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東京都

  • 育業促進

掲載日:2024年1月17日

セガサミーホールディングス株式会社

望まない離職の防止から始まった取組が育業支援の後押しに。
より長期(5ヵ月以上)に育業する社員が増えてきた背景とは

総合エンタテインメント企業として知られるセガサミーホールディングス株式会社。2018年にグループ会社の本社を大崎に集約したことを機に企業内保育園を設置するなど子育て支援を積極的に行なっています。そこで同社人財開発本部人事部企画開発課 明比香薫さんに、同グループにおける育業の考え方や子育て支援策などについてお伺いしました。
(※セガサミーホールディングスでは、「人材」ではなく「人財」を採用していることから、本記事においても「人財」と表記しています。)

今回取材した人財開発本部 人事部 企画開発課 明比香薫さん

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを重要視した会社の姿勢とトップメッセージから育業の意識浸透を図る

―御社では様々な人事・福利厚生制度が設けられていますが、その中で育業に関する支援や制度はどのようなお考えで取組を始められたのでしょうか。

人事部企画開発課 明比香薫さん(以下、「明比」):弊グループでは多様な人財がポテンシャルを最大限に発揮できる環境を構築するため、全社的にダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進しています。同時に人事や福利厚生の方面から非常に力を入れて制度等を設けてまいりました。これは、弊グループの製品やサービスを通じて「感動」や「共感」が溢れる社会を生み出すこと、そして人々の生活に「彩り」を提供し続けるという弊グループの使命に起因しております。また、将来のことを予測することが困難な時代において様々な変化に対応していかなければなりません。弊グループは多様な人財により、こうした変化に対応しながらイノベーションを起こし、感動体験を届けていく必要があります。つまり、会社としての使命を果たすためにダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの取組が非常に重要ということになります。特に、マルチカルチャー人財の育成や女性活躍推進を中心に取り組んでおりますが、その一環として育業を積極的に促進している状況です。
※外国籍である、海外滞在歴があり多文化を経験している、英語・中国語など複数の言語で一定のスキルを認められているなど複数の基準から認定。多様なカルチャーに接し、その経験を業務に活かすことのできる人財。

―御社において育業に対する理解は進んでいますでしょうか。

明比:育業に関してもグループ内ではとても理解が進んでいると思います。育業取得率について、昨年の実績では女性は100%、男性は約33%でした。グループの規模として毎年たくさんの育業対象者がいるわけではないので、一人の社員が育業する、しないということが育業取得率に大きく影響しやすい状況ではあります。確かに男性育業取得率は33%ですが、希望する社員の全員が育業することができています。グループ内を見ても育業しにくいという雰囲気はないと感じています。
また、本年度10月時点で、5ヶ月以上育業している男性社員が3名いることからも、男性社員が長期に育業することへの理解が年々進んでいるように感じています。
もう一つお伝えすると、男女ともに育業後の復帰率は100%です。対象となる社員には、職場復帰した後も子育てと仕事の両立ができるような制度を上手に活用してもらっている状況です。

―御社の育業や子育てに対する理解が進んだ理由は何でしょうか。

明比:一番の要因はトップメッセージではないでしょうか。弊グループでは、代表取締役社長の里見が月に1回、自身の思いや会社の方向性などを、社員に向けてビデオメッセージで発信しています。その中では、育業に関するメッセージが発信されることもあります。このようにトップがスタンスを明確にし、自らの言葉で熱量をもって社員に伝えていることが、育業や子育て支援への理解が深まっているバックグラウンドになっています。
冒頭で申し上げたように「感動」が溢れる社会を実現するためには、まずは社員が感動体験をする必要があると考えており、社員に対しても感動体験を得る機会を積極的に提供しています。そして、育業や子育ての機会も社員が感動体験をできる一つの機会と捉えているので、自ずと育業に前向きな意識が高まっているのだと思います。結果、こうしたグループの姿勢を含めて全体に浸透させることができていると日々感じています。

―今年度は複数の男性社員の方が長期育業されることになったということですが、具体的な施策を打たれたのでしょうか。

明比:社内イントラネット上に育業や子育ての支援制度の案内を掲載しています。また、対象者や育業希望者に対して個別面談を積極的に実施しています。
それ以外に取り立てて人事が長期の育業を促進したということはありませんが、やはり、時代の流れや育児・介護休業法の改正で産後パパ育休などが始まったことなども追い風になっていると思います。会社の風土と社会の動きとが相まってより長期に育業する社員が増えてきたのだと思います。

育業後も仕事と家庭を両立できる支援制度を充実させ、仕事と家庭の両立がしやすい環境づくりと望まない離職の防止

―御社では、育業促進につながるキャリア支援制度が充実しているようにお見受けします。まず、先日のニュースリリースにも掲載されたキャリア支援制度にいて教えていただいてもよろしいでしょうか。
※2023年9月22日 NEWS RELEASE女性活躍推進の優良企業として「えるぼし」の認定における最高位3つ星を取得

セガサミーホールディングスのキャリア支援制度の一覧

明比:今年度弊社が「えるぼし」の認定における最高位の3つ星を取得し、「くるみん」の認定を受けました。その際に、これらに関連した弊グループの取組を対外的にも案内させていただきました。
どれもすでに運用されている制度ですが、社内ではイントラネットなどで支援が必要になった時にすぐに閲覧できるような形で整理して案内していました。今回の「えるぼし」認定等をきっかけに、弊社の育児、育業支援に対する姿勢や、仕事と家庭の両立を実現するための制度等を多くの方に知ってもらえたらと思い、この機会にニュースリリースの中に掲載いたしました。

―企業内保育園『そらもり保育園』はどのような目的で設置されたのでしょうか。

そらもり保育園の様子

明比:大崎本社にある企業内保育園の『そらもり保育園』は、セガのコーポレートカラーである青を空(そら)、サミーのコーポレートカラーである緑を森(もり)として、それらを合わせて“そらもり”とネーミングされました。2018年、弊グループが各社の本社機能を大崎に集約したことを機に、従業員の仕事と育児の両立を支援することを目的として開園しました。
現在は通年の利用に加え、仕事現場に早く復帰したい場合や第一希望の保育園に入園できるまでの期間に、一時的に利用するといったケースも多くあります。いずれにしても、お子さんが生まれた後も希望するキャリアや子育ての実現が可能となる支援をさせていただいております。

―子育て中の社員の方に活用されている制度にはどのようなものがありますか。

2022年3月9日同社NEWS RELEASEより

明比:子育て中の社員が男女ともに多く活用しているのが、セレクトタイム制度(制度概要は上述のとおり)とテレワークです。前掲のキャリア支援制度一覧を見ていただいても分かる通り、これらは子育て支援に限定して設けられた制度ではなく、様々な働き方ニーズに対応するための制度になっています。家庭環境によって制約が出てしまうのが時間と場所ですが、それらに対して自由度を上げることができます。例えば、テレワークですきま時間を活用すれば、短時間勤務に切り替えなくてもフルタイム勤務を続けられるので収入を維持することができます。
また、セレクトロケーション制度によりパートナーの転勤やご両親の介護等で移住が必要な場合でも対応できますので、会社を辞める必要はありません。
その他、全社員にフレックス制度が適用されています。今日も男性社員がお子さんのお迎えに行くので「夕方は早めにオフィスを出るよ」という話をしていました。社内もそういった働き方に慣れているので、本当に自然な光景になっています。

―ところで、御社がこうした人事・福利厚生制度を充実させてきたきっかけは何かあったのでしょうか。

明比:きっかけは育業ではないのですが、介護を理由にやむなく離職するというケースが過去にありました。その際、制度がないから働き続けることが難しい、辞めざるを得ないといったことがないように、「望まない離職を防止しよう」と方向性を決めました。まさに、そこからです。弊グループでは、今後マルチカルチャー人財の採用もさらに加速していく予定です。そのような多様な人財と長く働いていきたいと思っております。
弊グループで働くことを望む人財を取り巻く環境は様々です。必要とされる支援や制度がないために、離職または入社を諦めるということはないように、最低限のことはやっていこうということが弊グループの考えになりました。

育業をはじめ、人財キャリア支援は長期的に会社にプラス。これからも制度の磨き上げを続ける

―様々な制度を整備、設置されておられますが、社内ではどのような反応や影響がありましたか。

明比:当初の目的であった望まない離職は少なからず防止できていると思います。また、ありがたいことに新卒、中途ともに採用においては多数のご応募をいただいている状況です。もちろん、福利厚生が充実しているからという理由で応募いただくということは少ないと思いますが、やはりこれらの制度がないから弊グループへの入社を諦めるということは減っているのではないかと思います。現在は優秀な人財の採用、さらには事業の成長につながっていると実感しております。

―取組全体として順調のように見えますが、新しく見えてきた課題やこれから取り組みたいことなどはありますか。

明比:実感として良い傾向になっていると感じているのですが、アンケートなどで実際の満足度や希望等について数値的に取ってないため定量的に現状を捉えられているかというと必ずしもそうではないと感じております。社員に対してキャリアアンケートを年に1回実施していますが、今後は、こちらの中に育業に関するアンケートも入れていきたいです。と言いますのも、グループとしては、もっと長期で育業してほしいという本音があります。育業したい社員が期間として十分にできているのかなどを調べて、新しい取組を検討していこうと考えているところです。
また、マルチカルチャー人財の採用も増やそうと考えています。そうなるとさらに多様な働き方への対応が必要になると想定されます。これからも、社員それぞれの背景や希望に合わせた働き方が選択できるように新たな制度を導入したり、既存の制度を見直したりと、磨き上げていきたいです。

―貴重なお話をありがとうございます。最後に、これから育業促進や育業支援に関する取組を検討している企業様にメッセージをお願いいたします。

明比:育業の取組はどうしても1年間誰かが不在になってその分の業務をどうしようとか、コスト面のこととかが議論になりがちです。確かに短期的に見れば会社にとって解決が難しい課題になってしまいます。他方で、貴重な人財のキャリア支援や会社の成長を長期的な視点で考えると、育業支援に会社として向き合い、取り組むことは非常に有意義と考えています。ぜひ重要な経営課題として捉えていただき、社会全体で育業を支援していただけましたら嬉しい限りです。

育業支援は、長期的な視点から会社にとってメリット大
これからも社員が多様な働き方を選択できるよう支援し続けます

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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