掲載日:2023年2月8日
朝日信用金庫
地域の未来のため、子供たちにお金の学びや様々な体験の機会を提供
朝日信用金庫ではNPO法人キッズフリマとともに、物の売買を子供のみで行う小学生向けフリーマーケット「キッズフリーマーケット」に取り組んでいます。地域の金融機関として他機関と連携しながら取組を行う良さや、子供向けの取組に込めた思いについて、総合企画部 広報室 室長の平井利昭さん、営業統括部 地域サポート室 室長の三木淳さん、同室 調査役の鈴木辰生さんにお話を伺いました。
NPO法人と連携し、子供たちがお金について学ぶ場として「キッズフリマ」を開催
―現在実施している子供向けの取組について教えてください。
総合企画部 広報室 室長 平井利昭さん(以下、平井):NPO法人キッズフリマ様とともに、売り手も買い手も子供だけのフリーマーケット「キッズフリーマーケット」を2017年より開催しています。この取組は、商品の売買を子供のみで行うことにより、子供たちにお金やモノの大切さを伝えること、コミュニケーション力などを育んでもらうことを目的としています。出店者の子供は洋服や漫画、おもちゃなど各々持ち寄った物を自身で値段をつけて出品し、来場者の子供は現金を使って出品された物を購入します。
新型コロナウイルス感染症の流行で2020年と2021年は実施を見送りましたが、2022年には3年ぶりに再開し、4回目の開催となりました。文部科学省や環境省、金融庁、金融広報中央委員会、台東区教育委員会の後援を受け、台東区や墨田区など、当金庫の近隣地域にある小学校から参加者が集まりました。コロナ禍を考慮して1回に会場に集まる人数を大きく絞りつつ、できる限り多くの子供たちに楽しんでもらうため、1部と2部に分けて開催しました。その結果、出店者数は2部合わせて29店48名、会場での買い物を楽しんだ来場者数は189名とコロナ禍前とほぼ同規模で、参加可能人数の上限いっぱいの子供たちにご来場いただくことができました。
地域の未来と発展のため、金融機関として貢献できることを検討した
―売り手も買い手も子供だけのキッズフリーマーケット、とても楽しそうです!この取組を開始した経緯について教えていただけますか。
営業統括部 地域サポート室 室長 三木淳さん(以下、三木):キッズフリーマーケットは、当金庫において2007年よりCSRの一環として開始しました。当金庫は東京23区を中心に、千葉県や埼玉県の一部エリアで地域密着型の金融機関として事業を行っており、お客様の幸せはもちろんのこと、地域の未来と発展にも貢献したいと日頃から考えています。地域の未来を担うのは子供たちです。子供たちがのびのびと健やかに成長できる環境をつくるために、私たちにできることはないかと検討を重ねる中で、NPO法人キッズフリマ様との出会いに恵まれました。キッズフリマ様が展開しているキッズフリーマーケットの「お金やモノの大切さを学ぶ」という主旨に金融機関として強く共感したことから、共同開催のお声がけをし、実施する運びとなりました。もともとは地方銀行さんで行われていた取組でしたが、都内の金融機関、そして全信用金庫の中では当金庫が初めての取組となっております。
金融機関とNPO、双方の強みを生かしてイベントを実施
―都内の金融機関、そして全信用金庫では初の取組になったのですね!キッズフリーマーケットの取組としての特徴はどのような点にありますか。
三木:この取組の特徴は、当金庫とNPO法人キッズフリマ様がそれぞれの強みを活かしながら、準備を進めてきた点にあると思います。
NPO法人キッズフリマ様がこれまでの実績をもとに文部科学省や台東区教育委員会の後援を得ながら、近隣地域の小学校にチラシを配布することで参加者を募りました。また、イベント当日に関しても、同法人の持つノウハウを活用させていただきながら、運営をスムーズに行うことができました。
一方で、当金庫は金融機関として有している地域企業とのつながりを生かすことで、第4回の会場となった浅草ROX・3Gのご協力をいただくことができました。また、第3回以前ではお金の使い方のレクチャーなども担当していました。
双方の強みを存分に生かせているからこそ、子供たちにとって実り多いイベントにできているのではないかと考えています。
コミュニケーション不足やキャッシュレス化など、子供を取り巻く環境の課題を意識
―キッズフリーマーケットを実施する中で大切にしていたこと、重視したことはありますか。
三木:大切にしたことは2つあります。1つ目は、子供のみで行うフリーマーケットという、日常にはなかなかない特別な体験を提供することにより、親子や子供同士のコミュニケーションを活性化できるような場づくりを行うことです。最近は共働きや一人っ子の家庭が増え、外遊びをする機会も減っていることなどから、親子や子供同士のコミュニケーションが不足しているように感じます。子供たちには物の売り買いを通じて、会話や仲間意識、共同作業の大切さを学んでいただきながら、保護者には会場で子供の成長を見守ることで、家に帰ってから「こんなことができたね」と親子の会話を生むきっかけになればと考えていました。
平井:大切にしたことの2つ目は、キャッシュレス時代だからこそ、リアルなお金に触れる機会をつくることです。今は家族で買い物に行っても、交通系ICカードやキャッシュレス決済アプリなどで支払いを済ませる家庭が増えていると思います。子供たちが「駄菓子屋でお菓子を買って、お釣りをもらう」といった体験をする機会は非常に少なくなりました。キャッシュレス決済は便利ですが、その反面、お金が減ってモノが手に入るという「支払い」の意味を体験として理解することが難しく、お金やモノの大切さを実感しにくい環境にあるように思います。キッズフリーマーケットで現金を使うことで、子供たちはお金には限りがあることを学び、限られた予算の中で欲しいものを手に入れるということを体験できます。そうした体験が、子供たちがモノを大切にするきっかけになればと考えていました。
コロナ禍のイベント開催で人数を制限。2部制になったことで生じた苦労
―キッズフリーマーケットを開催する上で、最も苦労したことは何でしたか。
平井:キッズフリーマーケットの取組全体に関して言えば、特に大きな苦労はなく、NPO法人キッズフリマ様との連携も含めて、スムーズにイベント実施までたどり着くことができたように思います。
しかし、第4回の開催に際しては、新型コロナウイルス感染症対策の点で苦労がありました。感染リスクを下げるために、人数を大きく絞って開催したのですが、第3回開催時に多くの参加希望の声をいただいたことから、少しでも多くの子供たちにご参加いただきたく、開催形式や参加者数のバランスについては苦慮しました。特に2部制とするにあたっては、当金庫の協賛金が倍の額になることもあり、庫内で調整する上での大変さはありました。ただ、私たちがこれまで実施してきた様々なイベントの実績もあり、地域金融機関として子供向けイベントに取り組む意義を感じている職員が多く、最終的には倍額の協賛金であっても子供たちの貴重な体験の機会をつくろう!と庫内の意見がまとまりました。
地域社会への貢献を実感。地域密着の金融機関としてあるべき姿を考えるきっかけに
―取組を実施する中で、子供を大切にする雰囲気も醸成されていったのですね。実際にキッズフリーマーケットに参加した子供や保護者、職員からは、どのような感想がありましたか。
平井:子供たちからは「いつもお小遣いをもらっているけれど、お父さんやお母さんはこんなに大変な思いをしてお金を稼いでいるのだとわかりました」「お金を大事に使うことの大切さがわかりました」「商品を売ることの楽しさを知ることができたので、また参加したいです」といった感想をいただくことが多いですね。保護者の方からは「子供が自分で物を売り買いする姿を見て、成長を実感できました」といった声をよくいただきます。
当金庫の職員からは「子供たちの金融教育にも通じる良い取組になっていると思う」という声が多く寄せられています。この取組は職員にとっても、地域社会への貢献を実感することで、私たちが「地域の未来とお客様の幸福を見据えて日々の仕事と向き合う」ことの大切さを改めて振り返る機会になっているのではないかと思います。
文化・スポーツイベントの強化と、より多くの子供に機会を創出する取組を検討中
―キッズフリーマーケット以外の子供向けの取組についても、詳細を教えていただけますか。
平井:当金庫の子供向けの取組は、15年以上の実績があります。最も長く続いている活動は職員による江戸川区民祭りのサポートで、数十年前から参加を続けています。子供たちがお祭りを楽しみ、この先もずっと折に触れて思い出すような素敵な思い出をつくっていただけるよう、子供向けの乗り物の設置などを行っています。
さらに、文化やスポーツなど、子供たちの心と体を育むための様々なイベントも実施しています。例えば、隅田公園内で小学4~6年生を対象に行われる「桜橋・わんぱくトライアスロン2022」では、当金庫が協賛をさせていただきながら、職員がボランティアとして警備などに携わりました。また、東京都交響楽団と連携した、地域の小学校での出張演奏会「朝日ふれあいコンサート」も定期的に開催しています。
さらに、教育機関との連携も大切にしており、小学校からご提供いただいた子供たちの絵を「キッズアートカレンダー」として制作し、作品を提供していただいたお礼にカレンダーを差し上げたりマスクケースや空気清浄機などの学校が必要としている物品の寄贈を行ったりもしています。
―長年にわたって、本当に様々な子供向けの取組を実施されてきたのですね。今後の取組については、どのように考えていますか。
平井:今後については、2つの方向性で取組を企画検討しています。まず、これまでも実施してきた文化やスポーツに関連するイベントはさらに力を入れていきたいと考えています。子供たちの情操教育に役立ち、大人になっても記憶に残るような特別な体験の機会を提供できたら嬉しいですね。
三木:もう1つの方向性としては、より多くの子供たちに遊びや学びの機会を享受していただけるような取組へと幅を広げていきたいと考えています。具体的には、2023年に当金庫が100周年を迎えますので、その周年事業としてSDGsを意識した取組を計画しています。特に、近年問題となっている子供の貧困については、当金庫の支店のある自治体とも連携を強化しながら、少しでも解決に寄与できるよう、私たちにできることを考えていきます。
子供たちがお金の大切さを学び、考えられるよう、今後も機会提供を続けていきたい
―最後に、子供たちへのメッセージをお願いいたします。
平井:子供たちには、お金の大切さを改めて伝えたいです。高校の家庭科で資産形成について学ぶ項目が増えたように、これからは「お金が社会の中でどのように使われ、循環しているのか」「個人はお金とどのように向き合うべきなのか」をしっかりと学び、考えることが大切な時代になると思います。私たちもそのような時代の流れを踏まえながら、キッズフリーマーケットも含めて、金融機関として様々な学びや体験の機会を提供できたらと考えています。みなさんもぜひ、保護者の方と一緒に、お金の大切さについて改めて考えてみていただけたらと思います。
営業統括部 地域サポート室 調査役 鈴木辰生さん:いつかみなさんが大人になったとき、私たちと一緒に学んだことを、自分の子供など次の世代へと伝えていっていただけたら嬉しいです。
―素敵なメッセージをいただき、ありがとうございました!
記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。
紹介した企業・団体
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朝日信用金庫
- 住所
- 東京都 千代田区東神田 2-1-2
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