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東京都

  • 子供にやさしいまち・商品・サービスづくり

掲載日:2025年3月28日

株式会社フレーベル館

ワクワクする教材や絵本・場の提供を通して、子供たちの育ちを支えたい

保育施設などへの教具・教材の提供、絵本の出版、子供向け施設の運営など幅広い事業を展開するフレーベル館。明治40年に創業し、約120年の間、子供たちの未来のために取り組んできました。今回は、そんな取組の背景や大切にしていることなどについて、株式会社フレーベル館 経営企画本部 事業戦略部部長の大橋誠一さん、広報チームの安藤恵理子さんにお話を伺いました。

株式会社フレーベル館 経営企画本部 事業戦略部 部長 大橋誠一さん(右) 広報チーム 安藤恵理子さん(左)

東京都と連携して新しいことに取り組みたい

―こどもスマイルムーブメントに参画されたきっかけを教えてください。

株式会社フレーベル館 経営企画本部 事業戦略部部長 大橋誠一さん(以下、大橋):こどもスマイルムーブメントの発足時に、東京都から参画のご案内をいただいたのがきっかけです。弊社は創業時から子供たちのための取組を行ってきたこと、そして、本社が都内にあることから、迷わず参画させていただきました。

―参画してから、変化はありましたか?

大橋:参画していることを知っている社員からは「何か新しい取組ができたらいいな」という声が挙がっています。本社には、こどもスマイルムーブメントのポスターも掲示しているので、これからもそういう声が挙がってくると思います。
今後は、こどもスマイルムーブメントというプロジェクトを通して、東京都と協力しながら子供たちの健やかな育ちを支えられる新しい取組をしていきたいです。

創業者の想いを受け継いで、子供たちの主体性・創造性を育み、成長に寄与していく

―子供たちのための取組内容について教えてください。

大橋:保育支援事業、絵本や児童書の出版事業、子供の遊び場『フレーベル館 Kinder Platz(以下、キンダープラッツ)』の運営など、さまざまな取組を行っています。なかでも、創業時から続く保育支援事業は、保育園・幼稚園等に向けた教材・絵本・玩具などの提供や、保育環境改善のための提案、保育の質向上のためセミナーや講師派遣サービスなどを行っています。

―このような取組を始めた経緯を教えてください。

大橋:明治時代に創業者である高市次郎が、子供たちにより良い教材を届けるために保育用品の研究・製造・販売を始めたことがきっかけでした。
当時は、保育用品や教材が発達しておらず、関係者からも「より良いもの、より進歩したものを」という声が聞かれたそうです。そのため、質の高いものをどんどん作り、子供の成長に寄与していこうという想いで、弊社の前身となる会社を立ち上げました。

株式会社フレーベル館 経営企画本部 事業戦略部 広報チーム 安藤恵理子さん(以下、安藤):「フレーベル館」という社名は、世界で初めて幼稚園を創設した、ドイツの教育学者フリードリッヒ・ヴィルヘルム・アウグスト・フレーベルの名前からとったものです。フレーベルは幼児のために、現在の積み木の原点とも言われる「恩物」を考案・製作したことでも知られていて、「幼児教育の父」と呼ばれています。創業者の高市は、そんなフレーベルの考えや功績を称えて、社名を「フレーベル館」としました。
高市の想いは100年以上経った今でも受け継がれており、弊社は子供たちの豊かな学び・育ちのための取組を続けています。

「恩物」はフレーベルが考案・製作した教育遊具の総称

―本当に歴史が長いのですね。2016年から開設された遊び場『キンダープラッツ』についても教えてください。

大橋:近年は核家族化や過疎化が進み、親同士が子供連れで集まる場が少なくなってきています。このような背景から、気軽に集まれて子供たちの成長を共に育むことができる場を提供しようと考えたのが始まりです。キンダープラッツでは、弊社がもつ教材開発や保育のノウハウを活かし、「子供たちが自分で気づき、考え、作り出せる力」を育む遊びを提供しています。現在は東京都のアリオ葛西店をはじめ首都圏に7店舗を展開しています。

子供の遊び場キンダープラッツ(アリオ葛西店)

―さまざまな取組をされる中で、共通して大切にしていることを教えてください。

大橋:フレーベルの有名な言葉に『さあ、わたしたちの子どもに 生きようではないか!』というものがあります。ここには、「子供たちのために・子供たちと共に、大人が生きていこう」という意味が込められています。私たちも、常に子供たちを中心として考え、事業を展開することを大切にしています。

安藤:また、フレーベルの教育思想を背景に、子供たちの「主体性」や「創造性」を大事にしようという思いも取り組みの底流に常にあると思います。

―子供たちの主体性や創造性を育むために、具体的にはどのような工夫をしていますか?

安藤:子供たちが「ワクワクするかどうか」を意識するようにしています。人はワクワクするものに出会うと、「やってみたい」「もっと知りたい」「こうしたらどうなるだろう?」という気持ちが湧き、主体的に関わろうとするものです。大人に言われて受動的に関わる時とは違う創造的な考え方が生まれ、気づきや学びも深いものになります。

大橋:例えば積み木で遊ぶ時、大人が遊び方を教えるよりも、子供たちが自由に組み立てた方が、創造的な活動ができますよね。また、絵本や図鑑などの児童書でも、大人が一方的に読み聞かせるのではなく、子供たちが、「読みたい」「何だろう?」と主体的に関わる方が新しい発見もあり、得るものが大きいものです。
ですから、子供たちの好奇心を刺激し、学びや育ちを支えられるようなもの・サービスを提供できるように、日々工夫しています。

ー子供がワクワクすることが提供するものやサービスの軸になっているんですね。実際、貴社の教材や絵本、サービスなどを活用している方からはどのような反応がありますか?

安藤:さまざまなお声をいただきます。弊社の出版する絵本を読んだ子供たちからのお便りが編集部に届いたり、保育施設の先生方から「絵本をきっかけに子供たちの活動が広がった」等お聞きすることもあり、そんな話を聞くととても嬉しいです。実際に園で絵本や教材に夢中になってくれている姿、遊び場での楽しそうな笑顔を見ると、尊いな、と(笑)。

大橋:私が営業時代に園を訪問した際、一輪車が壊れていたのでその場で修理をしたら、子供たちが集まってきて「すごい!ありがとう!」とたくさんお礼を言われたことがあります。
私たちの提供しているものが、子供たちにとって大きな存在になっていることを実感し、胸が熱くなりましたね。

ー子供たちが日常的に触れるものやサービスを提供している貴社ならではですね。今後の展望についても聞かせてください。

大橋:それぞれの事業で発展させていきたい取組はさまざまありますが、弊社全体としては、自治体と連携した取組を加速させていきたいです。既に協定を結んでいる自治体もありますが、子供たちのための活動をもっと進めたいと考えています。

子供たちを取り巻く課題を解決し、笑顔で成長できる社会に

ー子供たちへのメッセージをお願いします。

大橋:今の子供世代は、私たちが子供の頃より多くの社会的問題を抱えているように思います。その問題を直接的に解決することは難しいかもしれませんが、弊社の取組が回り回って子供たちの環境をよくすることに繋がればいいなと思っています。誰もが笑顔で大人になっていける社会を作りたいです。

安藤:私たち大人が、子供たちがワクワクするような明るい未来になるように頑張っていきます。だからこそ、子供たちには自分の未来を楽しみにしていてほしいです。

本社1階のショールーム。月刊保育絵本や市販本、玩具が並ぶ。小さなお子様連れや一般の方も集える場所

―他企業・他団体とのコラボレーションのご意向がありましたら教えてください。

大橋:一つの企業・団体で取り組むには難しい課題も、自治体や異業種の企業が協力すれば解決できる場合があります。子供たちの未来のために問題を解決するプロジェクトにはぜひ参加したいです。

安藤:また、東京都と一緒にワークショップやイベントを行ったり、弊社の絵本や教材、保育のノウハウなどを活用して教育現場の課題を解決する方法を考えたりしたいです。東京都を発端に子供たちが生きる社会が子供たちにやさしい場所になるように、皆さんと力を合わせていけたらいいなと思っています。

――ありがとうございました。

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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