掲載日:2025年2月19日
株式会社ルネサンス
生きがいあふれる社会を創る!
社内ワークショップで男性育業を推進し、目指すは2027年度中の育業取得率100%!
「生きがい創造企業」として、お客様やスタッフの“生きがい創り”を支える株式会社ルネサンス。同社では現在、男性育業の推進を通じて多様な背景を持ったスタッフ一人ひとりが活躍できる環境整備に注力しているといいます。
今回は、同社 人事部人材開発チーム兼DE&I推進チーム・課長代理の田原 哲さん、人事部リクルーティングチーム兼DE&I推進チームの西田 ひとみさん、スポーツクラブ&スパルネサンス 野田24・支配人兼るねふぁみ+プロジェクトメンバーの和泉 香沙音さんの3名に、育業推進の取組についてお話を聞きました。

育業推進は、企業理念の実現につながる大切な取組
―男性の育業推進に注力したきっかけや背景を教えてください。
人事部人材開発チーム兼DE&I推進チーム・課長代理 田原哲さん(以下、田原):取組の最上流には、弊社の企業理念「生きがい創造企業」があります。社内の働く環境を良くすることで社員が生きがいを感じながら働けるようになり、提供サービスの質の向上によってお客様の“生きがい創り”のお手伝いができ、結果として企業としての業績につながっていく。育業の推進は、そんなサイクルを回すための推進力になると考えています。
スポーツクラブ&スパルネサンス 野田24・支配人兼るねふぁみ+プロジェクトメンバー 和泉香沙音さん(以下、和泉):弊社では2016年から社内ネットワーク「るねふぁみ+プロジェクト」を立ち上げ、育児中の社員が安心して働ける環境作りに取り組んできました。発足当初は主に女性社員を対象とした取組が中心でしたが、近年の男性育業推進の気運の高まりもあり、男性社員も育児に参加しやすくなるための制度の整備や社内の意識改革を進めています。

―取組を進める前後で変わったことを教えてください。
田原:取組を始める前は男性の育業取得率は一桁台でしたが、現在では75.6%まで上がっています。最近では1年を超えて育業する男性も2~3名出てきました。男性育業は平均日数ではまだ10日ほどですが、長期で育業する人が増えるのは良い傾向だと思っています。
―社員が育業しない状況には、どのような理由や課題があるのか教えてください。
田原: 家族と相談したうえで「育業しなくてもいい」と判断するケースや、「受け持っている業務の代役に迷惑をかけてしまう」といった理由など、育業しない理由は人によって様々です。
ルネサンスはスポーツクラブの運営も行っていますので、自身の担当クラスを持っているトレーナー職やコーチ職の社員が多く在籍しています。育業することで「クラスの指導に穴があく」「埋め合わせの人員が必要になる」といったことを不安に思う社員がいることも事実です。

和泉:私自身店舗の支配人を務めていますが、スポーツクラブの特徴はトレーナースタッフやスイミング、テニスのコーチスタッフ、受付スタッフなど、様々な部署のメンバーが集まって1つの店舗を運営していることだと思います。
そのため近年は担当部署だけでなく、他部署の仕事もできるようにするための取組も進んでいます。例えばクラスを受け持つスイミングコーチが育業した際、その時間にプールの監視員をしていたスイミングコーチがクラスの指導に入り、受付スタッフが監視員を務めます。制度だけでなく現場からも、スタッフ同士がお互いに育業しやすい環境を作っている最中です。
田原:短期間であれば店舗内での人員配置の見直しで済むケースが多いですが、1年間の育業など店舗だけでの調整が難しい場合は、人事部が店舗間のスタッフの配置調整を行い、育業を支援することもあります。
―では、ご家族と相談して「育業しない」と判断された方へはどのように対応していますか?
田原:ご家庭によって状況や理由も異なるので一概には言えませんが、「育業は男性に無関係」と考えて育業しないケースを減らしていくため、マインドセットを変えるためのワークショップを開催しています。

人事部リクルーティングチーム兼DE&I推進チーム 西田ひとみさん(以下、西田):つい最近行われたワークショップでは、育業した男性社員がパートナーに10点満点で評価をつけてもらったという事例の紹介がありました。良かったポイントや今後の改善につながるポイントを知ることで、育児についての新たな学びを得ることを期待しています。他にも子供が複数いるご家庭で、1人目の育業の反省を活かして2人目の育業で改善したら好評だったこと、などのエピソードを紹介してもらうこともありました。
田原:実際に育業した方が「朝起きてから寝るまで1日をどう過ごしていたのか」などの事例を話したり、復職後にこんな働き方をしている、という店舗ごとの工夫を紹介したりしたこともあります。“育業は休暇じゃなく、やるべきことがたくさんある”、と知ってもらい、上司や同僚に育業に対しての理解を深めてもらうための発信も行っています。
私自身、妻の産前産後に育業しましたが、「育業は絶対に必要だ」と感じました。出産前、妻が精神的に不安定になってきていることが伝わってきたので、そのとき近くにいて支えられたのは良かったと思っています。その思いもあって、社内に育業への理解が浸透していってほしいと感じています。
育業が生んだ、お客様との新たな接点

―社内だけでなく、スポーツクラブのお客様へもスタッフの育業を発信していると聞きました。
西田:はい。最近では育業することを店舗で掲示する男性スタッフが増えてきました。私が以前勤めていた店舗でも一人が掲示したところお客様からお声がけいただき、「休んでるだけじゃダメだよ」「しっかりやってきなさい」とスタッフの育業を後押ししてくださいました。復職してからも「どうだった?」「ちゃんとおむつ変えられた?」と質問されるなど、育業を起点にお客様と良好なコミュニケーションを取ることができました。一緒に働く仲間だけでなくお客様にもご理解いただけるような環境作りができていると感じますし、それによって今まで以上にスタッフ間にも育業しやすい空気が醸成されていると感じています。
―育業推進についての取組について教えてください。
田原:制度面では「1ヶ月未満の育業において初めの7日間は給与を支給する」「事由によらず、子の2歳6ヶ月まで育業可能」などの支援を行っています。社内の理解を深めるための取組では、先述の店舗での掲示やワークショップでの事例共有、他にも育業のための情報を記載した「ハンドブックの作成・配信」なども行っています。
西田:ハンドブックは「育業する女性社員」「配偶者などパートナーが出産する男性社員」「育業する社員の上長向け」の3種類があり、利用可能な社内・公的な制度や、育業中も資格取得の補助が出るなど福利厚生の紹介、育業がキャリアダウンにつながらないことの説明もしています。
「育業したらキャリアに影響が出るのではないか」という不安を解消しながら、自身のスキルアップにもつなげられることを伝えるためのハンドブックになっています。
―育業についての今後の目標などを教えてください。
田原:経営トップがワーク・ライフバランス社の「男性育休100%宣言」に賛同しており、会社全体で一丸となって取得率100%を目指していきます。このことは中期経営計画でも言及されていて、2027年度中の達成に向けて取組を進めています。育業日数については明確な目標値は検討中ですが、1ヶ月以上育業する人をもっと増やしていきたいと考えています。
実際にどんな取組で実現していくか具体的なところはまだ難しい面もありますが、少しずつでもいろいろな切り口で改善していき、「人が抜けてもスムーズに回っていける組織」を作っていくのが大切だと思います。そのための体制づくりは、育業だけでなく、介護との両立、一人ひとりが大事にしたいことを実現するための環境づくりにも繋がると考えています。

―育業推進でどんな未来を実現したいでしょうか?
和泉:私が現場で一番力を入れているのは、男女とも「ライフイベントを迎えてもキャリアを諦めない」ことです。先の人生を考えると、一時的にでもキャリアの積み上げが止まるのは不安なことかもしれません。だからこそ、「ルネサンスなら育業しても不安を感じることなく戻ってこられる」と思ってもらえるようにしていきたいです。社外資格の「育休後アドバイザー」を取得した社員に今年男性が3名加わったことも、推進の追い風になっていくと嬉しいなと思っています。
西田:男性に限った話ではないですが、子供を育てることは未経験の出来事の連続です。育業を経験することで視野が広がり、同じ育業する人だけでなく、介護が必要な方や障害のある方など、多様な人たちを受け入れられる発想を持てるようになるのではないかと思っています。
田原:社員一人ひとりに人生があって、想定されるライフイベントがある。仕事も自分のことも大事にできる環境が、社員の幸福度を高めるものだと思っています。最初のお話につながっていきますが、育業推進を含めた取組で社員の幸福度を高めることで、良いサイクルを回していきたいですね。
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