掲載日:2025年3月21日
フューチャー株式会社
育業推進を新たなイノベーションを生み出すきっかけに。
働きやすい安心安全な環境で、多様なプロフェッショナルの活躍を目指す。
フューチャー株式会社は、テクノロジーをベースに「ITコンサルティング&サービス事業」と「ビジネスイノベーション事業」の2軸でビジネスを展開しています。多様な人財一人ひとりが個性を活かして活躍できる環境整備に取り組んでおり、近年は男性の育業推進にも注力しているといいます。
同社グループ人材戦略室給与労務チームの石川 愛美(いしかわ まなみ)さんと、管理職を務めながら2024年に育業を経験したTechnology Innovation Group パートナー・山上 燦(やまがみ さん)さんに、同社の育業推進についてお話を伺いました。

自主性尊重の社風が男性の育業を後押し
―御社の男性育業の状況や推進し始めた背景を教えてください。
グループ人材戦略室給与労務チーム 石川愛美さん(以下、石川):2024年の男性社員の育業取得率は65.9%、育業した日数は平均107.7日となっています。当社の業務はプロジェクト制で、以前から担当プロジェクトが完了するタイミングで長期の休みを取りリフレッシュする社員が多かったこともあり、最近ではその期間を延長して育業する社員が増えています。
特に2020年からのコロナ禍以降は男性の育業取得率が増加しました。全社的にリモートワークに移行したことで子供と接する時間が増加し、育業という選択肢がより身近なものになったのではないかと考えています。
―リモートワークはどれくらいの社員が利用されているのでしょうか?
石川:ほぼ100%の社員がリモートワークを活用しています。当社では出社とリモートワークの頻度・回数について会社としての規定は設けておらず、プロジェクトの状況や個人の事情に応じて柔軟な運用をしています。
Technology Innovation Group パートナー 山上燦さん(以下、山上):会社全体で統一したルールを作らず、部署や社員各自の判断に委ねている部分が大きいのが当社の特徴のひとつです。プロフェッショナルの自覚を持って、自分の働き方は自分で律する。一人ひとりがプロとして仕事に臨み、チームの成果を最大化させる働き方が根付いているのだと思います。
石川:「自分たちが働きやすい職場環境を自分たちで作ろう」という意識から、社員が主導して働き方のルール作りを行うことも多いです。今から20年ほど前の事例になりますが、会社として初めて育業する女性社員が出たときにも、当事者や有志が集まって社員自ら制度を整えたという歴史があります。
―育業を支援する社内制度は他にもあるのでしょうか?
石川:「Family休暇」や「チャイルドケア補助費」といった制度が支援につながっていると考えています。Family休暇は名前の通り家族のために使える特別休暇です。年次有給休暇とは別に年5日間まで取得可能で、子供の看病や行事のほか介護などにも使えることが特徴です。チャイルドケア補助費は12歳までの病児・病後児保育にかかった費用を、上限2万円まで補助する制度です。
制定当時は主に“育児をしながら働く女性社員”を支援する目的で導入されたものですが、男性社員も活用できる制度です。男性が積極的に育児に関わることを後押しできているのではないかと思います。
課題解決で管理職の育業が増加
―男性の育業を推進する際の課題などはありますか?
石川:今では管理職が育業するケースが増えているのですが、数年前までは今ほど進んでいませんでした。管理職の育業が多い背景のひとつには、当社社員の平均年齢が33.7歳(2023年12月末時点)であることから、子育て世代の管理職が多いという事情があります。管理職になるとお客様との折衝から社内のチームマネジメントまで幅広い業務を担うため、業務の引継ぎも幅広くなってしまうことが課題となっていました。
―そうした課題をどのように解決されたのでしょうか?
石川:具体的な施策とは異なるのですが、一番は「会社全体が管理職の育業に適応してきた」ことが大きいと思います。管理職が育業する際にどのような業務の引継ぎが発生するのか理解が進んだことで、チームメンバーも協力がしやすくなったのだと考えています。実際に、2024年に育業した男性社員のうち約6割が管理職でした。
山上:私もその管理職のうちの一人で、2024年の7月から9月まで3ヶ月間育業しました。私の場合は自分の上長が育業しているのを見ていたので、自分も積極的に育業しようと思っていました。
業務としては70人ほどのチームをまとめる立場で、取引先の責任者と直接やり取りすることも少なくありません。そうした業務も含めてチームメンバーに引き継いでいきましたが、みんな非常に協力的でスムーズに引継ぎすることができました。また、まだ管理職ではないメンバーが管理職の業務の一部を経験することになるので、今後のキャリアを含めた個人の成長につながることも期待しています。
“先輩”のアドバイスで育児の悩みを解消
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―育業の準備はいつ頃から始めましたか?
山上:業務の引継ぎについては先に述べた通りですが、実際に育業する準備は子供が産まれる半年くらい前から進めていました。自分でも育業制度について調べてはいたのですがなかなか複雑なため、労務関連を担当するグループ人材戦略室の社員に、私にとってちょうどいい育業の仕方をアドバイスしてもらいました。
―育業中のエピソードを教えてください。
山上:子供はものすごいスピードで成長していくんだな、と実感しました。子供が「昨日までできなかったことをできるようになる」様子を間近で見られることはとても嬉しかったです。
一方でヒヤリとしたこともありました。いつの間にか寝返りを覚えて、気付いたら子供がベッドの端まで移動していて落ちる寸前だったことがありました。まだうまく寝返りを打てない時期だと思っていたので、成長の早さに良くも悪くも驚きの連続です。
―社内の育業経験者からのアドバイスを参考にしていたそうですね。
山上:社内のチャットルームで育業・育児の経験者が集まるオープンなチャンネルがあって、“育業の先輩”が育児の相談に乗ってくれます。
私も子供の寝床の環境や、おすすめのおしり拭きのメーカーを教えてもらいました。最近では子供の成長を記録するためにちょっといいカメラが欲しくなって、先輩たちがどのようなカメラを使っているのか質問しましたね。ミラーレス一眼を持っている人がいたり、家の中に360度カメラを置いて定点で子供の様子を記録したり。いろいろな人がいて多くのアイデアが出てくるのでとても参考になっています。これから子供が大きくなって新たな悩みが生まれたときにも頼りにしたいと思っています。
家庭と仕事の両立が、イノベーションの創出につながる。
―これからの育業推進の展望を教えてください。
石川:男性社員の育業取得率は毎年60%以上を維持できているので、今後も60%以上を目指していきたいです。加えて、まだ育業について考えていない社員や自分事になっていない層までもが育業したいと思えるような制度にできるよう、制度の認知度と満足度の向上を目指したいですね。満足度を上げるため、定期的に育業についてのアンケートを実施し、意見を吸い上げてより良い制度を作っていきたいと考えています。
過去に育業制度を整えた女性社員たちの取組を原点として、現在の育業制度にも受け継がれてきています。社員一人ひとりの「こういうふうに働きたい」という想いが今を形作り、これからを作っていくのだと思います。今後も働きやすい安心安全な環境の整備を進めながら、多様なプロフェッショナルの活躍を後押しして新たなイノベーションを生み出していきたいと考えています。
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