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掲載日:2022年3月1日

アシックスジャパン株式会社

学童保育と連携した取組で、子供の運動能力の向上を目指す

アシックスジャパン株式会社は、子供の運動する機会の減少や、子供の運動不足を解消するため、スポーツメーカーならではの取組を行っています。子供の健全な育成を目指した「ONE FUTURE PROJECT」や、サステナビリティに誰でも参加できる「GREEN BAG PROJECT」といった取組について、事業戦略部の上川茜さん、野間克顕さん、広報部の今村玲奈さんに取組についてインタビューしました。

取組の狙いは、「身体を動かす+環境問題を考える」

―「ONE FUTURE PROJECT」を立ち上げた理由を教えて下さい。

事業戦略部 上川茜さん(以下:上川):日本国内では、現在の子供たちの体力が30年前と比べて大幅に下回っているという前提がまずあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で運動できる環境が制限されるなど、子どもの運動不足も深刻化しています。これを社会課題として捉えて、解決したいと思ったことがきっかけです。

事業戦略部の上川茜さん(左)、野間克顕さん(右)

―「ONE FUTURE PROJECT」の具体的な取組はどのようなものですか。

上川:この取組は2020年7月から始まりました。当初は学童保育を主に運営している特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールと共同という形で行なっておりました(現在はNPO法人との取組は終了)。学童保育を第一に、「カラダかるた」と「エコボッチャ」というコンテンツを実施しています。「カラダかるた」は東京オリンピックで話題になったピクトグラムを使用し、“「遊びながら自然にスポーツが好きになる」継続的な運動の場を提供したい”ということをテーマにオリジナルで開発したコンテンツです。「エコボッチャ」はパラスポーツに親しみながら、循環型モノづくりとさまざまな人たちとプレーすることで多様性を感じることができるコンテンツとなります。

―具体的に「カラダかるた」とは、どのようなコンテンツですか。

上川:小学生を主な対象にしており、子供の1人がお題のスポーツのジェスチャーをして、ほかの子供がそれを当てるというものです。お題となるスポーツは、全部で38種類あります。東京や大阪など全国の学童保育をオンラインでつなぎ、対抗戦のような形で実施しました。

全38種類のスポーツのピクトグラムをジェスチャーで当てていく「カラダかるた」

―参加された児童館の先生からは、どのような感想や意見が寄せられていますか。

上川:「運動不足を感じていて、コロナ前と比べて日頃のケガも増えている中、運動不足の解消と少しでもケガの防止につながればと思い、今回のイベントに参加しました。他の学童とつながる非日常を味わえて普段よりも生き生きとし、笑顔が多く見られました」
というようなお声をいただいております。
参加された子供からも、
「コロナの中で、他の児童館のみんなと(オンラインで)つながって遊べたのが不思議だったけど楽しかった」
と楽しんでいただいたようです。

オンラインで「カラダかるた」を楽しむ児童館の子供たち

―「カラダかるた」は、オンライン以外で実施したことはありますか。

上川:2021年に大阪市にある阪急うめだ本店のイベントスペースにて、1日3回のセッションを合計13時間という形で、密を避けながら実施しました。実施内容にはカラダかるたのほか、エコボッチャもありました。また、東京オリンピックの期間中には東京都渋谷区「アシックスエクスペリエンス東京」を期間限定でオープンし、イベントも行いました。これらを全て合わせますと、約500人の子供に参加いただきました。

―もうひとつのコンテンツである「エコボッチャ」とは、どのようなものですか。

上川:パラスポーツの「ボッチャ」を元にした、弊社オリジナルのコンテンツです。ルールはボッチャとほぼ同じであり、コートに置いた白いボールに向かって6個ずつ投げたボールを、どれだけ白いボールに近づけられるかを競うものです。エコボッチャに使うボールには、廃棄された衣料品をリサイクルしたフェルト生地を採用しています。

エコボッチャに使うボールは、リサイクル素材を使用したもの

―パラスポーツの体験はもちろん、環境問題への関心も子供に持ってもらえる内容なのですね。

上川:子供たちには、競技を始める前にボールを自分たちで作るところから体験してもらいます。ボールの中心の核となる部分として、紙や布を用意しており、その周りにフェルト生地を巻いて球形にしていきます。最後に、弊社が開発しているシューズのサンプル品として使っていた靴紐で、ボールを編んで完成です。エコボッチャは、競技そのものを子供に楽しんでもらうことのほか、自然環境におけるサステナビリティの一環として行っています。

エコボッチャのボールを作る材料と作成体験の様子

「ゲームのルールの枠を超えたプレーを行う子供の発想力に驚きました」

「カラダかるた」と「エコボッチャ」を体験した子供たちは、各イベント後のアンケートの中で、次のように回答しています。

「なかなか外で遊ぶ時間が取れない中で、おもいっきり身体を動かす事ができて楽しかった」
「今まで知らなかったスポーツを知ることができて楽しかった!またやりたい!」

子供たちにとって、肉体的にも、精神的にも良い刺激となったことが分かります。参加された保護者にも感想を聞いてみました。

「カラダかるたを通じて子供がスポーツに親しむきっかけになりました」
「オンラインで実施できるので、三密を避けながら皆で一緒に身体を動かせたことがよかった」

親子でも参加することができるこの取組をきっかけに、子供と親が一緒にスポーツを楽しむ機会が増えていくことが、今後予想されます。

また、イベントに参加したスタッフも感じたことがあったようです。

「子どもたちがパラスポーツをよく知っていたり、ボッチャをやったことがあるというような声を聞くことが多く、SDGs教育が浸透してきていることを感じました」

そして、イベント時の子供たちの反応と、子供の新鮮な発想力に驚かされつつも考えさせられる場面があったようです。

「エコボッチャにおいては、ボールを投げる場所は決まっています。ですが、ある女の子は4面あるコートの、投げるべき側とは異なる、ボールに当てやすい側の面に回ってボールを投げていました。とにかく白いボールの近くに投げれば良いと理解したのかもしれません。
その女の子にとって通常のルールは難しいと感じたための行動だったと思いましたので、ここではあえて制止をせず、自由にプレーを続けてもらいました。子供の年齢、発育度合いによってゲームへの対応レベルが変化するということを学びました」

運営スタッフは、こうした子供ならではの発育度合いによるレベルの差や自主性も汲み取る工夫も盛り込みつつ、適宜ゲーム性をコントロールすることも心掛けています。

「ONE FUTURE PROJECT」の活動資金も、自然環境をしっかり考慮したもの

―「GREEN BAG PROJECT」という取組の概要について教えてください。

事業戦略部 野間克顕さん:弊社のサステナビリティのビジョンとして、多くの人を活動的に、心身ともに健康な、サステナブルな世界のために行う取組として立ち上がりました。具体的には、スポーツウェアを回収して作られた100%リサイクル素材のエコバッグを販売しています。その収益金の一部を、子供の健全な育成を目指す「ONE FUTURE PROJECT」の活動資金に充てています。

―「ONE FUTURE PROJECT」の活動資金は、そのほかにもありますか。

広報部 今村玲奈さん:はい、再生エネルギー事業を展開している電力会社の「みんな電力」とも提携しております。「みんな電力」には再生可能エネルギープランというのがありまして、一般家庭がこれに加入していただくことで、毎月支払う電気料金のうちの100円を、弊社の「ONE FUTURE PROJECT」の応援金としていただく形になっております。

「みんな電力」の仕組みの1つに、「ASICS ONE FUTURE(アシックスワンフューチャー)でんき」というものもあります。一般家庭がそれぞれ発電所を応援できるというもので、そこで頂いたお金の一部が、「ONE FUTURE PROJECT」へ寄付されるというものです。

子供に学びながらの運動体験を提供し、加えてパラスポーツやSDGsなど社会で起きている事にも関心を抱かせる。そんなアシックスジャパンの取組は、子供の健やかな成長に寄与するスポーツメーカーとしての特性が十二分に発揮された意義のある活動です。

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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