掲載日:2025年2月4日
特定非営利活動法人ウイズアイ
子供を中心に家族・地域の絆をつなげ、支え合い学び合い続けられる社会を作りたい
東京都清瀬市を拠点にさまざまな子育て支援活動を行っている、特定非営利活動法人ウイズアイ。子育てひろばの運営や一時保育、小中学生や親のための教育事業など、取組は多岐に渡ります。 今回は、これらの取組や、活動の中で大切にしていることについて、特定非営利活動法人ウイズアイ 理事長の後藤和之さん、副理事長の西田由美子さん、理事で立ち上げメンバーでもある増田恵美子さん、赤ちゃんのチカラプロジェクトご担当の黒田一美さん、事務局の植木晴美さんにお話を伺いました。
子供と親たちの安心できる存在に。みんなの絆をつなげ、地域で支え合う
―現在の取組内容について教えてください。
特定非営利活動法人ウイズアイ 黒田一美さん(以下、黒田):子供たちやその親を支える事業を中心に展開しています。なかでも、子育てひろば事業や認可保育園、一時保育事業、育児不安の解消をめざす『新米ママと赤ちゃんの会』をはじめとした親支援プログラムの運営が大きな部分を占めています。ほかにも、小学生に向けた命の教育、ヤングケアラーのいる家庭への支援、発達支援・不登校児の支援など、乳幼児以外の年代への取組も広げています。
―このような事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか?
特定非営利活動法人ウイズアイ 理事 増田恵美子さん(以下、増田):活動のきっかけは、約30年前に保健師として働いていた私が、清瀬市の事業である新生児訪問を委託されたときの話に遡ります。新生児訪問では、赤ちゃんが産まれたご家庭に訪問し、身体測定をしたり相談に乗ったりするのですが、その中で、不安や緊張・戸惑いでいっぱいの新米ママさんたちにたくさん出会いました。 初めての育児は慣れないことだらけでとても大変です。 そこで、子育ての不安を解消できる場や、孤独な育児から解放されて仲間と助け合っていけるような場が必要だと考えたんです。
―どのようにして現在のNPO法人になったのでしょうか?
増田:ボランティアの民間グループとして、はじめは母乳育児の相談ができる会の運営を始めましたが、「もっとこんな会があったらいい」という声を受けて、誰でも参加できる親子交流の会、悩みを共有できる場 など、取組を広げていきました。 活動を続けていくと、お母さんたちから「2人目の出産の時に、上の子を預かってくれるところがなくて困る」、「発達が心配」といった悩みの声があがりました。こういったお母さんたちのちょっとしたつぶやきを拾って、子どもの発達、発育を助ける事業を開始するなど、その時々で発生する育児のお悩みや要望に応える形で活動を広げていきました。
続けていくうちに、参加者の方が「他の親にももっとこの活動を知って欲しい」と声をあげて、署名活動や市への意見提示などをしてくれたんです。その結果、規模が大きくなり、持続していくためにNPO法人となりました。私としてはやりたいことをやっているだけでしたが、周りの人たちがここまで育ててくれたんです。
―今では本当に多様な活動に取り組まれていますが、なかでも特徴的な、小学生への命の教育『赤ちゃんのチカラプロジェクト』について詳しく教えていただけますか?
黒田:清瀬市のすべての小学5年生を対象に、“命の授業”を行なっています。内容としては、私たちが講師として赴き、第二次性徴や妊娠・出産について伝えるほか、沐浴人形を抱っこする体験や、つどいのひろば(※) に来ているお母さん・赤ちゃんとのオンライン通話などをします。自分自身の体の変化を学び、赤ちゃんについて知ることで、命の大切さを実感してもらうというものです。
※つどいのひろば…0歳~就学前の親子がいつでも立ち寄れる清瀬市委託事業の”ひろば”。年齢に応じた遊びや育児相談や、親子同士の交流ができる。
―授業を受けている子供たちはどんな反応ですか?
黒田:積極的に授業に参加してくれるのですが、特にオンラインで赤ちゃんの様子を見たり沐浴人形を抱っこしたりする場面では、「かわいい〜!」と声が上がるなど、盛り上がりますね。授業の最後に感想を聞くと、「あったかい気持ちになった」「親に感謝を伝えようと思った」などの声をもらえ、私たちも大変嬉しく思っています。
―先生や親御さんからも反応はありますか?
黒田:はい。先生方からはよく「子供たちの普段見られない表情が見られた」と言っていただきます。また親御さんからは、「家庭でも授業のことが話題に上がった」「このような授業をしてもらうのは貴重な機会になるのでありがたい」といった声をいただきますね。
特定非営利活動法人ウイズアイ 事務局 植木晴美さん:オンラインで繋げているひろば側でも、お母さんたちが小学生に「赤ちゃん、かわいい!」とたくさん言ってもらえることで笑顔になっています。お母さんたちは授業に協力してくれている立場ですが、逆に元気をもらっているようにも見えますよ。
―多くの事業を行われているからこそ、連携できる部分も多そうですね。
増田:はい。はじめは乳児に向けた活動をしていましたが、子供が大きくなるにつれ課題も変わってくるので、今では家族や地域全体を支えていくような活動内容になってきています。 赤ちゃんのための事業だけでは、子供が成長した後に頼れる人がいなくなってしまいます。ですから、私たちがつながり続けることで、「困ったらいつでも助けてくれる存在」となり、地域全体で支え合える環境を作りたいと思っています。
―幅広い活動の中で、共通して大切にしていることはありますか?
増田:大人が笑顔でないと子供は幸せになれません。ですから、まずは保護者の方にとにかく楽になってほしいと思っています。子育ては大変なことも多いですが、甘えられる場所があると頑張れます。ですから、私たちは安心して甘えられる・頼れる存在でありたいです。
特定非営利活動法人ウイズアイ 理事長 後藤和之さん(以下、後藤):保護者たちを支えながらも、“子供たちにとって良い環境が作れているか“ということを意識し、子供ファーストで考えることも大切にしています。子供の気持ちを尊重した活動ができるようこれからも取り組んでいきます。
子供たちが安心してありのままでいられるように。必要とされることを事業にし、積み重ねていく
―今後の展望を教えてください。
後藤:私たちはこれまで、保護者・子供たちの力になりたいという思いで活動を広げ、続けてきました。これからも皆さんの声を聞き、その時々に必要とされている取組を事業に結びつけて、積み重ねていきたいです。
―こどもスマイルムーブメントに期待していることを教えてください。
植木:情報発信のほか、子供たちのために活動をしている他の企業や団体、自治体との新たなつながりを作ることも期待しています。他の取組を知ることで私たちの活動に活かしたり、協力して新しい活動をしたりと、今後につなげていきたいです。
―他の企業・団体へのとのコラボレーションのご意向がありましたら教えてください。
後藤:子供たちのために何か協力してできることがあれば、小さなことでも喜んで一緒に取り組みたいと思っています。子供たちを支え、より良い未来を作る輪を広げていきたいと思っていますので、できることがありましたらぜひお声がけください。
―最後に、子供たちへのメッセージをお願いします。
黒田:いろいろな子供たちと接する中で、自分のやりたいことを諦めたり、我慢したりしている子が多いことを感じます。ですから、子供たちには「やりたいようにやっていいんだよ」と伝えたいです。それができる環境を作るのは大人の役目なので、子供のうちは安心して好きなようにやってほしいですね。
特定非営利活動法人ウイズアイ 副理事長 西田由美子さん:子供たちには、とにかく自分の気持ちを大切にして、ありのままの自分でいてほしいです。それから保護者の方には、今しかない育児を存分に楽しんでほしいですね。大変さばかりに目が行きがちですが、育児ができる時期は長い人生の中のほんのわずかな時間。ぜひその時間を存分に味わいながら、自分とお子さんを大切にしてくださいね。
―ありがとうございました!
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