掲載日:2025年12月18日
株式会社鶴崎工務店
職人の技と想いを未来へ。ものづくりの本質に触れる職業体験
創業から53年、三代にわたり地域に根差した建築を手掛ける鶴崎工務店。特に木造住宅建築を得意とし、熟練した職人さんたちが持つ高い技術を後世に継承していくことを使命としています。また、「こどもスマイルムーブメント」の理念に賛同し、未来を担う子供たちのために自社の持つ技術や経験を活かす社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
今回は、「未来へつなぐ、大工の技とものづくりの本質」をテーマに、中高生向けの職業体験を開催。参加者は、2日間にわたり、普段触れることのない道具を手に取り、職人さんたちから直接指導を受けながら、建築という仕事の面白さと厳しさを肌で感じました。仕事の魅力だけでなく、その奥にある本質を見つめることの大切さとは何か。参加した中高生の皆さんが、今回の体験を通じて学んだこと、感じた想いをお届けします。
【職業体験のスケジュール】
●1日目
①大工さんの技術を見学、家づくりの仕事を体験
②工具を用いた作品作りを体験
●2日目
①家づくりの工事について学ぶ
②大工さんとの意見交換
③未来の住宅のアイデアを提案
大工さんってどんな仕事?鶴崎工務店が掲げる、ものづくりの「本質」とは?
鶴崎工務店本社で8月4日・5日の2日間実施された今回の職業体験。参加者は、工具を使った木材の加工や家づくりの体験、職人さんたちとのディスカッションを行いました。
1日目
プログラムの1日目は大工の仕事を体験しました。始めは家づくりの体験からスタート。普段はあまり目にすることがない大工道具を駆使して、職人さんたちと一緒に柱や梁など、各部材の名称を確認しながら組み立てていきます。職人さんが手本を見せると、その圧倒的なスピード感と正確性に、中高生の皆さんも大変驚いた様子で、「職人技を初めて目の当たりにして感銘を受けました!」と語ってくれました。
その他にも、建物を建てるうえで重要なのが「水平」をとること。その理由や水平のとり方まで、職人さんのデモンストレーションも踏まえてしっかりと学びます。また、組み立てを、かつての構造と近代的な構造の2種類の構造で行い、木材配置の違いや耐久性についても確認しました。参加者は、実際に柱を手で押し、強度の差を実感していました。
次に行ったのは、木材を加工する過程で発生する端材をによるコースターづくり。電動ノコギリや やすりを使いました。参加者は、木材にも色や匂い、硬さなど「個性」があることに注目し、「推し木材」を語ってくれた中高生もいました。
さらに、棚づくりも行いました。先程とはまた別の工具を使って木材を組み立てていきます。中には慣れた手つきで次々と正確にネジで固定していく参加者も。1日目の体験を終えた中高生からは、「モノがあるということは、つくる人がいるということ。そしてそういった方々の努力のおかげで、私たちが恩恵を受けていることを実感しました」といった感想が聞かれました。
2日目
2日目は前日の振り返りからスタートし、1日目に家づくりの体験で組み立てた構造物に職人さんたちが手を加え完成形となったものを見せていただきました。職人さんから、前日から足した部材や、ここから住宅になるまでの過程などの説明を受け、理解を深めていきます。その後、1日目の体験を踏まえ、実際の工事の流れを映像で見ながら、職人さんが分かりやすく説明してくれました。参加者からは、「達成感を感じた」「まだまだやることがあって大変そう」といった声が聞かれました。
次に行ったのは、職人さんたちとのディスカッション。ここでは、1日目から参加していただいている3人の職人さん(並木さん、古堅さん、田中さん)が登場。対話を通して、中高生が持つ様々な疑問に答えていただきました。「どうして大工さんになろうと思ったんですか?」「やりがいはどんなところですか?」「大変なのはどんなところですか?」など様々な質問が飛び交いました。職人さんの方から中高生への質問もあり、充実した意見交換の場となりました。
最後に、「10年後を想像し、あったらいいなと思う家の機能を考えよう!」というテーマでディスカッションしました。参加者は、「鍵がいらない家はどうかな?」「ロボット技術を家のあちこちに導入したい」「AIを活用した防犯設備を備えよう」など、居心地の良さや利便性、安全性などを考慮しつつ、個性豊かな「未来住宅」を提案。遊び心も取り入れた大胆な提案で鶴崎工務店の方々も思わず唸っていました。お互いのアイデアを称え合い、2日間の職業体験は終了しました。
職業体験に参加した中高生の声
職業体験終了後、参加した中高生4名に感想を聞きました。
─職業体験に参加しようと思った理由を教えてください。
Aさん:ものづくりに興味があり、将来は大工さんのような、ものづくりの仕事をしたいと思っています。そのため、実際に現役で働いている方のお話や考え方などを学びたいと思い、参加しました。
Bさん:私もものづくりが大好きで、休みの日は友達と一緒にものづくり系のゲームをしています。ゲームでは様々な構造物をつくることができ、長時間没頭してしまうこともあるほどです。この熱意を将来、仕事に活かしたいと思い、ものづくりを仕事にするとはどういうことなのかを勉強するため、参加を決めました。
Cさん:家やお寺などの建築物を見ることが好きで、どうやって建てられているのか、どんな人が携わっているのかなど、家づくり全般に興味があったため参加しました。
Dさん:就職を考えたとき、どんな仕事が自分に合っているのか分からなかったため、視野を広げるという意味で参加しました。家の構造やものづくりに興味があったので、まずは自分が興味のある分野についてよく知っておきたいと思ったんです。
─2日間の職業体験を終えての感想を教えてください。
Aさん:体験一つひとつが面白く、改めてものづくりの楽しさを実感できました。特に、家の組み立てという普段できない貴重な体験ができたのが嬉しかったです。職人さんがすごく楽しそうにお仕事の話をされているのを見て、こんな大人になりたいなと思いました。
Bさん:職人さんの熱量を感じ、「かっこいいな!」と思いました。建築というものづくりに懸ける想いが強いからこそ、第一線で活躍し続けることができているのだなと感じました。
Cさん:私の住んでいる家や好きな建築物にも、裏側には、木材を加工する人や組み立てる人、修繕する人など、高い技術を持つ職人さんが大勢関わっていることを実感できました。
Dさん:実際に建築の最前線で働かれている皆さんとのお話を通して、建築業界に限らず、働くことの大切さや考え方など、「本質」を知ることができました。
─職業体験を通じてどんなことを学びましたか?
Aさん:職人の田中さんのお話を聞いて、「苦手意識がある事や気乗りしない仕事でも、まずはやってみて自分の好きなところを探すことが重要だ」ということを学びました。「好きなことは成長できる。成長すればもっと好きになる。」この言葉を胸に刻み、何事にも取り組んでいきたいです。
Bさん:一見、自分の仕事には関係ないようなことでも、応用できることが沢山あること。一流のものづくりをする人は、こういった情報収集が上手であることを学びました。私の将来の目標はものづくりを仕事にすることなので、好奇心を持って何事にも取り組んでいきたいと思います。
Cさん:建築の手法や心構えなど、色々なことを勉強させていただきました。そのなかでも特に強く心に残っているのは、「挑戦することの大切さ」です。職人の皆さんに共通していたのが、未来や自己実現に向けた挑戦をしているということです。
これから先、私たちは様々な選択を迫られることが多くなると思います。そんな時は、並木さんがおっしゃっていた、「挑戦」しやすい環境かどうかを意識したいと思います。
Dさん:仲間の大切さを改めて理解することができました。かつては現在と比べて過酷な環境で働くことも珍しくなかったが、一緒に働く仲間がいたことで、乗り越えることができたという職人さんの実体験に基づくお話を聞いて、大切なことに気づかされたような気分になりました。
─またこのようなプログラムがあった場合、どんな人が参加すると良いと思いますか?
Bさん:建築に限らず、ものづくりに興味がある方は是非一度体験してみて欲しいですね!
Cさん:建築をはじめとしたものづくりに興味がある方はもちろん、身近にある建造物やモノが建造または製造される「裏側」に好奇心がくすぐられる人におすすめしたいです。
Dさん:自分の進路に不安がある人ややりたいことが定まっていない人におすすめしたいです。職人さんがよくおっしゃっていた「本質」への意識は、どんなお仕事にも応用ができる重要な考え方だと思います。これから何かを頑張りたいという方は、是非参加してみてください!
建築の仕事体験を通じて、ものづくりの面白さと挑戦することの大切さを知ってほしい~鶴崎工務店~
私たちは創業以来、職人が持つ高い技術を次世代に継承し、未来へつなぐことを使命として事業に取り組んでまいりました。将来を担う子供たちに、ものづくりの世界の奥深さや大工という仕事の魅力を直接伝える貴重な機会になると考え、今回の職業体験事業に参加しました。
プログラムに参加してくれた中高生の皆さんが、非常に熱心な眼差しで取り組んでくれたことに、私たち自身が深く感動し、仕事を始めた頃の初心に帰るような新鮮な気持ちになりました。プログラムでは、仕事の楽しさや魅力だけでなく、時には厳しさも伴う「本質」の部分をありのままに伝えたのですが、それを素直に受け止め、一生懸命に取り組む皆さんの姿に大きな可能性を感じました。中高生の皆さんには、今回の体験を通じて、どんな仕事にも向き合う上で大切な「心構え」を学び取っていただけたなら幸いです。そしてこの経験が、皆さんの未来の選択肢を広げる一つのきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。
私たちは創業以来、木造住宅建築に特化し、熟練の職人が持つ手仕事の価値を追求してまいりました。事業を未来へ永続させていく上で、この国の宝ともいえる職人技術を次の世代へと継承していくことは、我々にとって最も重要な使命の一つです。今回の職業体験は、そうした私たちの想いを具現化するための新たな挑戦でした。
日本では、若い世代がものづくりの現場から離れつつあるのが現状です。だからこそ、熟練の職人たちが持つ技と情熱を未来へとつなぐ使命と責任を胸に、これからも若い世代に建築という仕事の本当の魅力を伝えていける企業でありたいと考えています。今回のプログラムが、参加してくださった中高生の皆さんにとって、自らの目で物事の本質を見極め、納得のいく職業選択をするための一助となればと思っています。
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