コラボレーション活用事例
掲載日:2026年9月3日
特定非営利活動法人ウイズアイ×特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン
清瀬市でママ支援を続けてきた特定非営利活動法人ウイズアイと、「笑っている父親を増やそう」をミッションに、父親支援に取り組む特定非営利活動法人ファザーリング・ジャパン。異なる視点を持つ2団体が手を組み、プレパパ・プレママを対象とした講座を開催しました。ママだけでもパパだけでもない、「家族まるごと支える」新たな支援の形はどのように生まれたのでしょうか。交流会「MEET UP!」での出会いが地域課題の解決へとつながった、そのプロセスと成果をお届けします。
(左)ウイズアイ 事務局長 植木さん (中央)ウイズアイ 理事長 後藤さん (右)ファザーリング・ジャパン 多摩支部代表 野﨑さん
妊娠中・出産後のパートナーをどう支える? 悩み多きパパたちを支援する講座を開催
――交流会をきっかけにコラボレーションを実現するまでのプロセスを教えてください。
ウイズアイ 理事長 後藤さん(以下、後藤):交流会では複数の企業・団体の方とお話をしたのですが、中でも熱心にお声がけいただいたのがファザーリング・ジャパンの野﨑さんでした。私たちは清瀬市を拠点に子供たちや親を支える事業を展開し、ママ支援に力を入れています。そんな中、父親支援に取り組む野﨑さんから「パパ目線を取り入れたアプローチで、パパもママも支援する場をつくってみませんか」とご提案いただき、新たな試みができそうだと感じ、ぜひチャレンジしたいとお返事しました。 
ファザーリング・ジャパン 多摩支部代表 野﨑さん(以下、野﨑):私は第一子の誕生を機に「笑っている父親を増やそう」~をミッションとするファザーリング・ジャパンに入会し、ファザーリング・ジャパン多摩支部を立ち上げ、支部の代表に就任しました。現在は「パパ同士のつながり」「親子の笑顔の再確認」などをテーマに講演活動やイベントを行っています。実は交流会のパンフレットでウイズアイさんを知った時から「ママ支援×パパ支援で何かできそうだ」と、コラボレーションの可能性を強く感じていました。交流会後の打ち合わせで早速アイデアをお伝えすると、お二人とも共感してくださり、スピーディーに話が進んでいきました。

ウイズアイ 事務局長 植木さん(以下、植木):ご提案の内容はプログラム構成もターゲットも明確で、すぐに開催できそうなほど具体的で驚きました。何より、私たちがこれまで取り組んでこなかった内容だったのでチャレンジし甲斐があるなと思ったんです。企画に関しては基本的に野﨑さんにお任せし、私たちはイベント会場の確保や告知活動へと動き始めました。
――コラボレーションイベントはどんな内容なのでしょうか。
後藤:主に妊娠中のパートナーがいる方に向けて「きよせ プレパパ・ママ講座」を清瀬市役所で開催しました。野﨑さんには講師として登壇いただいています。全3回で毎回テーマを変え、2026年4月の第1回は「出産に備えて家庭内でしておくこと~食べる、寝る、話す、整える、手続きの5つの大切なこと~」、6月の第2回は「妊娠中・出産前から赤ちゃんとの生活を家庭内でイメージしよう」と題し、現在は第3回の開催に向けて準備を進めています。
植木:講座にはターゲット層だけでなく、ウイズアイに所属する助産師や保健師、清瀬市の子ども家庭支援センターや行政の方々にも参加いただきました。フリータイムにはプレパパ・ママが助産師に対して「ちょっとお聞きしたいのですが……」と相談や質問をする場面もありましたね。パパ目線を取り入れた野﨑さんの講演に加えて、様々な立場の皆さんがフラットにコミュニケーションをとれる機会をつくることができたのは、今回のコラボレーションならではと感じています。
野﨑:各分野のプロの方々にフォローいただき内容の濃いイベントになりました。講座では私自身の経験を交えながら、出産・子育てで起こることや備えておきたいポイントを紹介しました。その上で、パートナーのためにパパだからこそできることを考え、行動することの大切さをお話しました。ご夫婦で足を運んでくださる方もいれば、第1回と第2回の間にお子さんが生まれたパパが2回連続で参加してくれました。ウイズアイさんが幅広いネットワークを活かして清瀬市や周辺地域、市役所、産婦人科クリニックなどにPRしてくださったおかげで、様々な地域から参加者を募ることができました。
――イベントの反響や手応えはいかがですか?
野﨑:参加された方々より「育児に関して自分ができていること・できていないことが見える化できた」「講座の内容を持ち帰ってパートナーとの対話のきっかけにしたい」「出産や子育てについてパパ目線の話が聞ける機会は少ないのでありがたい」など様々な声が届いています。講座では参加者の皆さんと双方向のコミュニケーションを取りながら話を進めるのですが、出産や子育てにまつわる不安や悩みを話してくださる方もいます。

後藤:参加者の方々が野﨑さんと本音で対話する姿が印象に残っています。野﨑さんは一方的なレクチャーではなく「一緒に考えましょう」「その気持ちよく分かります」と、パパ目線で共感の姿勢を示してくださるからこそ、皆さんも普段は言いづらいようなことも自然と言葉にできるのではないかと思います。
野﨑:子育てにはそれぞれのご家庭の「我が家流」がありますが、共有できるものもたくさんあります。この講座はただ知識やノウハウをお伝えするのではなく、気づきを持ち帰ってもらうための場です。講座での対話がパートナーとの対話につながり、ご家族皆さんの笑顔につながる、そんなきっかけになれたらと思っています。


後藤:ママ支援だけでなくパパ支援の取組も社会全体で増えていけば、ママもパパも子供も笑顔になれる、そんな相乗効果を生み出していけるのではないでしょうか。ファザーリング・ジャパンさんとの取組を通じて、視野が広がったと実感してます。
植木:ウイズアイの活動の根底には「家族まるごと支援したい」という思いがあるのですが、今回のコラボレーションでは新たな形での家族支援に貢献できたのではと感じています。これからも当事者の声に耳を傾けながら、支援の輪を広げていきたいと思います。
積極的な声がけがコラボレーションのきっかけに。交流会を活用してつながりを育む
――今後に向けて意気込みをお聞かせください。
野﨑:プレパパ、育業中のパパ、育業から復職後のパパなど、様々なフェーズのパパに寄り添いながら清瀬市を含めた、日本全国のパパ支援に貢献したいです。ママ同士に比べてパパ同士はつながるきっかけが少なく、胸の内を語り合える場がまだまだ足りていないと感じています。出産や子育てに限らず、「復職後の働き方」「仕事と家庭の両立」「パートナーの復職サポート」など様々なテーマについて考え、思いを共有できるコミュニティを形成できたらいいですね。ウイズアイさんとの新たなコラボレーションも模索していきたいです。
後藤:野﨑さんは清瀬市や私たちの活動に関心を持ってくださり、また新たな化学反応を起こせるのではとワクワクしています。ファザーリング・ジャパンさんとのコラボレーションを通じてパパ支援の重要性を再認識するとともに、私たちにできることはもっとあるはずだと感じています。ウイズアイが目指すのは「第二の実家」として地域のママ・パパから頼っていただける存在になること。積極的にコラボレーションの輪を広げ、地域の皆さんの支えとなれたらと考えています。
――コラボレーションを検討中の企業・団体の方に向けてメッセージをお願いします。
植木:交流会の時点では具体的なコラボレーションの形は描けていませんでしたが、「いつかできたら」ではなく「とにかくやってみよう」という気持ちで参加しました。ウイズアイは活動開始から30年になるのですが、今後も活動を発展させ続けるには外部とのつながりを育み、学びを取り入れていくことが必要だと感じていました。そんな時に交流会を知り、今回のコラボレーションが実現できました。「何かできたらいいですね」から一歩踏み込んで「何ができるか一緒に考えませんか」というスタンスだと話が進みやすいのではと思います。
野﨑:コラボレーションのキーワードは「対話」です。相手の強みは何か、どんなことを望んでいるのか、互いへの理解を深めていく時間を大切にしてほしいと思います。交流会で気になる相手がいたら、テーブルが違っても休憩時間に声をかけに行くなど積極的にアクションを起こすことも重要です。あれほど多くの企業・団体と一度に出会うことのできる場はなかなかないと思うので、ぜひ前向きに活用してみてほしいと思います。
――ありがとうございました。
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