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東京都

  • 子供の成長応援

掲載日:2025年1月30日

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所

無意識の思い込みに気づくことで、未来の可能性を広げてほしい

無意識の思い込み「アンコンシャスバイアス」の概念を広め、一人ひとりがいきいきとする社会を目指して活動している一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所。講演、研修、ワークショップの運営、全国の小中学校への出張授業など、様々な取組を行っています。今回は、子供たちに向けた活動の内容や大切にしていることなどについて、一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事の守屋智敬さん、理事の坂本陽子さんにお話を伺いました。

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋智敬さん(右)、理事の坂本陽子さん(左)

参画が、新しい視点を取り入れるきっかけに

―こどもスマイルムーブメントに参画されたきっかけを教えてください。

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 理事 坂本 陽子さん(以下、坂本):東京都が行った「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)大規模実態調査」をきっかけに、こどもスマイルムーブメントを知りました。私たちが子供たちに向けた取組を行っていたことに加え、初となる子供向けイベントの開催を控えていたので、より多くの人に活動を知ってもらうきっかけになると思い、参画を決めました。

―参画してから、変化はありましたか?

坂本:「こどもスマイルムーブメント大賞」への応募に向けて、自分たちの取組を振り返る中で、「子供の意見を反映させているか」「DXの推進性」など、自分たちだけでは意識しきれていなかった新しい視点を取り入れることに繋がりました。

アンコンシャスバイアスに気づき、子供たちなりに受け止めてもらうことで未来が変わる

―現在の活動内容について教えてください。

一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋 智敬さん(以下、守屋):アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)に気づくことの大切さを多くの人に伝える活動をしています。子供たちに向けては、小中学校・高校・大学での授業や、道徳の教科書を始めとする教材の監修、イベントの運営などを行っています。

2024年8月8日(木)に開催したイベント「ハットニャール博士の研究所」での様子

―このような事業を始められたきっかけはありますか?

守屋:もともと企業研修などを行っていた私が、ご依頼を受け『がんのアンコンシャスバイアスに気づく』をテーマとしたワークショップを実施させていただいたことがきっかけです。ワークショップに参加されたがん経験者の方やそのご家族などから「アンコンシャスバイアスという概念を知れてよかった」という多くの声をいただきました。私自身も改めてアンコンシャスバイアスに気づくことの大切さを痛感し、アンコンシャスバイアスについて多くの人に知ってもらうため、2018年にアンコンシャスバイアス研究所を設立しました。

さらに活動を続けて行く中で、小学校の先生からご依頼をいただいて授業を行ったところ、子供たちの反応に心を動かされ、「もっと多くの子供たちにアンコンシャスバイアスの授業を届けたい」と思うようになりました。今では、全国各地の学校でアンコンシャスバイアスの授業を行っています。

―授業はどのような内容ですか?

守屋:授業の前半は、自分の中にあるアンコンシャスバイアスを探してもらいます。後半ではアンコンシャスバイアスがあるとどのような問題が起こりそうか、気づくとどのような良いことがありそうかを話し合ってもらう授業です。

―授業を受けた子供たちの反応はいかがですか?

守屋:私たち大人が想定している以上に自由な発想でアンコンシャスバイアスを発見し、自分なりに解釈を広げてくれます。
授業後に、「自分が世界一になるのは無理というのは私のアンコンシャスバイアスだった」「アンコンシャスバイアスに気づくと、いじめや喧嘩、戦争などがなくなると思う」「周りに合わせなくてはいけないと無意識に思いこんでいた」など、本当に幅広い感想があり、多様な受け止め方があることを感じます。

―授業をされる中で、特に印象的だったエピソードがあれば教えてください。

守屋:小学校で授業をした際、学校へ通っていない児童が自宅からオンラインで参加してくれたことがありました。その授業後、感想を記入するための用紙をその児童が直接学校に取りに来てくれて、「頑張ってみようと思った」と書いてくれたそうです。そのときは、ひとりの児童の心に何か響くものがあったことを感じ、目頭が熱くなりましたね。

ーその子の心に大きな変化があったのですね。先生方や保護者の方からも反響はありますか?

守屋:先生方からは、授業での挙手が増えたとよく言われます。また、保護者の方からは「家での会話が変わった」という声もいただきました。「どうせ話しても聞いてもらえない」「相談しても意味がないだろう」という思い込みがなくなり、色々なことを相談してくれるようになったというものです。また、子供がこれまでより新しいことに挑戦するようになったという感想もいただき、変化につながっていることを実感しています。

ー授業のほか、子供向けイベントも開催されたとのことですが、これについても詳しく教えてください。

坂本:弊研究所として初の子供向けのイベント『ハットニャール博士の研究所 in 東京国際フォーラム~アンコンシャスバイアスに気づく6つのとびら~』を2024年8月8日(木)に開催しました。8月8日は、「アンコンシャスバイアスに気づこう!の日」として記念日制定したこともあり、昨年はこの日に開催しました。内容は、参画企業・団体が授業を行い、アンコンシャスバイアスに気づくための体験を提供するというものです。お菓子や性別、物語など、様々な切り口で、無意識の思い込みに気づいてハッとするような体験をお届けしました。

イベントには多くの子供たちが参加
イベントでは様々なワークを通して、無意識の思い込みを学んだ

―初めての子供向けイベントだったということですが、大変だったことはありますか?

坂本:ゼロベースからの企画だったので、試行錯誤の連続でした。子供たちに、楽しくわかりやすく学んでもらうためにはどうすれば良いか考えて、話し合いを重ねました。イベント内容やキャラクターデザイン、配付する教材に至るまで、子供たちの意見を反映しながら作り上げていきました。

―イベントでの子供たちの反応はいかがでしたか?

坂本:楽しかった、面白かったという感想をたくさんいただいたことに加え、「夢を諦めなくていいんだと思った」「リーダーは必ずしもチームを引っ張っていくタイプでなくても、自分なりでいいと思えた」などの気づきが寄せられました。

―色々な取組をされる中で、共通して大切にしていることはありますか?

守屋:「子供たちの未来の可能性を広げたい」という想いを大切にしています。これからの未来を作っていくのは子供たちです。ですから、子供たちの可能性が広がるきっかけを作れるよう活動し、社会の可能性を広げることにもつなげていきたいと思っています。

未来の可能性を信じ、思い込みから一歩踏み出して欲しい

―他企業・他団体とのコラボレーションのご意向がありましたら教えてください。

坂本:子供向けイベントへの参画や、企業のファミリーデーでのワークショップなど、ご一緒できることがたくさんあります。興味をお持ちでしたら、ぜひお気軽にお声がけください。

ー子供たちへのメッセージをお願いします。

坂本:子供たちには、未来の可能性を信じてほしいです。授業やイベントを行うと、「どうせ私には無理と思ってしまう」「周りに合わせてしまう」という子供たちがとても多いことを感じます。でも、「それは思い込みかもしれない」と気づいて一歩踏み出すことで、未来は変わっていきますよ。

守屋:大人の方にも、子供たちの可能性を信じてほしいです。自分では信じているつもりでも、どこかで「どうせこんなことはできない」「あれはしてはいけない」などと決めつけていることがあるかもしれません。そこにひそむ無意識の思い込みに気づき、子供たち一人ひとりのこれからに目を向けていただきたいです。

――ありがとうございました。

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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