしまうものはほぼ全て土木の産物です。 土木とは、本当に幅広く身近な領域なのです。幅広いからこそ、きっと土木の中に興味のある分野があるでしょう。ぜひ土木に触れ、その中で自分の好きなことを見つけ、広げていってください。

川上:土木には、問題を解決し、夢を実現する力があります。

子供たちには、「こんなことはできないだろう」と思わずに、大いに夢や空想を広げて欲しいです。そして、土木の力でそれを叶えられるという面白さ、ワクワク感を味わってもらえたら嬉しいです。

―ありがとうございました!

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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