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東京都

コラボレーション活用事例

掲載日:2026年3月27日

株式会社バンダイ×利島村

東京都が取り組むこどもスマイルムーブメントでは、子供を大切にする社会気運の広がりを目指すために参画企業・団体同士の交流を後押ししています。このたび、こどもスマイルムーブメント事務局の支援を通じて、バンダイと利島村がつながり、コラボレーションが実現。災害時の子供の心のケアを目的にバンダイが開発したオリジナルのおもちゃが、災害備蓄品として利島村に寄贈されました。今回の取組の経緯や今後の展望を伺いました。

バンダイ プロダクトマネジメント部 サステナブル製品推進チーム 安田さん

避難所生活が続く子供たちに遊びと癒しを届け、笑顔になれる時間を生み出したい

 

――災害時の子供の支援に向けてバンダイが開発したおもちゃについて教えてください。

バンダイ 安田さん(以下、安田):当社では、災害発生時の避難生活で多くの子供たちが不安やストレスを抱える現状を知った社員のアイデアをきっかけに、子供の心のケアを目的とした「災害時こども応援活動」に2022年より取り組んでいます。
この活動では、子供支援活動を行うセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと協力し、当社オリジナルの「災害時こども支援おもちゃ」を開発しました。カプセルから取り出して空気を入れると大きく膨らむ「エアーマスコット」と、手のひらサイズで握ったり押したりして遊べる「スクイーズ」の2種類をご用意しています。

エアーマスコットは空気を抜くと小さくたためて避難所生活でも邪魔にならない。スクイーズは柔らかくぎゅっと握ることでストレス軽減も期待できる

――災害時こども支援おもちゃはどのような場所に届けられているのでしょうか。

安田:セーブ・ザ・チルドレンが災害発生時に支援品として現地に届ける「緊急子ども用キット」に同梱して被災地へ届けられています。
202411日に発生した能登半島地震では、緊急子ども用キットが現地に届けられ、「子供たちが笑顔になった」「子供たちが楽しそうに遊ぶ姿を見て大人たちも勇気づけられた」といったお声をいただいています。
このほか、災害備蓄品として当社から自治体への寄贈も行っており、これまでに東京都台東区、大阪府吹田市、三重県南伊勢町など全国の自治体にお届けしています。

 

――利島村とのコラボレーションはどのような経緯で実現したのでしょうか。

安田:災害時の子供の心のケアの重要性について、まだまだ認知や理解が十分ではない現状において、支援活動の輪をいかに広げていくかは大きな課題でした。また、企業同士と比べて企業と自治体はつながるチャンスが少ないため、自治体との接点づくりに苦労していました。
こうした中、こどもスマイルムーブメントが掲げる「幅広い主体が連携し、チルドレンファーストの社会をつくる」という考え方が当社の取組と合致していると感じ、事務局にご相談したところ、専用サイト「こどもスマイルムーブメントプラットフォーム(KSMP)」の活用をご案内いただいたことがきっかけで利島村さんとの接点が生まれました。


おもちゃは子供の心をケアする「支援物資」。災害時の子供支援の輪を大きく広げたい



――利島村とのコラボレーションはどのように進んだのでしょうか。
安田:こどもスマイルムーブメントプラットフォーム上で利島村さんから「興味がある」とリアクションがありましたので、資料をお送りした後にオンラインで初めて会話をさせていただきました。
利島村は伊豆諸島の北部に位置する、人口約300人の小さな離島です。「災害が起きた時、ただでさえ物資が届きづらい環境で子供向けの支援はさらに届きづらい。あらゆる事態を想定し、事前に備えておきたい。」とご相談いただき、取組がスタートしました。

 

――コラボレーションにおいて工夫したことを教えてください。

安田:災害備蓄品が実際に使われる場面を想像することは容易ではありませんが、過去の災害事例やご希望を伺いながら、丁寧にコミュニケーションを重ねて情報を一つひとつ整理していきました。
その結果、避難所のほか、児童館や学校の体育館など複数の場所に分散して保管できるよう手配を行い、無事お届けすることができました。自治体の規模や状況によって、災害支援のニーズは多種多様です。地域の実情に寄り添った形で子供への支援を実現するには、対話を重ねることが重要だと感じています。

 

――東京都の他の自治体ともコラボレーションが進んでいると伺っています。

安田:こどもスマイルムーブメントプラットフォームへの掲載を機に、ありがたいことに都内の複数の自治体からお声がけをいただいています。
正直に申し上げて、これほど輪が広がるとは想像しておらず嬉しい驚きです。また、利島村さんとの取組をご紹介すると、「当自治体でもぜひ前向きに検討したい」とポジティブなご意見をいただいており、お話が進んでいくつかの自治体への寄贈が決まっています。




――今回の取組を通じて、災害時の子供支援の意義についてどのように感じていますか。

安田:災害時の備えでは、どうしても食料や生活必需品が優先されがちですが、避難生活が長期化する中で、子供たちの心のケアや安心できる時間をつくることも非常に重要です。おもちゃで遊ぶことは、子供たちにとって日常を取り戻す行為であり、先の見えない不安な状況の中、少しでも心がほぐれ、笑顔になれる時間が増えたらと願っています。
一方、様々な自治体と対話を続ける中で、「災害時に子供向けの備えが後回しになりやすい」「子供の心のケアは盲点だった」といった声が多く聞かれます。
災害支援というと、特別な準備が必要だと感じられることも多いと思います。しかし、企業や自治体それぞれが今できる小さなことから始めるだけでも、子供たちにとっては大きな支えにつながります。企業と自治体が役割を分担しながら連携することで、より実効性のある支援が実現できると考えています。

 

――今後の展望をお聞かせください。

安田:私たちは、おもちゃは単に子供が遊ぶためのアイテムではなく、子供たちの笑顔や心を支える「支援物資の一つ」と位置づけています。自治体や関係団体の皆さんとの連携を深めながら、災害時だけでなく平時から備える文化としても「災害時こども支援おもちゃ」の輪を広げていきたい。そのために、今後も継続的に発信を行っていきたいと思います。

 

――コラボレーションを検討中の企業・団体の方に向けてメッセージをお願いします。

安田:企業と自治体がつながる機会自体が非常に少ないので、こどもスマイルムーブメントのような多くの企業・団体が集うプラットフォームの活用をおすすめします。
コラボレーションの具体的なイメージが固まっていなくても、まずはつながることが大切です。当社と利島村との取組も、決まった枠組みに当てはめるのではなく、対話を重ねながらより良いコラボレーションの形を一緒に作っていきました。
「子供たちの笑顔を守りたい」という共通の思いさえあれば、業種や規模を問わず、どのような企業・団体にもコラボレーションの可能性があると感じています。ぜひそれぞれの強みや立場を活かしながら、行政や地域と連携し、子供たちを支える取組を一緒に作っていけたら嬉しいです。

 

――ありがとうございました。


利島村担当者よりコメント

こどもスマイルムーブメントを通じてバンダイ様の企画をご紹介いただき、本趣旨に賛同の上、実施に至りました。
自治体として企業とのコラボレーションは困難だと考えていた中で、実現できたことが新しい発見でした。利島村は避難所が一箇所のため、実施体制を整えやすく、検証しやすい環境であったことも今回の取組を後押ししました。
また、昨年から社会福祉協議会にてこども家庭センターを設立したので、小さなお子様と保護者も福祉避難所を利用できるようにしており、今回の寄贈品はこの社会福祉協議会に置かせてもらうことになりました。今後、子供たちに寄贈品のお披露目会を予定しています。




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