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東京都

  • 育業促進

掲載日:2024年3月25日

明治安田生命保険相互会社

男性職員の育業取得率、4年連続100%! 風土醸成の工夫とは?

日本で最初に生まれた生命保険会社として、保険事業はもちろん、健康づくりのサポートや地域貢献活動など様々な活動を行っている明治安田生命保険相互会社。

同社は2017年から東京都とワイドコラボ協定を締結しており、また、企業ビジョンの一つとして「未来世代との絆」を掲げていることから、こどもスマイルムーブメントの取組にも参画しています。

※ワイドコラボ協定:東京都と企業等が複数の政策分野にまたがって包括的・横断的な連携・協力を行っていく協定

社内と社外の両方で子供や子育て世代の応援に力を入れている同社は、男性職員の育業取得率が4年連続100%を達成しています。そこで、同社人事部 ダイバーシティ推進室(2024年4月より 人財開発・ダイバーシティ推進室) 室長 桑山 裕衣さんと、昨年実際に育業された武藤 将仁さんに、職員の育業を推進するための工夫や、体験談についてお話をうかがいました。

人事部 ダイバーシティ推進室(2024年4月より 人財開発・ダイバーシティ推進室) 室長 桑山 裕衣さん

育業取得率が一気に上昇! 急速に進んだ環境整備

―職員が育児と仕事の両立をしやすくするために、どのようなことを行っていますか?

桑山:運動会や参観日など、子供の行事へ参加するための『キッズサポート休暇』 や、子供が急に発熱した時の看病等のために取得できる『子の看護休暇』など、様々な制度を設けています。

中でも力を入れているのは、男性職員の育業の推進です。直近4年間は男性職員の育業取得率が100%になりました。2023年度からは、パートナーの妊娠が分かった時点で出産予定日を申告し、所属長と相談のうえ「男性育休取得計画書」 を作成する仕組みにするなど、さらに計画的に育業しやすくなるような取組を追加しています。

※社内での休暇制度名称は「育児休職」としているため、資料では「育休」と記載しています

―育業取得率100%は素晴らしいですね。4年連続ということですが、それ以前から数値は高かったのでしょうか?

桑山:それが実は、2012年に『ダイバーシティ推進室』を設けて社内体制を見直すまでは、決して良い状況ではありませんでした。

男女とも育児と仕事の両立が当たり前になってきている時代に、このままではいけないという思いから、急ピッチで社内改革を進めてきました。

―急速に社内改革が進んだのはどうしてでしょうか?

桑山:制度を整えるだけでなく、育児を応援する社内風土の醸成にも力を入れたことが大きな要因だと考えています。具体的には、年に1度、多様な働き方についての意識改革を促す『ダイバーシティ・フォーラム』の開催や、弊社独自の『ワーク・ライフ・マネジメントプログラム』の導入などを実施しました。

『ワーク・ライフ・マネジメントプログラム』とは、ワークライフバランスを定着させる行動を組織の評価に反映させる仕組みです。テレワークや早帰り等の柔軟な働き方や、男性職員の育業取得率が部署や所属長の評価に反映されることになります。これによって、すべての所属長がワークライフバランス定着のための取組を「自分ごと化」しやすくなったと感じています。

―所属長や周りのメンバーの意識が変わると、育業しやすくなりますね!

桑山:はい。ただ、今でも職務や部署によって「休めるわけがない」という先入観に囚(とら)われる方も少なくありませんので、その点は変えていく必要があると思っています。育業は、遊ぶためにするのではなく、パパママとしての役割を果たすためにするわけです。もしかすると仕事より大変かもしれません。

そのために、昨年は意識改革に一層力を入れました。『ダイバーシティ・フォーラム』では、男性の育業をテーマに経験者のパネルディスカッションや、「どうしたらもっと育業をしやすくなるか」を考えるブレストなどを行いました。全所属の管理職やダイバーシティ推進リーダーが参加して、活発な議論を行いました。

―『ダイバーシティ・フォーラム』の反響はいかがでしたか?

桑山:とても大きな反響がありました。管理職から、『育業をしにくいと思っていた営業所長でも長期でできるんだ!』『男性も育業をすることが当たり前になっているんだね、考えを変えなければ…。』といった声がたくさん上がりました。固定観念を取り除き、「誰でも育業が当たり前」という風土の醸成につながったと思います。特に、男性の育業が普及していない頃から働いている世代には大きな意識改革となったようです。このような反応は大変嬉しかったですね。

ダイバーシティ・フォーラムの様子

―意識改革も推進されていて素敵ですね! 意識改革のための取組は他にも実施されていますか?

桑山:はい。所属長や管理職だけでなく、当事者の意識改革にも取り組んでいます。

その一つが、パートナーが出産を控えている男性職員に対しての動画配信です。妊娠〜出産期の女性に起こる体・メンタルの変化や、女性がパートナーに何を期待しているかなどをまとめた独自の動画を制作しました。この動画は、男性職員はもちろん、女性職員からも喜ばれました。

弊社は全国に1,000を超える拠点があるため、本社からのメッセージが届きにくいこともありますが、動画などを通じて全国の職員に発信することで、育児と仕事をより両立しやすい会社を目指したいと思っています。

実際に育業をした方の本音は? 復帰までのリアルなエピソード

―ここからは、2023年に育業をされた主任スタッフの武藤さんにもお話を伺います。まず、育業された期間と当時の状況を教えてください。

武藤 将仁さん(以下、武藤):妻の退院から約2週間は「産後パパ育休(出生時育児休職)」、その後約2か月間は育業をしました。初産かつ双子で、妻も私も両親が遠方在住でサポートを得るのが難しいことから、私が育業をすることは必須だと考えていました。

―会社の休職制度については元々ご存じだったのでしょうか?

武藤:制度の存在自体は知っていましたが、詳細は知りませんでした。妻の妊娠がわかってから慌てて調べ始めましたね。

―育業をすると伝えたときの周りの反応はいかがでしたか?

武藤:私の周りでは、これまで長期で育業をした男性職員がほとんどいなかったため、反応が少し不安ではありましたが、幸い周りのメンバーは応援・協力してくれました。妻が妊娠の安定期に入ってから育業の意向を伝え、私が不在の間の業務やプロジェクト推進方針を伝達しました。引き継ぎも計画的に行ったため、自分だけではなく周りの同僚達も、精神的にも業務的にも十分に準備ができたのではないかと思います。

―実際に育業をしてみた率直な感想を教えていただけますか?

武藤:一言で言うと、「大変だったけど、して良かったな」です。

私は、所属の中で責任のあるポジションを任せていただいているため、まずは育業にあたって引き継ぎや体制整備は大変でした。さらに育業中は、子供たちが同じ時間に寝てくれず、体力面でも精神面でも参ってしまうことなどもありました。それでも振り返ると色々プラスになったと感じています。

我が子の成長を間近で見守れたことも良かったことの一つです。初めての寝返りなど、1日ごとの成長を実感できる瞬間に立ち会えたことは何物にも代え難いですね。

―復帰後に感じた変化などはありましたか?

武藤:一定期間、育児に専念したことによって、「仕事の息抜きを家庭で、家庭の息抜きを仕事でする」という好循環を意識できるようになりました。こういう考え方は、育業しなければできなかったと思います。公私共にメリハリがつき、仕事と家庭の両面に好影響がありましたね。

―実際に育児を経験し、「他にこんな制度や仕組みがあったらいいな」と思うことがあれば教えてください。

武藤:業務をカバーしてくれたメンバーに特別賞与や休暇の付与があると、よりモチベーションは高まると考えます。また現在は、子供がいる職員に一律『子の看護休暇」が年に5日付与されていますが、子供の人数が多いと看病が必要となる日数も増えるため、子供の人数に対して日数が追加されるようになればとても助かると思います。

―それが実現すると、より育児をしやすい環境になりそうですね。このような意見も踏まえ、人事部としての今後の展望を教えてください。

桑山:武藤が話してくれたようなアイデアも含め、職員の意見を聞きながら、さらなる環境整備に取り組んでいきたいと思っています。

2024年度からは、新たに産前からパパが取得できる休暇制度を設けます。特に二人目以降のお子さんの場合、パートナーが入院している間、上の子の育児をする際にも役立ててもらえると考えています。また、国が制定している育児休業制度はお子さんが2歳になるまで取得可能となっていますが、弊社では独自に3歳まで取得可能な制度を作る予定です。

男性職員の育業取得率が100%とはいえ、まだまだ「必要な時に、必要な期間できるか」という面では課題が多いと感じています。より育業がしやすい企業になれるよう、尽力していきたいです。

子供たちの健やかな未来に 貢献できる企業でありたい

―最後に、子供たちや子育て世代に向けたメッセージをお願いいたします。

桑山:弊社では、生命保険会社の根幹である生命保険商品の提供とアフターフォローを大切にしながら、従来の役割を超えて、健康づくりのサポートや、地域貢献活動等、様々な活動を行なっています。子供たちの健やかな成長と、そのための環境づくりも大きな命題の一つです。

職員が育児をしやすくなるような環境を整備するだけでなく、志を同じくする団体や自治体等と協働し、子ども向けのスポーツイベントやコンサートなど、様々な取組を通して、次世代を担う子供たちのより良い未来づくりに貢献していきたいです。

―ありがとうございました。

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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