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東京都

  • 子供にやさしいまち・商品・サービスづくり

掲載日:2025年2月6日

公益社団法人狛江市シルバー人材センター

高齢者が子供を元気に! シルバー人材センター運営の駄菓子店『狛もん』 

狛江市にある『狛もん(こまもん)』は、2024年9月に新しくオープンした駄菓子店。お店では公益社団法人 狛江市シルバー人材センター(以下、狛江市シルバー人材センター)に登録している会員の方々が働いています。 『狛もん』を訪れる子供たちは、人生経験豊かなシルバー世代の皆さんと、ゆっくりと時間を過ごすうちに、自然と悩みを打ち明けるようになるそうです。駄菓子店の運営はシルバー人材センターでは全国初の取組となり、他県からも注目が集まっています。 高齢者に就業やボランティア活動などを促している狛江市シルバー人材センターが駄菓子店を通じて、狛江市の子供と高齢者にどのような交流を生んでいるのでしょうか? 狛江市シルバー人材センターの常務理事事務局長の池田あけみさんと、局長代理の小林恵太さんにお話を伺いました。

狛江市シルバー人材センター 常務理事事務局長の池田あけみさん(左)、局長代理の小林恵太さん(右)

日頃から子供たちで賑わう事務局のそばに駄菓子店をオープン!

―現在行っている、子供向けの取組を教えてください。

狛江市シルバー人材センター 常務理事事務局長の池田あけみさん(以下、池田):まず、当センターに登録している会員の方々の仕事としては、保育園の登園・降園や小学校の登下校の見守り、小中学校の学校内の巡回などがあります。子供たちに「おはよう」と声をかけて接する仕事は、学校や保護者の方から感謝の言葉をいただく機会もあり、高齢者の皆さんの生きがいになっています。

―『狛もん』は、どのようなきっかけで開店したのですか?

狛江市シルバー人材センター 局長代理の小林恵太さん(以下、小林):当センターの事務局の近くにある公園に、以前からたくさんの子供が遊びに来ていたのですが、事務局にもよく顔を出してくれていたんです。「喉が渇いた」「トイレに行きたい」「ケガをしたから絆創膏をください」などの理由で(笑)。職員が笑顔で親身に対応をするので、お願いがしやすいのでしょうね。

池田:このようなシルバー人材センターの事務局は、他にはないと思います。そのことを、昨年末、狛江市の松原俊雄市長にご挨拶に伺った際にお話したところ、「子供たちがそれほど集まるなら、駄菓子屋さんでもやったらどうですか?」と勧められました。それを機に、『狛もん』のオープンを決めたんです。現在、『狛もん』では14名の会員さんがローテーションを組んで、シフト制で仕事をしてくれています。

狛江市シルバー人材センターの事務局から徒歩2~3分ほどの場所にある『狛もん』

―『狛もん』を訪れる、お子さんや保護者の方々の反響はいかがですか?

池田:とても楽しく買い物をしてくださっています。今は核家族が多く、人との関わりも少なくなっている中で、『狛もん』では様々な世代が交流しています。

―お客様の年齢層を教えてください。

小林:赤ちゃん連れの大人から、未就学児、小学生、中学生、高校生、大学生までと幅広いです。

池田:先日、大学生から「駄菓子屋さんをテーマに卒論を書くから、取材をさせてほしい」と問い合わせがあったんですよ。こちらの想像以上に、『狛もん』が注目されていて嬉しいばかりです。

―『狛もん』の運営にあたって、大切にしていることは何ですか?

小林:陳列棚や値札を子供の目線に合った低い位置に設置したり、お子さんたちが興味を持つようなおもちゃをディスプレイしたりと、安全で和やかな雰囲気づくりを心がけています。

池田:会員さんには、無理せず楽しく仕事をしてもらえるように配慮しています。たとえば、会計の際は、会員さんが、駄菓子の値段のバーコードを機械でピッと読み取ります。そして合計金額が出たら、子供たちがその金額をコイン投入口に入れる仕組みです。ただ、レジの作業をスムーズに進められない会員さんもいるんです。そういう時も、焦らずに仕事をしてもらうので時間はかかるのですが、お子さんたちは偉いんですよ。列に並んだままじっと待っていて、待つ間に、お子さんのほうから会員さんにレジ対応を教えてあげることもあります。

子供たちが利用しやすいよう工夫された店内

―微笑ましい光景ですね。

池田:そうなんです。子供たちは高齢者に優しいです。『狛もん』では時間がゆっくり流れていて、人を急かすことがないから、みんなが穏やかになるのだと思います。お店には一人でやって来るお子さんも多いです。そういう場合は特に、会員さんには声掛けをするようにしてもらっています。時には、会員さんに「今日はこんなことがあったんだ」と話しかけたり、自分の親御さんには言えない話を打ち明けてくれることもあったりします。子供が自分の気持ちを言える場所になっているのではないかと思います。

今後実現させたいのは、シルバー世代が見守る子供たちの居場所!

―オープンして、よいことが次々と起こっていますね。

小林:そうなんです。先日は、他県の市役所の方から「『狛もん』のようなお店を作りたいので、どのように開店すればいいのか教えてください」と問い合わせをいただきました。シルバー人材センターが駄菓子店を運営するという形は、これから先、全国的に広まっていくといいなと思います。

―今後、新たに考えている取組はありますか?

池田:今の子供たちは、スマホでゲームをするなど、一人で遊ぶことに慣れていますよね。でも、中には人と関わるのが苦手で、自分の悩みを抱え込んでいる子もいると思います。引きこもりや不登校が問題になっている今、子供たちには、行き場所や居場所があるといいと思うんです。その役割をシルバー人材センターが果たせたらよいのではと考えています。たとえばシルバー世代と子供たちだけの運動会など、遊びを通して、集団で楽しめる企画を考えていきたいです。

―ご高齢の方々と子供たちの運動会、面白そうですね!

池田:働く世代の中高年は忙しいですから、きっと子供と遊ぶ時間を十分に作れないこともあるでしょう。これからは、子供と高齢者のコラボレーションこそが世の中に活気を与えるのではないかと思っています。人生経験が豊富な高齢者世代と過ごすことで、子供たちは人との関わりにおいて大切なことを学べます。それは、彼らが大人として成長していくにあたって、一番大事なことだと思うんです。

―こどもスマイルムーブメントに期待していることを教えてください。

池田:活動を通して、子供の気持ちに寄り添い、子供の笑顔が増えていくことを期待しています。集団で活動する楽しさも教えてあげて欲しいですし、将来、社会で自立できるような手助けも必要だと思います。

―それでは最後に、子供たちへのメッセージをお願いします。

池田:将来の夢はありますか? どんな人になりたいですか? 今、悩みがある人は、一人で抱え込まないで欲しいと思います。あなたにしかできないことはあるし、あなたを必要としている人は必ずいます。あなたは、未来の宝です。シルバー世代のおじいちゃん、おばあちゃんは、あなたの話をゆっくり聞いてくれますよ。頼りになる存在かもしれません。悩んだ時には、ぜひ相談してくださいね。

―ありがとうございました!

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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