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東京都

  • 子供の成長応援

掲載日:2024年3月26日

一般社団法人エスコートダンス協会

エスコートダンスを通じて、自分と相手の心を大切にする姿勢を育みたい

「エスコートダンス」とは、自分や相手の心を「許す」・「触れ合う」・「認め合う」ことを大切にしたペアダンスです。 日本エスコートダンス協会は、「エスコートダンス」を通じた教育やイベント運営、社会貢献活動などを行っており、相手の気持ちを察し、手を差し伸べられる社会を創ることを理念として活動しています。 今回は、エスコートダンスを通じた取組やダンス教育にかける想いについてお話を伺うとともに、小学校への出張授業の様子を取材させていただきました。

一般社団法人 エスコートダンス協会 代表理事 野口幸代さん

コラボレーションも進行中! 参画が活動を広げるきっかけに

―こどもスマイルムーブメントに参画されたきっかけを教えてください。

一般社団法人 エスコートダンス協会 代表理事 野口幸代さん(以下、野口):子供たちに向けた活動をもっと広めていきたいと思っていたところ、東京都のWebサイトでこどもスマイルムーブメントを知りました。指針や取組を見て、私たちの活動や思いにぴったり合うと感じましたので、参画を決めました。

―参画してから何か変化はありましたか?

野口:参画企業・団体同士の交流会に参加したことをきっかけに、他企業とのコラボレーションが決まり、準備を進めています。今後も、同じ志をもつ参画企業・団体の皆様や行政機関とたくさん繋がって、子供たちの明るい未来のための活動をもっと広げていきたいと思っております。

―現在実施している取組内容について詳しく教えてください。

野口:不定期で、未就学児・小学生向けの「こどもエスコートダンス」を体験するイベントを開催したり、幼稚園・保育園・小中学校への出張授業を行ったりしています。

小学5年生への出張授業を取材! 体育の時間にエスコートダンスを体験

千代田区立お茶の水小学校での出張授業の様子を取材させていただきました。

この日行ったのは、小学5年生に向けた出張授業。体育の時間を使ってエスコートダンスを体験していただきます。ウォーミングアップの後、相手をエスコートする動きやターンの練習を行い、最後に野口さんの掛け声と音楽に合わせてみんなでダンスを踊りました。

授業の中で野口さんは、「目と目を合わせ、心を通わせて、相手の気持ちを考えながら動こう」と呼びかけ、子供たちはその言葉を受けて各自工夫して取り組んでいました。相手をエスコートする動きを練習した後、どんなことを意識したか子供たちに質問してみると、「相手が飽きないようにいろいろな動きを取り入れた」「相手がついて来られるスピードにした」など、思いやりを感じられる答えがたくさん挙がりました。

初めのうちは、いつもと違う先生、内容に、少し緊張気味の子供たちが踊ることを恥ずかしがっている様子も見られましたが、慣れてくるとだんだん動きも軽快に。音楽に合わせて踊るシーンでは、相手としっかり目を合わせ、リズムに乗って笑顔で楽しむ姿が見られました。 授業の最後は、野口さんの「日常生活の中でも、相手が何を考えているか、どうしたら喜ぶかを考えて行動してみてくださいね」というメッセージで締めくくられました。

授業後の子供たちはリラックスした表情で、エスコートダンスを通じてクラスの空気が温まったように感じました。

―取組を始めたきっかけや背景を教えてください。

野口:元々、趣味や仕事として競技ダンス(社交ダンス)に関わっていたのですが、クルーズ船内での社交ダンス講師のお仕事がきっかけになりました。クルーズ船内のお客様達は、言語や国籍の違いなどもあって、コミュニケーションがなかなか円滑に進んでいませんでした。しかしダンスに取り組んでいくうちに、船内の雰囲気が和やかになりました。これをきっかけに、私はダンスに秘められた可能性を再認識しました。「見た目の美しさだけを追求するのではなく、心を許す・触れ合う・認め合うダンス(=エスコートダンス)を広めたい」と考えるようになりました。

エスコートダンスは、国籍、地位、年齢等に関わらず誰でも楽しめるものです。元々子供が大好きだったこともあり、教育にも活かしたいと考え、活動開始当初から子供向けの取組には力を入れています。子供の頃にエスコートダンスを体験すれば、楽しく踊る中で相手を思いやる気持ちやコミュニケーションが自然と身に付き、自身の存在価値にも気が付いて、よりよく生きていくことに役立ててもらえるのではないかと思っております。

―楽しみながら、様々なことを学べるのは素晴らしいですね。相手が動きやすいように踊ることで、思いやりやコミュニケーション能力は高められそうですが、「自身の存在価値」に気付けるのはなぜでしょうか?

野口:ペアで踊るエスコートダンスは、決して一人で踊ることができません。相手と自分の存在があって初めて完成するものですので、ダンスする上で「自分はいなくてはならない存在だ」という感覚が生まれ、自分自身の価値を実感することができます。

また、「自分はこう動きたい」「相手にこう動いてほしい」といった気持ちを、アイコンタクトや動きを通して伝え、それを受け取ってもらうことで、より楽しく充実した体験になります。その成功体験を積むことによって、自信が付き、自己肯定感を高めることができると考えています。

―ダンスというと運動のイメージが強いですが、エスコートダンスでは心や気持ちの面で得るものが非常に大きそうですね。

野口:はい、そうなっていると嬉しいです。現代に生きていると、他者からの評価を気にすることが多いですが、エスコートダンスを踊る時間は、周りの目を気にせず自分自身と相手を大切にする時間になるといいなと思っております。「ダンスとはこういうふうにすべき」という概念から離れ、踊っている間は心の触れ合いを楽しんでもらいたいです。また、手と手で直接触れ合うことによって心がほぐれ、温まるような時間になるのではないかと思っております。

全ての子供たちにエスコートダンスを! 相手に向き合うコミュニケーションの機会を増やしたい

―今後の展望を教えてください。

野口:良い意味で「ダンス」のイメージを壊し、『自分と相手に向き合えるコミュニケーションの機会』であることをもっと広めたいです。その一つとして、子供たちへの教育にも、もっとエスコートダンスが取り入れられるように頑張っています。具体的には、子供たち向けの教材づくりや、学校から出張授業を依頼してもらいやすくする仕組みづくり、新しい習い事としての確立など、様々なプロジェクトを進めています。将来的には、全ての子供たちが授業の中で体験できるようにすることが私の夢です。

―今後に向けて、コラボレーションのご意向がありましたら教えてください。

野口:私たちは、子供たちに向けた取組をもっと広く、様々な方法で実践していきたいと考えています。子供たちの未来のための活動で、エスコートダンスが活用できるシーンがありましたら、ぜひ協力して取り組みたいと思っております。ご興味を持ってくださった企業・団体の方はお気軽にお声がけください。

―最後に、子供たちへのメッセージをお願いいたします。

野口:ぜひ、一緒にエスコートダンスを踊りましょう! 運動やコミュニケーションが苦手でも、全く問題ありません。心を通わせてリズムに乗ることは、とても楽しい経験になるはずです。そして、踊ることを通じて、自分自身や相手を大切にする心を持ってもらえたらとても嬉しいです。

―ありがとうございました!

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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