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東京都

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掲載日:2023年1月11日

大豊建設株式会社

日々の自動販売機の利用が子供たちの未来につながる!日本全国に現場を持つ建設会社が生み出した新しい寄付の形

大豊建設株式会社では、全国各地にある建設現場に、こども食堂支援自動販売機を展開・設置し、その売上の一部を『認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ』様に寄付することで、全国のこども食堂の活動を支援する取組を実施しています。本取組の仕掛づくりについて、大豊建設株式会社の企画本部コーポレートコミュニケーション部ESG推進課 中西未樹さんにお話を伺いました。

大豊建設 中西未樹さん(右側)

協働できる仲間との出会いが、子供のための取組を加速させた

―子供向けの取組を始めた背景、理由、きっかけについてお伺いさせてください。

企画本部コーポレートコミュニケーション部ESG推進課 中西未樹さん(以下:中西):当社が子供向けの取組を始めたのは、東京都こどもスマイルムーブメントへの参画がきっかけです。2022年1月に立ち上がった企画本部のコーポレートコミュニケーション部ESG推進課が子供向けの取組を担当しているのですが、立ち上げ当時は、SDGsやESGに関する活動を手探りで検討している状況でした。
そうした中で、当社の事業の柱が土木・建築ということもあり、会社として東京都の仕事を多数実施しているため、東京都をはじめ、多様な主体が連携して、「現在」「未来」の子供の笑顔を生み出すこどもスマイルムーブメントの展開について知る機会に恵まれました。その「子供を大切にする社会をつくる」という主旨に賛同し、ムーブメントへの参画を決定しました。参画後は、特に「未来を担う子供を大切に育てる」に着眼し、SDGsの「ゴール1.貧困をなくそう」「ゴール2.飢餓をゼロに」「ゴール3.すべての人に健康と福祉を」「ゴール4.質の高い教育をみんなに」に寄与することを目標に掲げて、取組の検討・実施をしております。

大豊建設が寄与を目指すSDGsのゴール

―現在実施している子供向けの取組はどのような内容でしょうか。

中西:本社をはじめ、全国各地にある建設現場にて、こども食堂支援自動販売機を展開・設置し、その売上の一部を『むすびえ』様に寄付することで、全国のこども食堂の活動を支援する取組を実施しております。
また、『むすびえ』様を通じて、『勝どき枝豆プロジェクト』様や『認定NPO法人キッズドア』様にBCP(事業継続計画)備蓄品を寄贈する取組も実施しております。

―どのような経緯で、また何から着想を得て実施することになったのでしょうか。

中西:はじめは、BCP備蓄品の寄贈から始まりました。当社では、BCP備蓄品、救出用機材を常時保持しているのですが、飲料水や食品には消費期限があるため、入れ替えが発生します。その際に、希望する社員に配布し、残ってしまったものはやむを得ず廃棄しているという状況でした。しかし、限りある資源をなんとか有効に活用したいとの想いから寄贈先を探していたところ、こども食堂への全国的な支援を行っている『むすびえ』様の存在を知り、お声がけしたという経緯があります。『むすびえ』様の担当者様が非常に親身にサポートしてくださり、本社があります東京都中央区の『勝どき枝豆プロジェクト』様や『キッズドア』様をご紹介いただく中で、現在の取組が生まれました。

勝どき枝豆プロジェクトへのBCP備蓄品の寄贈
(左から、大豊建設 稲垣部長、勝どき枝豆プロジェクト 共同代表前嶋さん)
キッズドアへのBCP備蓄材の寄贈
(左から、むすびえ 脇村さん、大豊建設 福田室長(現 企画本部 副本部長)、キッズドア 理事長渡辺さん)

中西:BCP備蓄品を寄贈する実施頻度・間隔は、消費期限である5年から10年に一度にならざるを得ず、もっと定常的な支援ができないかという課題感も持っていました。「定常的な支援事業はないだろうか?」と検討する中で、現在注力しているこども食堂支援自動販売機の取組のアイデアが出てきました。このアイデアは、大手清涼飲料水メーカー様と協力して日本赤十字社への寄付を行った経験からヒントを得ています。その際に考案した「寄付型スキーム」のノウハウを生かし、こども食堂への寄付に繋げる自動販売機を導入できるのではないかという考えが浮かびました。大手清涼飲料水メーカー様、『むすびえ』様に打診したところ、「是非やりましょう!」とご回答を頂くことができたことで、現在のこども食堂支援自動販売機の展開に至っております。

大豊建設本社ビル(B1F)
(左から大手清涼飲料水メーカー 久保健一地区統括部長、むすびえ 佐甲かほ子プロジェクトリーダー、大豊建設 福田浩二室長(現 企画本部 副本部長)

日々の自動販売機の利用が、”子供たちの未来につながる”寄付に変わる

―一緒に取組ができる企業・団体はないか?と模索を進める中、様々なご縁があり、道が拓けてきたという経緯があったのですね!そうして生まれた取組には、どのような特徴やアピールポイントがありますでしょうか。

中西:建設現場の自動販売機で飲料を購入するという日常的行為が、”あなたの1杯が子供たちの未来につながる”という寄付行為と結びついたという点に特徴があるのではないかと考えています。寄付をするという行為は、意外と心理的なハードルが高いように思いますが、それが飲み物を購入するという行為になった際には、そのハードルがぐっと下がるようです。しかも、飲料の金額はいつもと同じです。「自分が購入した飲み物の対価に寄付金額が含まれており、子供たちのためになっている」という設計が、結果的に、寄付に対する恥ずかしさや金銭面での負担を和らげる効果的な形になっているのではないかと思います。

―具体的に取組を検討・実施していく中で、大切にしていたこと、重視したことは何かありますでしょうか。

中西:単発的であったり、担当部署だけの取組であったりということではなく、会社全体としての継続的な取組とすることを重視してきました。大豊建設は全国に現場がありますので、地域ごとに継続的に貢献でき、関わりを持つ皆様に有益な取組となることを目指しています。ただし、地域ごとに関係性やニーズには違いがあるため、今後設置する自動販売機をすべてこども食堂支援自動販売機にするという画一的な対応とはせず、地域特性に配慮しながら柔軟に取組を進める予定です。

―取組を始めるまで、もしくは始めてから、どんなハードルや苦労にぶつかりましたか。それらにぶつかった際、どのようにして乗り越えたのでしょうか。

中西:『むすびえ』様、大手清涼飲料水メーカー様のご協力のおかげで、こども食堂支援自動販売機の展開スキームを構築するところまでは順調に進みました。ただ、社内を含め、こども食堂支援自動販売機という取組が、世の中にまだまだ伝えきれておらず、浸透していない。もっと積極的にすべてのステークホルダーに発信しなければならない、という課題感を持っております。今回の記事で、「東京都こどもスマイルムーブメント」の参画企業・団体様に少しでも認知して頂き、「こども食堂」に集まる子供たちへの支援の輪が広がればと思っております。

取組を始めて気づいた、現場の従業員が持っていた社会貢献への想い

―取組を実施する前と後で、本取組に対する社内の反応に変化はありましたか。

中西:活動を始めて驚いたのは、思っていた以上に建設現場の従業員が社会貢献活動について関心を持っていたということでした。気にはなっていたものの、どの様にアクションを起こしたら良いかわからないという中で、普段利用している自動販売機で飲料を購入することが社会貢献につながるのであれば、是非協力したいと言ってくれたことが印象に残っています。
新しいことを始める際に反発が起きることは世の常かと思いますが、こども食堂支援自動販売機は『三方良し』のスキームであるためか、好意的な反応も多数いただいています。自販機を設置した際に、建設現場の従業員が記念に写真撮影してくれたという嬉しい話も耳に入っております。

日本全国の現場での記念写真

こども食堂支援自動販売機の仕組みは、誰でも始めることができる!

―現場からそうした反応がもらえるのは、本当に嬉しいことですね!現在実施されている取組をさらに改良、拡大していく等、今後の展望やビジョンをお伺いさせていただけますでしょうか。

中西:これからも、未来を担う子供たちへの支援を継続・拡大し続けていきたいと思っております。こども食堂支援自動販売機の仕組みは、『むすびえ』様、大手清涼飲料水メーカー様、『大豊建設』の3社で始めたものですが、「こども食堂」を通した子供たちへの支援を行いたいと思われた企業・団体様であれば、どなたでも始められる活動となっております。既に、同業他社様や当社の顧客、施主様にも広がっています。
もちろん、建設現場だけでなく、自動販売機を設置できる場所と電源が確保できる企業・団体様は、是非当社にご連絡をください。多くの皆様に、『こども食堂支援自動販売機』の設置をご検討いただけたら嬉しいです。

―現在実施中の取組のほかに、新たに実施を企画している取組等があれば教えていただけますでしょうか。

中西:BCP備蓄品の寄贈で関係性ができた『キッズドア』様が、2022/11/1~2023/1/10まで「年末年始に向けて困窮子育て家庭に食料を届けるための寄付のお願い」というクラウドファンディングを実施した際には、当社本社ビルのこども食堂支援自動販売機の脇で、こちらのクラウドファンディングに寄付する為の募金箱を設置し、支援を募りました。
『キッズドア』様の渡辺理事長もおっしゃっておりましたが、こうした活動は、未来の子供たちへの投資です。子供を支えることは、将来の働き手をつくることです。この活動を通じて、子供たちが「建設業」に興味を持ってくれて、将来建設現場で働きたいと思ってもらえたら、こんなに嬉しい事はございません。各社・団体が、取組を通して子供たちへの投資をし、自社・団体や社会の持続可能性につながっていくとよいのではないかと思います。

人と人をつなぐ縁を大切に、これからも子供たちのための取組を続けていく

―最後に、子供たちに向けたメッセージをお願いいたします。

中西:『むすびえ』という名称には、子供と、こども食堂と、こども食堂を応援しようとする人たちをつなげる役割を果たしたいという願いが込められているそうです。当社は、『むすびえ」様に『勝どき枝豆プロジェクト』様や『キッズドア』様といった東京都中央区で素晴らしい活動をされている団体とむすんでいただきました。繋いで頂いたご縁に感謝をし、今度は当社が子供たちを応援していく番だと思っております。
本業である建設業でも、未来の子供たちが住みやすい街、魅力ある街『東京都』を共につくるご協力をして参りたいと思っておりますので、今後とも、こども食堂支援自動販売機共々宜しくお願いいたします。

―素敵なメッセージをいただき、ありがとうございました!

子供たちの明るい未来をつくるために、こども食堂支援自動販売機の仕組みを考案・実現し、他社・団体への展開まで貢献する大豊建設株式会社の取組は、建設会社としての特性が十二分に発揮された意義のある活動です。

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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