コラボレーション活用事例
掲載日:2026年3月10日
一般社団法人チーム主夫ラボ×株式会社ぎゅぎゅっとハッピー×東京都立昭和高等学校
東京都が取り組むこどもスマイルムーブメントに参画する企業・団体の交流会「MEET UP!」を機につながった、チーム主夫ラボとぎゅぎゅっとハッピー。昭和高校を舞台に、3者のコラボレーションにより、昭和高校の生徒に向けて出前授業が行われました。授業の内容や生徒たちの反響、出会いの経緯などについてお話を伺いました。
(左)昭和高校 主幹教諭 石田先生 (中央左)チーム主夫ラボ 代表理事 高木さん (中央右)ぎゅぎゅっとハッピー 代表 三原さん (右)ぎゅぎゅっとハッピー 研修講師 保坂さん
生徒と社会をつなぐ探究学習。 外部専門家による出前授業の意義とは
――昭和高校ではどのような出前授業を実施しているのでしょうか。
昭和高校 主幹教諭 石田先生(以下、石田):2022年度から全国の高校で「総合的な探究の時間(探究学習)」が必修科目になりました。これは、生徒自身が問いを立て、情報を集めて分析し、表現する学習活動で、生徒が主体的に社会課題と向き合う機会となっています。当校では必修化以前から力を入れており、その一環として外部の企業や団体に出前授業をお願いしてきました。
石田:出前授業は、生徒が探究活動を始める前の“ウォーミングアップ”と位置づけています。社会では今何が起きているのか、どんな課題があり、どのような取組がなされているのか、各分野の専門知識を持つ方々に教えていただき、生徒たちの興味や好奇心を高める機会となっています。
当校がある昭島市を拠点に活動されているチーム主夫ラボの高木さんには、2024年度に出前授業を実施いただきました。その学びの手応えから、ぜひ2025年度もお願いしたいと思い、再びご相談させてもらいました。
――チーム主夫ラボが実施した出前授業の内容と生徒の反響について教えてください。
チーム主夫ラボ 代表理事 高木さん(以下、高木):チーム主夫ラボは、地域が抱える課題や悩みに寄り添い、子育て支援のほか、子ども食堂の立ち上げ、空き家活用、地域のコミュニティづくりなど多様なアプローチで地域の課題解決に取り組んでいます。そこで、今回私たちは「地域創生」をテーマに出前授業を行うことにしました。
まず授業の冒頭では地域が抱える課題を身近に感じてもらうために、育児対話型カードゲーム「みんなのカジークジー」を体験してもらいました。このカードゲームは、現実世界でよくある家事・育児・仕事のトラブルを、プレイヤー2人で分担・協力して乗り越えていくという内容です。次々と襲いかかる「トラブルカード」に体力が削られる中で、互いの得意・不得意を考慮しながらトラブル対処にあたります。
また、困った時に使える「ヘルプカード」では、実在する地域の子育てサービスや癒しスポットなどを紹介しています。このゲームを通じて、楽しみながら当事者の大変さや支援の重要性を自分事として感じてもらうことができたと思います。
高木さんが制作監修した育児対話型カードゲーム「みんなのカジークジー」
高木:その後、少子高齢化や子育て世代の孤立など、地域が抱える課題とそれに対して私たちが取り組んできたことを事例として紹介し、最後に「どこか1つ地域を決めて、地域課題を調べ、自分にどんなことができるか、どんな仲間がいたらいいかを考えてみましょう」と課題を出しました。「自分が住んでいる地域について調べたい!」と生徒さんたちはとても意欲的でした。

――昭和高校とぎゅぎゅっとハッピーはどのような経緯でつながったのでしょうか。
高木:実は石田先生より、2025年度は複数の出前授業を実施してほしいとご相談があり、「地域創生」「循環型社会」「SDGs」「子育て」などいくつかテーマをいただきました。はじめは全ての授業を自分たちで担当しようかと考えていたのですが、石田先生にお話をいただく少し前に参加した交流会「MEET UP!」で出会ったぎゅぎゅっとハッピーさんを思い出し、「子育て」の出前授業をお願いできないかとお声がけしました。
ぎゅぎゅっとハッピー 代表 三原さん(以下、三原):2025年1月の「MEET UP!」で初めてお会いした後、オンラインで互いの活動について共有し、何か一緒にできたらいいですねと話していました。それからすぐに出前授業のお話をいただき、チーム主夫ラボさんを通じて昭和高校さんとのご縁につながりとても嬉しかったです。
――ぎゅぎゅっとハッピーはどのような出前授業を実施したのでしょうか。
三原:私たちは「保育・子育て界にハッピーの循環を創り出す」をミッションに、「保育者」「子供」「親子」に寄り添い、保育や子育てに関する課題解決に取り組んでいます。今回は、ぎゅぎゅっとハッピー研修講師の保坂が「子育て」をテーマに出前授業を実施し、子育て世代の孤立についてお話しました。
ぎゅぎゅっとハッピー 研修講師 保坂さん(以下、保坂):単独世帯や核家族が増え、地域のつながりが希薄になっている今、子育ての孤立を背景とする産後うつや児童虐待が社会課題となっています。しかし、高校生の皆さんにとって子育てを自分事として捉えるのはなかなか難しいです。そこで「身近な子育て経験者に聞いてみたいことを考えてインタビューしてみましょう」とワークを行ってもらいました。
――生徒の反響はいかがでしたか?
保坂:「両親だけでなくおじいちゃんとおばあちゃんにも聞いてみたい!」「最近赤ちゃんが生まれた先生にインタビューしてみよう!」と張り切って取り組む姿が印象的でしたね。地域の子育て支援サービスを紹介した際には「子育て中の人たちが本当に求めているものを知るには、今はまだないサービスを調べればいいのかも!」という生徒さんの声があり、私自身も新たな気づきをいただきました。
石田:生徒たちが探究活動に熱心に取り組む姿を見て感じるのは、柔軟に考えることの大切さです。社会課題をどう解決するかを問われた時、大人はついお金のことやできないことを先に考えてしまいがちですが、子供たちは「あれはどうかな」「これも良いんじゃない」と無邪気にアイデアを出していて、本当に気づかされることが多いですね。
出前授業は、生徒たちが問いを立て、考える力を伸ばす素晴らしい機会になっています。多様なジャンルで幅広く活躍されている外部の方々と触れ合うことで、社会には様々な仕事や生き方があるのだと身をもって教えていただいています。
出会いの積み重ねがコラボレーションにつながる。とにかく動いてみることが大切
――今回のコラボレーションの意義をどのように感じていますか。
高木:自分たちですべてを完結させようとすると、どうしても枠をはみ出すことが難しくなります。子育てについて豊富な知見を持つ、ぎゅぎゅっとハッピーさんと一緒に取り組むことは私たちにとって大きな刺激になっており、生徒の皆さんにも新たな視点をもたらすことができたのではと感じています。
三原:昭和高校さんとチーム主夫ラボさんとご一緒できてハッピーなつながりが広がったことを嬉しく思います。交流会に参加していなければ今回のコラボレーションはきっと実現していないでしょう。「子供のために」という同じ思いのもと、多様なアプローチで教育に関われることを学ばせていただきました。
石田:出前授業は生徒と実社会をつなぐ接点となり、生徒たちに新たな学びを届けてくれています。昨年度は各分野の専門家を集めるために、多様なテーマを模索しましたが、今回のように企業・団体同士でコラボレーションが進むと、テーマに新鮮さが出て私たち教員にとっても新たな気づきをいただいています。
出前授業の実施後は、生徒たち自身の探究活動が始まります。その中間報告に対するフィードバックも皆さんにご協力いただいています。現在は最終発表に向けてグループごとにプレゼン内容や資料をまとめている段階ですが、生徒たちがどんな発表をするのか、皆さんからどんな評価やアドバイスをいただけるのか楽しみにしています。
――コラボレーションを検討中の企業・団体の方に向けてメッセージをお願いします。
三原:まずは相手の方の活動を知るために、対話することが大切だと感じています。そのうえで、どうしたら魅力や強みがより輝くか、どんな形ならよりよいシナジーが生まれるかを考えることで、コラボレーションの可能性が広がっていくのではないでしょうか。また、自分たちのネットワークを活かして相手の方と新たなご縁につなげることで、コラボレーションの循環を生み出していけたらと思っています。
高木:交流会に参加したのは「自分が知らない企業や団体のことを知りたい」という単純な理由からでした。ただ今回の取組を通じて、様々な分野の方とのネットワークを広げることが、結果的にコラボレーション実現の最初の一歩になるのだと実感しています。とにかく動いてみること、新しい場所に行ってみることをお勧めします。
高木:多くの企業が出展する展示会などに参加することがあるのですが、その場で名刺交換をしても、2度目につながることは少ないのが現実です。一方で「MEET UP!」には共通の課題や思いを持つ参加者の方が多く、マッチング率が高いように思います。
三原:「MEET UP!」には前のめりな姿勢の方が多いですよね。以前にも交流会に参加したことがあるのですが、そこで出会った幼稚園の方ともコラボレーションを実現することができました。今回新たなコラボレーションができたのは、三者三様にネットワークを広げ続けてきたからではないでしょうか。子供たちのために、これからも人と人とのつながりを大切にして活動を続けていきたいと思います。
――ありがとうございました。
記事の内容は掲載時点の情報に基づいております。
紹介した企業・団体
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一般社団法人チーム主夫ラボ
- 公式サイト
- https://shufulab.komorebiya.tokyo/
- 住所
- 東京都 昭島市中神町 1364-20 シャルマンハウス中神107
- TEL
- 09061277485
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東京都立昭和高等学校
- 住所
- 東京都 昭島市東町 2-3-21