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東京都

  • 育業促進

掲載日:2024年2月29日

アクサス株式会社

人材確保が厳しいIT業界で採用を拡大し続け、社員数はこの6年で300人から1,000人を超えるまでに増加。その中で“育業”を促進してきた歩みに迫る。

2022年のイクメン企業宣言・イクボス宣言をはじめ、男女が共に活躍し、家庭と仕事を両立できる環境づくりに取り組んでいるアクサス株式会社(本社:東京都新宿区、以下、アクサス)は、ここ数年、毎年300名近い採用を続けています。人材確保が厳しいと言われるIT業界での採用実績を通して見えてきた人材確保と育業促進の関係について、親会社である、株式会社ネオキャリアの採用部長池田亮さんと採用部広報担当舟澤茜音さんにお伺いしました。

採用部広報担当 舟澤さん(左)と採用部長 池田さん(右)

業界全体のあり方と自社のスタンスを見直して人的資本経営※にシフト。公私ともに充実した働き方を提供し、「わくわく」を実現。

(※人的資本経営:人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方。(経済産業省ホームページより))

―アクサス社ではイクメン企業宣言やイクボス宣言※を掲げるなど、積極的に男性の育児への参加を促進されているようですが、どのような背景があるのでしょうか。

(※イクメン企業宣言・イクボス宣言:https://www.wantedly.com/companies/www-axas-japan-co/post_articles/412072

採用部長 池田亮さん(以下、池田): もともとアクサスは、採用支援事業や人材派遣事業を通じて雇用創出や雇用支援を行うネオキャリアグループの一法人ですので、一人でも多くの方が働けるように、そして長く働くことでしっかりとキャリアを築けるように支援することが事業の主軸です。そのため、クライアント企業に雇用の重要性や採用について語るとき、自社がモデルになっていなければ説得力がありません。女性の活躍を推進することに加え、それと表裏の関係にある男性の家庭や育児への積極的参加を推進することも非常に重要と考え、イクメン企業宣言やイクボス宣言を行い、男性の育業促進にも取り組んでいます。

―男性の育児参加や育業を積極的に考えるきっかけはどのようなことでしたか。

池田: 女性の活躍が急速に進んだことが大きいです。私が入社した7年前、アクサスはIT企業として「技術」を主とした考え方でしたが、中長期的に「人」を主とする考え方へスタンダートを刷新していく必要があると考え、某支店の支店長と小さいながら「人」を意識できる取組を模索していました。その一つが、IT事務という枠づくりです。専門知識や技術がなくてもITに関わることのできるポジションを創り、ジョブチェンジやスキル、キャリアアップを目指す「女性」にフォーカスをあて積極的に採用、育成やサポートをする仕組みづくりに尽力しました。女性の比率が上がるにつれ、子育てを理由にエンジニアを諦めていた方などが自然に集まるようになりました。こうした採用実績やそれに伴う業績拡大を見た東京など大都市圏の支店がその取組に次第に加わり、会社のスタンダートが「人」に書き換わっていきました。
会社の財産である社員全員が「わくわく」して働き続けられるためには、これまでの取組に加え、パートナーである男性の更なる育業参加が重要だと思い、男性社員の育業を積極的に推進し、今に至ります。育児や家庭、プライベートの充実を意識する方が増えている時流もありますので、公私共に充実した毎日を社員と一緒に実現できるよう、会社として努力してまいります。

トリプルサポート体制で就業を様々な角度で支援。相談しやすい環境を整え、育業を後押し。

―アクサス社における今の育業の浸透状況について教えてください。

池田: アクサスでは男女ともに希望者は全員が育業しており、男性で育業した者の数も2021年は0名でしたが、2022年には9名に増加しました。社員数の増加、勤続により平均年齢が上がり育業の対象者が増加したことも要因ではありますが、実際に育業の対象者の増加率より育業をした者の増加率が上回っており、全体として育業取得率は上がっていると考えています。

採用部広報担当 舟澤茜音さん(以下、舟澤): 育業する期間は、1か月という者がいれば1年という者もおり、プロジェクトの状況を踏まえながらクライアント企業と相談して決めています。サービス業で他社と差別化を図るためには、指示された業務を行うのは当たり前で、如何に付加価値を提供できるかが大切です。それを意識している社員が多いからこそ、クライアント企業からは「育業をする期間を挟んででもプロジェクトに戻ってきてほしい」と言っていただけるので、社員とクライアント企業の信頼関係があって育業が実現できていると考えています。もちろん、プロジェクト自体が短期間なこともありますので、そういった際には復職後に希望に沿った新しいプロジェクトで活躍してもらっています。

―育業取得率上昇のポイントはどこにあるとお考えでしょうか。

池田: 育業を気兼ねなく相談できる環境作りに尽きます。アクサスの社員の多くはクライアント企業に常駐して業務を行い、お客様が常に隣にいる中で仕事をする環境となっておりますので、自社内の勤務に比べると気を遣わざるを得ない状況にあると言えます。また、プロジェクト期間は役割分担もあるため、どうしても身動きがとりにくい状況です。クライアント企業だから働きにくいということでは全くありませんが、企業間の契約に基づいて業務を行うことからも、社員自身が育業を申し出づらい状況はありました。
その解決の一助になっているのが、エンジニアをサポートする「トリプルサポート体制」です。従来、クライアント企業で働く社員の相談窓口の役割を担っていたのは営業担当だけでしたが、エンジニアが所属する技術部門を独立し、キャリアをメインとした窓口を創りました。加えてエンジニアサポート専任部隊を組織し、複数の相談窓口を設置することで、営業担当・技術担当・サポート専任担当でエンジニアを支えるトリプルサポート体制を整えました。その結果、社員が相談相手との相性や内容などに応じて相談先を選択して活用できるようになり、育業についても相談しやすい環境になりました。

クライアント先で働くエンジニアを支えるトリプルサポート体制

ライフワークバランスを考えた働き方制度を構築し、育業の対象者や管理職を対象にした研修で理解を促進。

―育業に関する相談を受ける側(上司)の理解も必要だと思いますが、その点はどうされたのでしょうか。

池田: 管理職向けの研修はかなり頻繁に行っています。かつては、IT業界全体にハードワークな側面があり、泊まり込みといった働き方が見受けられることもありました。長年こうした環境で働いてきた者が部下を抱える上司になると、働き方の価値観が昨今の求められているものと相違してしまう状況も起き得ます。頭では理解しつつも、「こうやって働いてクライアントに貢献してきた」という自負があるほど、変化の壁になってしまいます。そうした努力によって個人の能力向上や会社の成長に繋がったのも確かですが、これまでの常識や法令は変化していきますので、会社として時代に合った働き方に応え、なにより働く人のことを考えた環境を整える必要があります。その旗振り役でもあるのが管理職ですので、研修は細かく頻繁に実施し、理解の浸透に努めています。IT業界全体が働き方を良くしていくことに積極的であるという追い風もあり、理解の浸透やそのための取組は推進しやすい環境と言えます。

女性向けの働き方の支援制度を、男女問わず対象となる「Family Care Working」にバージョンアップ。長期的な活躍を多角的に支援。

―アクサス社では様々な育業、子育て支援施策を行っておられるようですが、最近の取組について教えてください。

舟澤: 以前は、幣グループの福利厚生として「ショコラ制度」というものを設けていました(参考:https://kodomo-smile.metro.tokyo.lg.jp/companies/14 )。これは女性社員向けに、出産や育児など様々なライフステージを迎える際に使える制度をまとめたものです。しかし、昨今では男性も積極的に育児に参加しますし、育児以外の家庭の事情で必要な支援もあるということで、昨年「Family Care Working」(略称:ファミケア)」として、男女問わず活用できる制度に改めました。日進月歩で変化し続けるIT業界では、一度キャリアが途切れてしまうと、ある意味で振り出しに戻ってしまうところがあります。そのため育児に限らず、社員の置かれた状況に合わせて活躍し続けられる環境を整備し、その情報を社内にしっかり周知するよう活動しています。制度を作っても利用されなければ意味がありませんからね。

―「ファミケア」について詳しく教えてください。

池田: これは、家庭と仕事を両立、充実するためのサポート制度の総称です。新しい制度を周知する上では、こうしたわかりやすい名前があると浸透にはプラスだと思っています。

舟澤: 内容については、一般的な育児や介護等に関する法定の制度のほか、幣グループならではというところで、企業導入型のベビーシッター割引券、チャイルドプラン休職・休暇(不妊治療を理由とした休職・休暇)、幣グループ運営の介護施設の入居割引制度などがあります。
特に、子供の学校行事などに参加するために特別有給休暇を取得できる「成長見逃さないDay」を活用されるパパママ社員は非常に多いですね。例えば卒業式、入学式、運動会、授業参観などへの参加に活用されています。お子さんはあっという間に大きくなってしまいますし、密に関われる期間は非常に短いので、制度を活用してこのようなイベントには積極的に参加してほしいと思います。

社員の子供たちが職場見学できるイベント「ネオフェス」の様子

―育業を促進したことで会社の中の変化はありますか。

池田: 革新的に感じることとして、「ライフワークバランスが取れて働きやすそうだから」という理由で、就職先にアクサスを選んでいただけることがとても増えてきています。以前はどちらかというとバリバリ働きたい、たくさん仕事をしてスキルアップしていきたいという理由で選ばれる方が多かったので、これは本当に大きな変化です。
働きやすさを理由に選んでいただける方が増えているということは、当社を通して様々な未来や可能性を感じていただけているということですので、会社としての成長実感にも繋がっています。

働ける総量を増やし続けることが、結果として業界や社会への貢献に。

メッセージを考える池田さんと舟澤さん

―人材確保が喫緊の課題となる同業他社も多いと思いますが、そうした中で育業促進の重要性について感じていらっしゃることがあればぜひ教えてください。

池田: 現在、日本国内でエンジニアが非常に不足しており、人材争奪戦のような状況が残念ながら生まれています。本来であれば、人材を取り合うのではなく、この業界に携わる人の分母を増やしていくことが重要です。日本の働き方はフルタイムがスタンダートで、多様な働き方を実現するためには、まだまだ課題が多い状況です。フルタイムという働き方がネックになって、労働の機会を失っている方々もいるのではないでしょうか。時間だけでなく場所の課題もありますが、フルタイムに縛られない労働環境を整えることで、様々な人がより多くの会社や仕事に従事でき、結果として業界の成長や発展にもつながると思います。広い視野でエンジニア業界の未来を考えてくださる企業が、1社でも増えていくことを願っています。
育業を推進することは、様々な環境に置かれている人材にいきいきと働き続けてもらうために大切な取組です。アクサスでもまだまだ推進せねばと思っていますが、この7年間で、当初1割だった女性比率を4割にまで上昇させることができたのは、就業意欲のある女性に対し、働き方やキャリア、ライフステージの面で力強くサポートしてきたからだと自負しています。今は男女問わずにいろいろな働き方を支援し、業界全体として拡大していく段階にあると考えていますので、多くの企業と共にIT業界での育業を促進し、業界全体さらには日本全体を盛り上げていきたいと考えています。

アクサスは、育業も仕事も充実し、
エンジニアが「わくわく」する会社を目指します!

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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