中高生による取材記事
掲載日:2025年12月18日
ピジョン株式会社
※この記事は中高生リポーターが作成しました。
世界中の赤ちゃんとご家族にやさしい場所づくりを目指すピジョン
哺乳器をはじめとする育児用品やマタニティ用品、介護用品、保育サービスなどを手掛けるピジョン株式会社(以下、ピジョン)で職業体験を行いました。「赤ちゃんにやさしい社会」をテーマに、妊婦体験やディスカッションなどが行われ、赤ちゃんに興味を持つ中高生10名が参加しました。職業体験と経営者インタビューを通して、私たち中高生リポーターが感じた「ピジョンの目指す未来」について、お届けします。
(文・髙橋さん)
【職業体験のスケジュール】
●1日目
①会社概要説明、商品開発ストーリーを聞く
②赤ちゃんの特徴を学ぶ (赤ちゃん人形だっこ、妊婦体験、ベビーカー体験)
③授乳室や母乳バンクの見学
④赤ちゃんにやさしい社会についてディスカッション
●2日目
①育児中の社員の方と交流
②赤ちゃんにやさしい社会づくりに向けたアイデアをプレゼンテーション
1日目
①会社概要説明、商品開発ストーリーを聞かせていただきました
赤ちゃんを思う社員の皆さんの熱意を実感
最初に、経営戦略本部ブランドデザイン部コーポレートブランディンググループの皆さんから企業理念や取組ついてお話を伺った後、ピジョンのさまざまな商品を作っているプロダクトデザイナーの方から、ピジョンの商品の開発ストーリーを伺いました。
説明を受ける中で、社員の方々の熱意を直接感じることができました。普段は何気なく使っているものにも、このような思いや背景が込められているのだと実感しました。ピジョンは社会に約束することとして「赤ちゃん一人ひとりが生まれもった輝きを育む」というブランドプロミスを策定しています。その言葉を聞いたとき、赤ちゃんやその家族を本当に大切にしている気持ちが伝わってきて、心がじんわりと温かくなりました。
②赤ちゃんの特徴を学びました(赤ちゃん人形だっこ、妊婦体験、ベビーカー体験)
その後、母乳を飲むこと、泣くこと、何でも口に入れて確かめることなど、基本的な赤ちゃんの特徴について学んでから、「赤ちゃん・妊婦さんを知るための体験」に挑戦です。
赤ちゃん人形を抱っこしたり、妊婦ジャケットを着てみたり、ベビーカーを押す体験など、実際にやってみると、思っていた以上に体力を使うことに気づきました。
他の参加者からも「想像以上に重くて大変だった」「普段何気なく見ているベビーカーの操作にも工夫が必要だとわかった」といった感想が多く聞かれ、育児の大変さや工夫について考えるきっかけとなったようです。私自身も、赤ちゃん人形を抱いたときの「思ったより重い…!」という感覚や、妊婦ジャケットの動きにくさに「これが毎日続くのか」と気持ちの重さを感じ、お母さんの大変さが少しだけ実感できました。
③授乳室や母乳バンクを見学しました
さらにショールームの横にある授乳室や母乳バンクを見学しました。母乳バンクは、母親から母乳を寄付してもらい、必要とする赤ちゃんに届ける仕組みです。提供された母乳は安全のために国際的な運用基準に基づき、検査や低温殺菌処理を行ったうえで、医療機関を通して、早産・極低出生体重児(出生体重1,500g未満)で自分の母親から母乳を得られない赤ちゃんに届けられます。母乳には免疫を高める成分が多く含まれており、特に、様々な感染症、病気にかかるリスクが高い早産児において、人工ミルクでは補えない健康上の利点があるため、こうした赤ちゃんの命と成長を守る大きな支えとなっています。母乳バンクがそのような赤ちゃんの命を支えていることを知り、「自分が知らないところでこんなにも人の思いやりが動いているんだ」と胸が熱くなりました。
④赤ちゃんにやさしい社会についてディスカッションしました
最後には社員の皆さんとディスカッションをしました。ピジョンが掲げる「赤ちゃんにやさしい未来像」の6つの社会の姿から、「育児の助け合いができるゆるやかな繋がりがある」「赤ちゃんを産み育てることがハードルにならない」「赤ちゃんが環境危機に困ることなく心地よくいられる」の3つについて、それを実現するためのアイデアについて考え、議論しました。そこで感じたのは、社員さんが「どうすれば赤ちゃんや家族の毎日が少しでも幸せになるか」を真剣に考えていることです。その姿勢にとても感動しました。
(文・出井さん)
2日目
①育児中の社員の方と交流しました
「子育ても仕事も楽しめる社会」を社員の皆さんが実践
育児と仕事の両立について、引き続き、経営戦略本部ブランドデザイン部コーポレートブランディンググループの皆さんにお話を伺いました。
実際にピジョンで子育てをしながら働いている方々のお話を通して、時間の使い方の工夫について知ることができました。ピジョンでは育児休業などの福利厚生がとても充実していて、子育てをしながらでも安心して働ける環境が整っていました。例えば、週4回の在宅ワークや3か月間有給で休むことができる育児休業など、子育てをする両親にやさしい制度がありました。実際の子育てと仕事の両立は忙しく、想像以上に大変だと感じることもあるそうですが、それでも「忙しさの中にもやりがいや喜びがある」という言葉がとても心に残りました。
②赤ちゃんにやさしい社会づくりに向けたアイデアをプレゼンテーションしました
また、グループに分かれて「赤ちゃんと社会をつなぐアイデア」を考え、発表しました。中高生だけでなく、社員の皆さんも参加した議論では、授乳室だけでなく赤ちゃんと休めるスペースが必要だという意見や、社会全体で赤ちゃんが安心できる場所を増やすことが大切だという意見が出ました。さらに、公立中学校に赤ちゃんとお母さんが自由に遊びに来られる時間を設け、生徒と赤ちゃんがふれあうことで、地域のつながりを深められるのではないかというアイデアもありました。こうした様々な意見に、とても真剣に耳を傾け、アドバイスをくれた社員の皆さんの姿がとても印象に残っています。
赤ちゃんを産み育てることが両親にとってハードルと感じないように、新しい育児グッズの開発や、育児休業の社内制度を推進して、赤ちゃんが日常に溶け込む環境を整えているピジョンという会社は、赤ちゃんがマイノリティとならない社会を目指している『赤ちゃんにやさしい』会社でした。
(文・千葉さん)
中高生リポーターによるインタビュー取材
職業体験終了後、私たち3人から矢野社長へ取材を行いました。
ご協力いただいた方
ピジョン株式会社 代表取締役社長 矢野 亮 さん
■生き生きと働くことが出来る職場について
―髙橋さん:
社員の福利厚生や子育て支援に力をいれていらっしゃるとのことですが、他の会社へもそのような支援の輪を広げていくために、ピジョンができることは何ですか?
矢野社長:
社員サポートの中で、福利厚生や育業などはとても大事な制度だと考えています。その中で実際に社員が制度を利用することは、社員の当然の権利ですし、制度を利用できるようにサポートすることは会社の使命だと考えています。ピジョンでは、男性社員の育児休暇制度を2006年から開始しました。当初、その制度名は「ひとつきいっしょ」でした。制度の内容としては、男性社員が1ヶ月間、給料の発生する休暇制度です。この制度は2016年からは現在まで取得率100%を維持しています。現在は「すくすくいっしょ」という制度名に変わり、期間も最長で3か月間となっています。また、ピジョンには在宅勤務の仕組みもあります。社員がこれらの制度を使った結果、生き生きと仕事をできるようになって欲しいです。
育業などは社会全般の問題だと思います。ピジョンの社員が制度を利用して業務に取り組むことで事業活動や社会に貢献していると伝えていくことが大事だと思っています。なので、他の方にも知っていただく機会として、講演会を行ったり、制度内容について自社ホームページに掲載して、多くの方にご覧いただきたいと思います。このような形でサポートの輪が広がっていけば、嬉しいです。
―出井さん:
もし私たちのような中高生が、赤ちゃんに優しい社会づくりに参加できるとしたら、どんなことから始めたらいいですか?
矢野社長:
今の中高生が、今いただいた質問のような意識を持つことはとても難しいと思うんですね。何故なら社会では核家族が多く、中高生が赤ちゃんや親子を見る機会が減っているからです。ですが、今回中高生リポーターの皆さんに学んでいただいたような内容を、ピジョンでは全国の中学校向けの教材「赤ちゃんを知る授業」として継続的に提供しています。授業を通して、赤ちゃんの特徴、子育ての苦労と喜び、周囲の方の手助けの重要性等を知っていただき、それらを知った中学生が、周りの友人、家族などに自分から広めていって欲しいです。でも、大変さよりも、ぜひ楽しさを伝えていって欲しいです。子育てには苦労を超える喜びがあります。中高生リポーターの皆さんにもこの2日間の職業体験や取材内容を身近な友達に伝えるだけでなく、「赤ちゃんを知る授業」についても広めていただけたら、幸いです。
―千葉さん:
商品開発を行うときに、大切にしていることは何ですか?
矢野社長:
全ての中心にあるのは『赤ちゃんファースト』です。赤ちゃんは言葉を話せないので、モニター観察を重ねながら商品開発を行います。またその過程で得た気づきや意見を、すぐに商品に活かすことを意識しています。研究開発には特に時間をかけていて、1番赤ちゃんのことを分かっている、という自負があります。たくさんの時間をかけて、安心・安全で、赤ちゃんの健やかな成長をサポートし、育児が楽しくなるような商品開発を目指しています。
―お忙しい中、ありがとうございました!!(千葉さん、髙橋さん、出井さん)
ピジョンの職業体験・取材に参加した中高生リポーターの声
*五十音順
(出井さん)
今回の体験や取材を通して一番強く感じたのは、「人のために本気で行動する」って本当にかっこいいということです。社員の方々はただ仕事をしているのではなく、「どうしたら赤ちゃんや家族が安心できるか」「どうすれば毎日がもっと笑顔になるか」を常に考えていました。その姿を見て、私たちは心を動かされました。世の中には、誰かの幸せを一番に考えて行動している人たちがいる。そう気づいたとき、自分が普段当たり前に思っている日常の裏には、たくさんの人の努力や思いやりがあるのだと実感しました。だからこそ、私たちも「誰かのためにできること」を小さなことから見つけていきたいと思います。
将来の仕事に限らず、学校生活や部活動、友達との関わりの中でも、人を思って動ける人になれたら、きっと素敵なことなんだと感じました。
(髙橋さん)
私は今まで、職業体験やアルバイトを経験したことがなかったので、実際に働いている人のお話を聞けたのはとても貴重な経験になりました。中でも、育児と仕事の両立をしている社員の方のお話は特に心に残りました。私は一人っ子で、いとこも年上なので、子育てをしている様子を間近で見る機会や、子育てについての話を直接聞く機会がほとんどありません。そのため、「将来、自分が赤ちゃんを産み育てるかもしれない」ということに現実味がなく、街で赤ちゃんを見かけても、ただ「かわいいな」と思うだけで終わっていました。しかし、この2日間を通して、赤ちゃんのこと、育児のことを知ることができ、自分にも何かできることはないか、と考えるようになりました。まずは、今回学んだことを周りの人に伝えたり、興味のあることを自分で調べたりして、直接的でなくても、赤ちゃんが輝けるようなやさしい社会づくりのサポートをできたら、と思っています。
私ができることの第一歩として、小さなことかもしれないけれど、まずは電車に乗った時、街を歩く時、イヤホンをしてスマホばかり見るのではなく、周りを見て音を聞くこと。困っているお母さんがいないかな、赤ちゃんが笑っていて幸せそうだな、そんなことに気づける自分でいたいです。
(千葉さん)
今回、ピジョンに職業体験に行く前は、男性が子育てにどう関わることができるのか、あまり想像ができませんでした。でも実際に話を聞いて、子育ては女性だけのものではなく、社会全体で支えていくものだと感じました。男性が子育てに関わることで、女性の負担が減るだけでなく、赤ちゃんにとっても安心や喜びが広がるのだと思います。また、僕自身、生まれる時に困難があり、母がとても苦労したと聞いています。その経験を思い出すと、赤ちゃんが無事に生まれて元気に育つことは本当に奇跡的なことで、そこには大きな感動のドラマがあると感じました。だからこそ、その大切な時間を支える会社の存在は、とても意味のあることだと思いました。
今回の職業体験を通して、これからは自分も子育てをもっと身近に考え、将来につなげていきたいと思いました。普段は気がつかないことを考える機会になり、とても勉強になりました。
記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。
