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東京都

  • 育業促進

掲載日:2025年3月21日

株式会社SHIFT

夏休みにはキャンプやサマースクールを開催
会社全体で子育てを応援する企業の育業推進とは。

株式会社SHIFTは、2005年設立のソフトウェア品質保証などの事業を展開する企業です。近年は事業規模を拡大しており、従業員の働く環境の整備にも注力しているといいます。

人事本部コーポレート人事部エンプロイープランニンググループの藤永 真由美さんと、ソリューション本部デリバリ改革統括部デリバリ改革部品質プラットフォームグループグループ長補佐の平岡 伸さんにお話を伺い、同社の男性育業の状況を教えてもらいました。

人事本部コーポレート人事部エンプロイープランニンググループ・藤永真由美さん(写真左) ソリューション本部デリバリ改革統括部デリバリ改革部品質プラットフォームグループグループ長補佐・平岡伸さん(写真右)

制度をもっと使いやすく!“お節介”なほど行き届いた相談窓口

―御社が男性育業を推進したきっかけなどを教えてください。

人事本部コーポレート人事部エンプロイープランニンググループ 藤永真由美さん(以下、藤永):弊社で育業が大きく浸透したのは2020年頃ではないかと思います。私自身が2019年に出産・育業を経験したのですが、社内制度の整備が実際に出産育児に携わる当事者視点でまだ十分ではなく、育業に関する社内の情報がまとまっていなかったため調べるのに大変苦労しました。
2020年に復職してからは上司と相談のうえ採用担当から人事制度を企画する担当に移り、育業や短時間勤務などの人事制度に関する情報を集約して育業の相談窓口を作り、制度を活用しやすい環境を整備しました。

―自身のご経験から制度の整備に着手したのですね。

藤永:育業する人が増えたのは昨今の社会情勢もあるかとは思いますが、窓口を整備して以降、男性従業員の育業は2021年に11人、2022年に33人、2023年に61人、2024年に101人と急速に増えてきています。育業取得率でも、数値の取得を開始した2022年の44.0%から2024年には85.6%まで上昇しています。

ソリューション本部デリバリ改革統括部デリバリ改革部品質プラットフォームグループグループ長補佐 平岡伸さん(以下、平岡):私も2024年に2回に分けて合計58日間育業しました。最初に窓口で相談をしたとき、まず育業に関する資料や制度の説明をしてくれました。それだけでもかなり育業の理解が進んだなと感じたことを覚えています。

藤永:私たち人事は、「お節介をする」をテーマのひとつに掲げていますので、手厚すぎるくらいの対応で個別のケースにも柔軟に対応して、そのご家庭に合わせた育業を実現するためのお手伝いをしています。

会社全体で、従業員の子供のためにイベントを開催

―現状、育業推進にあたっての課題はありますか?

藤永:育業する際の意識の切り替えは重要視しています。育業中でも仕事が気になってメールチェックや何かの作業をしてしまうことも考えられますので、どうやって仕事モードのスイッチをオフにするかが大切だと思います。
弊社ではシンプルに“仕事ができない”環境にすることで意識の切り替えを図っています。在宅勤務が多く家に会社のPCを持って帰るのは当たり前になっていますが、育業の際には育児に集中する期間にしてもらうためPCの持ち帰りを禁止しています。一方で、社内の情報がまったく知りえない、また問合せもできない、だと育業中の従業員側も不安になります。そのため、一部の情報を開示できるようにしたり、問合せ窓口を専用で作る、定期的にお知らせを出す、などにも取り組んでいます。

―社内の育業に対する理解はどのように浸透させていますか?

藤永:全従業員を対象としてeラーニングを実施し、管理職には育業やコンプライアンスなどの研修を定期的に受けてもらうことで理解を促しています。ですが弊社は育業や子育てに対して非常に前向きな文化が根付いており、代表の丹下をはじめ、管理職のメンバーも育業を応援する意識が当たり前になっています。

平岡:私が上司に育業を相談したときにも、応援する意識が浸透していることを実感しました。前職で1人目の子供が産まれたときはまったく育児に参加できなかったので、2人目が産まれた今回はどうしても育業したいと思っていました。前職での経験から上司に相談する際には嫌味のひとつくらい言われることを覚悟していたのですが、「おめでとう」とお祝いの言葉をもらって業務調整もスムーズに行うことができました。eラーニングや研修が、子育てに対する前向きな文化を後押ししているのだろうと思います。

―その文化もあって、毎年行われている行事もあると聞きました。

藤永:はい。従業員とそのご家族を対象にサマーキャンプやサマースクールなどを実施しており、毎年多くのお子さんにご参加いただいています。サマーキャンプは2泊3日の行程で参加した従業員に「SHIFTで働いていたから、子供たちに特別な経験をさせてあげることができた」と感じてもらえたらとの思いで実施しています。
私も子供を連れて埼玉県で行われた田植えイベントに参加したことがあります。普段、炊き上がったご飯を見慣れた子供たちに、田植えや稲刈りを通して食育を行うのは、新鮮でいい経験になったかなと思っています。

平岡:サマースクールは夏休みや春休みなどの学校の長期休みを使って、2週間以上にわたって子供たちに様々なコンテンツに触れてもらうイベントです。参加する子供は期間中だけ、保護者と一緒に会社に“登校”してもらうかたちになります。
サマースクールでは基本的に従業員が講師を務めます。私たちも運営に携わって、藤永はお金の価値について解説するマネーセミナーを企画し、私も生成AIを使って遊ぶコンテンツに講師として参加しました。授業が終わった頃には教えた子供たちと仲良くなれたりして、大人にとっても良い経験になっていますね。

―平岡さんが育業した際のことを教えてください。

平岡:私が育業の準備を始めたのは、産まれる半年ほど前からでした。妻と相談しながら育業の期間を検討して、産まれた直後の5月末から1ヶ月間と、小学生の上の子が夏休みに入る8月の1ヶ月間に分割して合計58日間の育業でした。希望通りの期間で育業できたので、妻も「育業に理解のあるいい会社だね」と言ってくれました。
先ほどお伝えしていたように、周囲が前向きに協力してくれたので業務の調整で困ることはありませんでした。上司と相談して、育業前に完了できる業務や、引継ぎしやすい段階まで進められる業務を引き取らせてもらい、育業中1ヶ月だけ復職する期間も、1ヶ月でやれる業務を担当しました。また同僚からも「間に合わない可能性がある業務は引き取りますよ」と気にかけてもらったりして、上司にも同僚にもとても感謝しています。周囲が協力してくれたからこそ、私も育業前にしっかりとできることをやり切ろう、とやる気が出ました。

―育業中のエピソードはありますか?

平岡:2人目の子供だったので育児自体で困るようなことはなかったですが、子供が2人に増えたことでの大変さはあるなと感じました。上の子の夏休みに合わせて育業したことで、上の子が外に出たがったときに、妻は下の子の面倒を見て私が上の子を連れて出かけるなど、育児を分担しながら取り組めました。
また、最近下の子が“ずりばい”できるようになったのですが、このタイミングで上の子がブロックのおもちゃにはまってしまい、家のあちこちにブロックが散らばるようになりました。下の子が口に入れてしまわないよう気づいたらすぐ片付けているのですが、思わぬところにブロックが落ちていたりするので注意しています。

男性育業の推進で、社会課題の解決に取り組む。

―今後の男性育業の推進について展望を教えてください。

藤永:2026年までに、育業取得率を90%まで引き上げたいと考えています。2024年で85.6%ですので、あとは育業制度への理解の浸透を図って「それだったら育業しようかな」と思う従業員を増やしていければと思っています。弊社のコミュニケーションツールにはパパママのコミュニティがあって、そこの有志が「産育休ガイドブック」を作成してくれました。このガイドブックは社内向けにしか公開しておらず、会社のPCが自宅にない育業中は自宅で読むことができません。そのため今後社外にも公開できる内容にブラッシュアップし、育業中でも参考にできるガイドブックとして活用していくような広報活動も考えています。
子育ては社会課題のひとつで、弊社は社会課題の解決に取り組む企業です。タグラインの「その常識、変えてみせる。」に込めた想いで、SHIFT流の解決策を提示しながら育業・子育てしやすい環境を作っていきたいと思います。

記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。

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